OLYMPUS TRIP35のレンズに驚いた【作例】
うちは昔から、父親が結婚前に奮発して買った OLYMPUS PEN-FT が家族カメラとして君臨していた。ハーフサイズながら一眼レフ、露出計を内蔵しているので撮り損ないが少ない。今も私が勝手に「借りて」使っている。
先日、実家で「このカメラまだ普通に使っているよ」と見せたところ、父は何食わぬ顔で「ほかにもこんなカメラがあるよ」と棚からジャンジャカいろんなカメラを取り出してきた。
OLYMPUSのTRIP35、PEN-EED、OM-10、径43mmのZuikoレンズ、CanonのDemiS、ストロボなどなど。えっ、その棚は30年前から見ているけれど中にそんなものがあったなんて。全然知らなかった!
ガチャガチャと動かして、使えそうなTRIP35だけ引き上げてきた。PEN-FTと同じくブラックボディなので、たぶんこだわりがあった父親が自分で買ったものだと思う。
■ 基本スペック
レンズ:D.ZUIKO 40mm F2.8
絞り:A(オート)/F2.8〜22
ISO感度:ISO25〜400
シャッター速度:1/30、1/250
ピント:1m、1.5m、3m、無限遠
※フィルター OLYMPUS SKYLIGHT 1A 43.5mm がついていた
電池なし、ハーフサイズじゃないオリンパス
よく考えてみると、ハーフサイズではないフルサイズOLYMPUS機はあまり触ったことがない。レンズ周りのキラキラした粒は光で発電するセレン光電池というらしい。これで露出計が動いてくれる、はず。ボタン電池は要らない仕様、素晴らしい。
電灯に向けてシャッターを切ると「カシュッ」と軽い音がした。暗がりに向けてシャッターを切ると同じ「カシュッ」でも少し速度が遅い。調べたところ、こいつのシャッター速度は1/250か1/30しかないらしい。光が足りないとファインダーに「赤ベロ」というセロハンチックなものが出てシャッターが切れない。
それは意外と親切設計かも…!
「写ルンです」も同じようなシンプルさだけれど、あれはいつでもどこでもシャッターが切れてしまう。露光不足でも露光過多でも出来上がってからでないと分からない。これは「無理です」と宣言して写真を撮らない潔さがいい。ムダに失敗しなくてすむ。
ピント合わせは、4つのマークを目安にするゾーンフォーカス方式。レンズには絞り値が書いてあるものの、Aのオート以外だとシャッター速度が1/30になってしまうらしいので、もうオートだけでいくことに決定。頼むぞ。
明るいところと暗いところでシャッター速度が変わるのであれば、たぶん露出計も動いている。お試しの気分で持ち歩いてみた。
TRIP35 × Kodak Portra 160
フィルム感度ASAを設定するダイヤルはレンズに付いていて、不思議な刻まれ方をしている。25、40、50、64、80、100、125、160、200、250、320、そして400。64なんて初めて見た。
160の数値を見て最初に思い出したのが、たまたまあった「Kodak Portra 160」だった。これ入れてみよう。
現像してみてびっくり。細かいところまでしっかり撮れている。露出の失敗もほとんどなし。手ぶれもない。
景色としては何てことのない場所なのだけど、このススキ1本1本までがくっきり描かれていることに感動した。
意地悪な撮り方をしたけれど、細部までちゃんと写って撮ったときの雰囲気を思い出せる。
ただ本当にレンズを向けて、絞りオートの1/250なだけなのに。しっとり。
いやもう、この草の細かさに感動して。
カメラをピャッと向けてカシュッと撮るのみ。40mmという画角も自分の感覚にはちょうどいい(Rollei35もそうか)。「写ルンです」よりも気楽にシャッターを押したかもしれない。ほぼ無限遠で撮りまくり。
ここでは公開しないけれど、家族を1mで撮った写真もちゃんと撮りたいところにピントが来ていて上手く撮れた。失敗ショットがほとんどないのはカメラのおかげだと思う。
TRIP35 × Kodak UltraMAX 400
Portra 160 を現像に出す前に UltraMAX 400で再チャレンジ。鮮やかに写るというけれどどうなのかな。
うひょー、青が映えるなあ。細かな花まで結構くっきり写る。
フィルムっぽい色合いで写った。細かいのはたぶんレンズが良いから。
普通に無限遠で1/250。
大船観音。こういうのがUltraMAXの色味なのかな。撮る位置再考。
気楽に撮り過ぎたか。もうちょい構図を頑張ろう。でもしっとりしてるな。
逆光気味だけどいけた。江ノ島。
一番気楽に撮れるカメラかも
持ち歩いてみて、一番「何も考えずに撮れるカメラ」だと思った。それがいいのかは微妙だけれど、一つ良い影響があったとすれば他のカメラを持ったときも変に気負わずにすむようになった点かもしれない。
例えばRollei 35。カメラとしては楽しいし、レンズも性能もいい。どこかでやっぱり「ちゃんと撮らねば…!」というプレッシャーがあった。
でもTRIP 35を使うと「シャッター速度が2種類でもどうにかなる」とか「ゾーンでいいんだよゾーンで!」という大きな気持ちになって、次にRollei 35を使うときもその気楽さが残った。素人がこねくり回すよりもカメラを信じてバンバン撮ったほうが楽しいかも、と思えるようになった。
真面目に「高速/低速」と「ざっくりゾーン方式」で何とかなりそう。昔のカメラだってそうやって使っていたのだから。
いろいろと自信がなくなったときに少しTRIP 35に戻って、「大丈夫だよ」と言ってもらってから、また新たに出かけたい。
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Instagramもやってます。これはRollei35。
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