「インフレ」対策としての「自社株買い」。ー 余った「お金」どう使うか。
”NYダウの8週連続下落は1923年以降で最長”
まるで大谷選手がベーブルースと比較されるのと同様、NYダウも100年前の出来事に並んだ。まさに「歴史的相場」。オプション決済日という特殊事情もあって一時▼600ドル下げたが、引けにかけて何とか戻した。
ただ2020年終値と比べると(+15%を保っている英・FTはともかく)NYダウはまだプラス圏であり「リセッションだ」「大変だ」と騒ぐレベルではない。「大変」なのはウォール街とその「上級顧客」、特にナスダックや暗号資産、中国株に傾斜した投資家。2021年の儲けが消し飛んでしまった。
そんな中、"意外な健闘" を見せている日経平均。「お金」を巡る環境が一助になっている。このようなクラッシュ商状になると " Cash is King" (お金は王様)といわれるように、潤沢な手元資金が重要になる。つまり*「資金繰り」に余裕があるかどうか。
「それにしても日経、思ったよりしっかりだなぁ...」
こう思った方も多いかもしれない。何かと政策対応のまずさが指摘される中での ”逆行” 。やはりここでも決め手は「資金繰り」の余裕であり、一番しっくりくる理由が「自社株買い」だ。標題に添付したが、このところ1,000億円単位の「買い戻し」が続いており、相場を下支えしている。
確かに400兆円余りの「剰余金」を抱える日本企業にとって、この「インフレ」は「お金」の使い道を再考させる良い機会になっている。放っておけば「お金」の価値が漸減していくのは確実で、こうなると使った方が得。
「自社株買い」を進める企業は自社の株価が割安と判断している訳で「お金」の使い道としては間違ってはいない。**払っていた配当などが ”減る” =収入が増えると考えれば立派な「投資」である。
だが「自社株買い」はあくまで「防御措置」。本当に株価を上げるには***企業価値を向上させる「新規投資」が不可欠だ。そのための「人材投資」=人件費引き上げのはず。「円安」や「経済安全保障」などを利して、どこまでこの国が巻き返せるか、試されている局面だ。
では「生活者視点」ではどうか。こちらはまだかなり厳しそう。「お給料」はやっと上がってきたが、これが「確信」に変わるにはまだ半年から1年は必要だろう。この夏の「ボーナス」が焦点になるかもしれない。
値上がりの時代。|損切丸|note に突入したのは間違いないが、反面「特別給付金」も5月で打ち切られ、原価の高騰や人手不足で "力尽きて" 倒産する企業も増えている。
余った「お金」が「不動産」に向かい価格に上昇圧力がかかっているのは事実だが、一方の賃貸市場を見ると動きが止まっている。倒産の余波で失業者が増える過程では有り得る ”矛盾” だ。今のところ「時間差現象」とみているが、この綱引きがどちらに傾くのか、微妙な情勢とも読める。
「相場の暴落はウェルカム。絶好の買い場」
未だにこう主張する向きがいるが、この考え方は完全に間違っている。
マーケットや相場というものは「今現在の価格」が唯一の「真実」であり、今後どうなるかは不確定。過去も全く関係ない。「10年後、20年後には "必ず” 戻る」なんていうのは預言者や超能力者の類いであり、 ”ガチホ” ”ほったらかし投資” は「過剰流動性相場」のあだ花でしかない。常人は "Risk & Reward" (リスクと収益)の変数を絶えず検証する必要がある。
2022年にマーケットから消えるか、生き残るか、何かを掴むか、「生き道」が大きく分れる。過去に散々痛い目にあった「損切丸」おじさん(苦笑)としては、みんなになるべく苦しい思いをして欲しくなくてこんな note. を連発している。ただ人間は「経験」を超えられない生き物でもあるので、せめて「ああ、そんな事言っている人がいたなぁ」と思い出してくれればいい。なるべく多くの「日本人」に生き残って欲しいと切に願う。