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事実と虚構の中間的な掌編

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#日記

かいじゅうと孤独

かいじゅうと孤独

 かいじゅうは苦悩した。ティラノサウルスだとかブラキオサウルスだとかスピノサウルスだとか、有名な恐竜とは異なる存在に自分が思えた。かいじゅうは、かいじゅうだった。何にも分類されないような「かいじゅう」なのだ。ギザギザの背びれを持っていて、それは他のどの恐竜にもないものだった。かいじゅうは、ギザギザの背びれが嫌いだったし、背びれと似て不完全な自尊心にも嫌悪を向けていた。それでいて、自己愛が強いことさ

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告白

告白

 告白しよう。狼だぬきはこれまでの人生において、重大な勘違いをしていた。その勘違いによって、彼は自らを生きづらくさせたし、世界をつまらないものにさせた。

 その勘違いとは、「人々は閉じている」という偏屈な認識である。人々は閉じていて、冷たくて、やさしくない。
 そのため、彼は有事の際には自分の内側の深いところまで逃げなければならなかった。誰も入れないであろう暗部に身を潜めて、重厚な壁をもって繊細

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人生のスコープ

人生のスコープ

光の点が連なり蛇のようにうねる梅田を、中津のタワーマンションから見下している。41階ともなると、地上では想像さえできない程の強風が頬を横殴りする。スマホに通知が来た。接近していた台風が、温帯低気圧へと変わったとのことだ。半ば無意識に、角が取れた長方形の通知を右にスワイプし、取り消しを押す。こうやって、人生におけるあらゆる取り組みや催事も簡単に消去できればいいのに、とふと思う。親指でシュッとスワイプ

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湖とぼく、世界とぼく【掌編】

 【18:27】薄暗さを帯び始めた夏の夕暮れに、ぼくは露天風呂に浸かっている。
うだるような暑さがビルに反射し輪をかけて嫌気が増す都会。耳をつんざくセミの声が溢れる郊外。室内は室内で、殺人的な温度の低さの冷房が体をうざったく吹き付ける。そんな都会の夏からエスケープするように、今は田舎の露天風呂に浸かっている。路面電車が走るような面倒見がいい田舎の温泉。

 露天風呂には、風呂が合計3つある。露天風

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