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㉟ブルーベリーを摘む
けっこうな規模の店でもほんの少ししか使わないものは小売店で購入するというのはよくあることだと思います。フルーツは使用する量がそれほど多くなかったので近所の八百屋さんなど回って良いものをもとめていました。季節のものを大量に仕入れることは難しいけれど近所の農家さんからなら少しずつでも直接購入することができるのではないかと思い、インターネットで検索して新座市に無農薬でブルーベリーをそだてているいいだ園さんをみつけ連絡してみました。まずは摘みに来たらいいですよということで電車とバスを乗り継いでいいだ園さんへ向かいました。農園は定年退職後、当時森のようだった庭の木を切るところからはじめたとのことでした。なぜブルーベリーにしたのかというと友達と飲みながらなにを植えるのがいいかなと話して決めたとのことでした。ブルーベリーはたくさんの種類があり木によって味が違います。お菓子に使いたいというとじゃあ少し小ぶりで酸味のあるのも良いかもねと木を選んでくれました。ブルーベリーの実はこい紫色にぷっくりと膨らんでますが表面は白っぽい粉のようなもので覆われています。飯田さん曰くこの白いのが大事らしかったです。粉を吹いたようなブルーベリーの実を指で軽くつまんで、少しひねったらポロリと取れます。ポロリといかないならまだだということ。じょうずだねと言われてポロリポロリとブルーベリーを摘んでいきますがひと粒が小さいのですぐにカゴいっぱいにはなりません。炎天下の中、はじめてのブルーベリー摘みに夢中になっていると奥様がペットボトルのお茶をくださいました。奥様とおしゃべりしながらゆっくりブルーベリーを摘む時間はわたしのちょっと忙しすぎて早く摘んで早く帰らなくちゃという心を蒸発させました。店に帰ってブルーベリーを銅鍋ですぐにジャムにしたり、翌日のタルトに使ったりしました。8月の間は何度か摘みに行きました。すいかをもらって畑のそばで食べたりしました。種をどうしようかと思っていると飯田さんが地面にぷぷぷと飛ばしたので私も手のひらから落としました。仕事をしていたからこその、大切な出会いのひとつです。