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「緋色の研究」読めました

劇場版名探偵コナン「緋色の弾丸」をご存じだろうか。
2021年に公開された赤井ファミリーがキーパーソンの映画である。
その映画のタイトルには”緋色”という色が使われているが、私に緋色は、少しくすんだ赤のように見える。このタイトルはその赤と赤井秀一をかけている。

コナンで”緋色”という言葉が使われたのは映画が初めてではない。原作にて、”緋色シリーズ”というものがある。テレビアニメでは「緋色の序章」「緋色の追求」「緋色の交錯」「緋色の帰還」「緋色の真相」という5本仕立てで放送された。知らない人には特大ネタバレをして申し訳ないが、死んだと思われた赤井秀一が実は生きていたことが発覚するスーパーミラクル激熱ストーリーである。

このようにコナンで頻繁に登場する「緋色の○○」とは、コナンドイルが書いた「緋色の研究」が元ネタとなっている。そもそも、コナンという名前もコナンドイルが由来である。

「緋色の研究」はシャーロックホームズシリーズにおける記念すべき第一作。私は本作を「江戸川乱歩読んだことだし、コナンドイルの方も読みますか!」と超絶ミーハー気分で読み始めることにした。

コナンのホームズネタが回収される

本作を読み進めていると「これコナンでやってたやつだ!」となる箇所があった。まるで進研ゼミ。

ワトソン博士とホームズが出会い、握手を交わしたシーン。
ホームズはワトソンの手を握っただけで、ワトソンが以前アフガニスタンの軍医であったことを見抜いたのである。

コナンの第1話「ジェットコースター殺人事件」にて、このシーンを完全にオマージュしているシーンがある。ジェットコースターの列に並んでいた女の人の手を取った新一は彼女が体操の選手であることを見抜いたのだ。ちなみに、この話では体操選手の女が犯人である。

新一がホームズオタクということはコナンを見てればうざいくらいに伝わってくる。しかし、ホームズの原作を読むと「新一、ガチオタじゃん」ということが分かってくる。

コナンに散りばめられたホームズネタに気付くことは、まるで作者が意図せず撒いた伏線を勝手に読者が拾う状況と同じである。

ホームズ、優秀過ぎる

こんなひねりも無い小見出しを付けて悪いが、マジでホームズは優秀である。

殺人現場に訪れたホームズは、現場の証拠を見ただけで、犯人の身長や顔の様子など、ほぼ完全な犯人像を挙げてしまうのである。彼は、テキトーに証拠を眺めているのではない。そんなところまで⁉というところまで見る観察眼を持っている。また、常人ではたどり着けないような卓越した推理力も持っている。物的証拠第一なので、ありとあらゆる証拠を集めるのだ。

みんな大好きコナン君も推理力はバケモンではあるが、ホームズはそれを上回る探偵だ。コナン君は証拠を集めて、しばらく悩むシーンがある。ところが、ホームズに悩むシーンは少ない。証拠や経験から、犯人や犯行時の様子をスパッと言い当てるのだ。こりゃ、コナン君はホームズのことを大尊敬するわけだ。

明智小五郎とホームズ

以前、「D坂の殺人事件」「心理試験」を読んだ。どちらも明智小五郎が登場する。レポにも書いたが、明智小五郎は心理学に精通しており、探偵業にも心理学を応用していた。明智は物的証拠よりは、人の気持ちや言動を信じて捜査するタイプである。

ホームズは、物的証拠第一である。人の話を参考にするシーンは無かったように思える。(え、無かったよね?読み飛ばした?いずれにせよ印象に薄いからそういうことにしておく。)

ホームズの卓越した探偵力は誰にも真似できないが、恐らくこの世に流通するミステリーはホームズを土台として書かれているのではないかと考える。コナンも金田一少年もガリレオの湯川先生もみんな、物的証拠から犯人を捜している。やっぱ、ホームズってかっこいいんだな。

おわりに

ホームズの偉業は大々的に報道されるべきであるが、なんやかんや結局警察の手柄にされてしまう。ホームズに魅せられたワトソンは、本作の終わりにて、ホームズの偉業をまとめて公表するとしている。その第一作が「緋色の研究」だ。

本作は2部構成となっており、第1部はホームズとワトソンの出会いから事件の犯人を言い当てるところまで。第2部は犯人が犯行を侵すまでの過去が綴られている。
私は読んでいて正直「うわちょっと長いな」と思ってしまった。シンプルに私の読書耐性がよわよわなのが悪い。もっと耐性をつけたい。

世界的に有名な本を読むことができて良かった。これでまた一つ教養が身に付いたように感じる。絶対に気のせいだが。
私の中ではホームズシリーズは始まったばかりである。今後、他の作品にも手を伸ばしていきたい。

※創元推理文庫の緋色の研究では「ワトスン」表記であるが、私の中でホームズの相棒と言えば「ワトソン」なので、本記事では「ワトソン」とした。

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