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日記と呼べるほど具体的なことは書かれない、雑文集。

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「天気の子」は「転機」そのものだった【ネタバレなし】

 大ヒット上映中の「天気の子」を観た?ぼくは観たよ。内緒にしておいてほしいんだけど、2回も。「君の名は。」は3回劇場に足を運んだから、「天気の子」でも少なくともあと2回は観に行くだろうな。つまりはすごくよかったんだ。もちろん、内容には触れないよ。ネタバレは無粋で、ぼくは粋だからね。  ぼくは、実は新海誠監督の作品が大好きなんだ。距離の美学、切なさを受容するかのような、あるいはそれすらも美しいと捉えるかのような描写。もしくは審美眼。ポエティックなセリフ。青く、脆く、刹那的で、

日本人は全員「ティファニーで朝食を」採るべきだ、みたいな雑文

「ティファニーで朝食を」とったことがあるか?  1950年代、明け方のニューヨーク。空に白みが掛かる時間帯のせいか、車通りも人通りも見当たらない。劇中歌の「ムーン・リバー」が流れ、一台の黄色いタクシーが五番街に停車する。タクシーから黒のドレスを華麗に着こなしたオードリーヘップバーンが現れた。タクシーが停車したのは、あの「ティファニー」の目の前。パン屋さんの紙袋からクロワッサンとコーヒーを取り出し、ティファニーのウィンドウを眺めながら、サングラスかけ朝食を取る。満足そうに、ど

実は一番の抗うつ剤は「90年代後期ミスチル」だった【前編】

 また太陽が昇ってしまった、と窓の外に目をやる。「明けない夜はない」みたいな言葉が使い古されていて、ほとんどなんの重みも感動ももたらさないと思っていた。でも、本当に明けない夜はない。毎日、正確な時間に太陽が登る。憎くて、でもちょっと嬉しい事実だな。  最近夜になったらミスチルをずっと聞いている。小学校のときに「抱きしめたい」をひょんな機会で聴いて、それ以降90年代のミスチルを中心にウォークマンが擦り切れるくらい聴いた。もちろん、ウォークマンは擦れないし切れないけれど。なんに

偶然のような必然、のような偶然

 本屋が好きだ。それも紀伊国屋書店とかジュンク堂のような大型の書店。都市にあるような大型の図書館でもダメだ。とにかく大きな本屋に身を埋め、てくてくと無作為に歩き回りながら、目についた本をほとんど衝動的に購入して、勢いで読み切る。そういう「読書」が好きで、なんならほとんど偏愛的な趣味とも言える。  日が傾き視界を突き刺す西日が1日の終わりを予告する頃、今日も大型の本屋に出かけた。読みきっていない山積みの本に一瞥をくれながら重い鉄の扉を開け玄関を後にする。後ろめたさ、のようなも