「福山本」に替わる新定番?反応機構を学ぶための「松島本」の魅力
反応機構学習の定番「福山本」
有機化学の勉強では、反応機構の学習は避けることはできません。
反応の理解や合成ルート設計に役立つだけでなく、不純物生成のメカニズム理解にも必要な知識です。
化学企業で働く今、改めてその重要性を感じ、勉強をしなおしています。
反応機構の勉強をするなら、定番は福山本こと、「演出で学ぶ有機反応機構」でしょう。
私も学生時代、本書を用いて勉強しました。
東京大学の福山研究室で行われていたゼミで出題された問題と解答例が収録されています。
ちなみに現在では後継の横島先生の研究室で、同様のゼミが行われていて、その内容はweb上に公開されています。
福山本を解くことができたらこちらの問題に挑戦してみるのが良いですね。
より最先端の内容となっています。
さて、しかしながら福山本には難点があります。
とにかく挫折しやすいんですよね。
とくに有機化学の教科書を学び終えて、反応機構の勉強を開始しようとする初学者には難しい。
副題にも「大学院入試から最先端まで」と記載されていてますが、研究室で研究を始めないと理解できないような。かなり難易度の高い問題が多いです。
しかし研究室に配属されてからでは研究が忙しすぎて、勉強時間の確保が難しいんです。
私自身、なんとか最後の問題まではたどり着いてはいますが、どのために何度も再チャレンジを行っています。
また掲載されている問題の量も多いです。
約300題あり、「全問解けるようになるぞ!」と意気込むと、挫折しがちです。
奇数番だけやるとか、簡単なもんだいだけやるとか、工夫が必要です。
そんな勉強ハードルが高い福山本に変わる新しい反応機構の書籍が、最近発売されました。
それが「松島本」です。
反応機構学習の新定番になるかもしれない「松島本」
松島本は福山先生の本に変わる。新しい反応に関する参考書です。
松島先生は、東農大で研究されている先生ですが、有機化学の多くの教育コンテンツも作られています。
松島本のメリットとして3点挙げられます。
シンプル
反応名(人名反応)がすべて記載
リーズナブルな価格
松島先生の本の特徴は、シンプルであることです。
反応は100個に限られています。
100個だけというのが重要で、1階の復習サイクルが短く設定できるので、挫折を防ぎやすいというメリットがあります。
また学部の教科書と研究領域の穴埋めをする程度の難易度であるため、教科書を勉強しを得た学部3-4年生ぐらいに丁度良い難易度となっています。
全ての反応は、人名反応として名前が記載されているのも良い点です。
これも結構重要で、名前が無い事象を覚えることって結構難易度が高いんですよね。
福山本の場合、人名反応として記載されているものもありますが、記載されていないものもあります。
また複数の反応が組み合わさっていたりなど、解答のハードルが高いんです。
松島本は価格が手ごろなのも良い点ですね。
Kindle版であれば1000円、紙で購入しても2000円程度と、安く購入可能です。
福山本は4180円で、まさに専門書の価格という感じです。
松島本は書籍版であっても、移動に差し支えないサイズ感なので、通学通勤中の隙間時間に勉強するのに丁度良いです。
福山本は教科書ほどではないですが、大きめの作りなので、通学、通勤中に開いて読むのは結構きついです。
化学メーカー勤務の私も、松島本であれば通勤中に読み進めることができました。
松島本は、学部の教科書から発展して、研究現場の反応機構を理解するまでの間の穴埋めをしてくれる、ちょうど良い難易度で作成されています。
学部生や研究室に配属された直後の学生、あるいは企業の技術者で改めて反応機構を勉強したいと考えている。人にお勧めの1冊です。
松島本を溶けるようになれば、福山本や横島先生のホームページに記載されている最先端の反応を学んでみましょう。