【師弟愛に涙が止まらない】

こんにちは。「酒と肴もうり」です

先日親方の師匠の店に行きました。
「今月末にお店を閉める」
と師匠から連絡をいただいたからです。

連絡すること自体迷った末、電話をくれた師匠でした。

実は親方は、師匠の店に食べに言ったことは一度もありません。

師匠はこのところ体調を崩しがちで、
いつ引退するかも分からない状況だったので
共通の知り合いで、以前師匠の下で
一緒に働いていたことがある友人から
「毛利くんも今のうちに相澤親方の味を
味わっていた方がいいよ」
とは言われていたのにもかかわらず頑なに行きませんでした。

それは親方の持つ師弟関係のあるべき姿というか
ポリシーというか揺るぎない信条からくるものです。

師匠の店にお客さんとして足を踏み入れるなんて
そんな恐れ多いことしてはならない。

お客として席に座って師匠に働かせるなんて
100年早い。
そんな暇あったら腕を磨け。

という・・・
それが正しいかどうかは私にはわからない

ということは前回記事で書いた通りなんですが

結論から言うと

とても尊い価値観だと思い知らされました。

私は食べに行けば多少なりとも
師匠のお店の売上げになるんだし行けばいいのにって
軽く思ってました。

でもそれは本当に浅はかな考えであったと
思い知りました。

二人の間にはその日の「売上」なんかより大切な
お金に換えられない貴い価値があったんです。

二人だけが共有している宝物

言葉にしなくても伝わること・・・

その日私たちに出されたメニューは特別な内容でした。

親方が20年以上前に師匠の下で修行をしていた時
店で提供していた代表的な料理ばかり・・・

親方は一品一品師匠の想いを受けとめて
真剣な表情でしっかりとゆっくりと味わっていました。

・海老しんじょうのお吸い物
・タコの柔らか煮
・お造り　本わさび添え
などなど

飲食店の経営って本当に難しい。
真面目に毎日出汁（ダシ）とって
こだわって最高に美味しいものを提供していても
店が繁盛することとは別。

景気の良い昔とは状況が全然違い
自然とお客さんがいっぱい来てくれる時代ではない。

仕込んだ料理
仕入れた食材が無駄になる日も
少なくない。

店を続けるためにポリシーに反したことも
しなければならない。

毎日毎日、妥協の繰り返し,理想の姿とは程遠い状況
師匠に教わった料理も満足に提供できない現実・・・

それでもお客さんを喜ばせるために
手間を惜しまず日々工夫をしながらお店を回す・・・

店をきりもりするその大変さは師匠だって同じ。

痛いほど分かっている。

だからこそ、全部分かった上で、
今日この料理を出してくれている。

「この味を忘れるな」

師匠からの最後の授業なんだな
って思いました。

帰り際、あの親方の目が真っ赤になっていました。
初めて見ました。

師匠にとっては、最後の弟子。

もうりは、師匠の味を引き継ぐ「最後の店」になるわけです。

私も、感動と寂しさと悔しさが入り混じり
涙が出てきました。
（私は年々涙もろくなっています　笑）

そんで意地でも店を続けてやる！
って思いました。

今もうりは幸い、心優しいご常連様の皆様に支えられ
店を保持することができています。
ゆとりはありませんが（＾＾；

これからも初心を忘れず、師匠の味を忘れず
お客様と共に、地域のために、明るい未来をつくるために
精進して参ります。

まだしぶとく頑張ります！

47才にしてまた新たな学びがあった
女将でした。

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