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2024年J2第34節横浜FC-鹿児島ユナイテッドFC「残り4試合全て」

前節清水戦で四方田監督は「最高の悪役になれれば」とコメントし、50000対5000の首位決戦を引き分けで終えた。横浜サポーターも「悪役」のワードに反応し、漫画スラムダンクでいう山王工業対湘北で、湘北高校が「ワルモノ見参」と登場するシーンを切り出していた。湘北はインターハイ2回戦で強豪・山王工業を死闘の末に破るのだが、これには続きがあり翌3回戦は「愛和学院にウソのようにボロ負けした」。
そこに全てを出し切ると後に影響することを示唆している。そして今節の横浜も、清水との激闘の傷が癒えぬままなのか、高いパフォーマンスを発揮することができず苦戦した。


ゴールを奪うまで

試合は序盤から横浜が鹿児島を相手陣内にくぎ付けにして押し込み続けた。クリアボールも次々に回収し、サイドからの攻撃を続けた。鹿児島は左サイド、つまり横浜の右サイドに寄るような形で守備をすることが多く、それによって横浜の左サイドは幾分スペースが広がっていた。そこを使って、中野、小川が相手ペナルティエリアに侵入した。
前半16分の先制点も左サイドのクロスが流れて右サイドのジョアン・パウロが受けなおし、中央にクロス性のシュートを入れたところに小川が飛び込んだもの。清水戦の余韻からか前半開始から相手を押し込み続けた結果のゴールだった。


無為な時間が過ぎる

横浜は相手を圧倒し、幸先よく先制したが、ここからの残り70分は何も起きない時間になってしまった。

清水戦と打って変わって、降格圏を彷徨うチームとの戦いでは1点で十分と思ってしまったのか、前線からのプレスは鳴りを潜め、受けて立つ時間帯が増える。鹿児島のシュートも枠をとらえきれないものが殆どで、それが冷や汗すらかかない雰囲気を生み出してしまったように感じる。
それなりの守備でボールが奪える分、省エネで前線にボールを入れたらおしまい。サポートも少なく、相手に回収されても怖さがなくリードしている展開に浸ってしまった。選手の中で意思統一されないまま、前半20分でクローズが頭を過るような状態だった。

追加点を奪えるほどのチャンスもなければ、リードしていて失点のにおいも感じない。個人的には、今シーズン一番何も感じない試合になっていた。疲労もあるのだろうか、福森や井上、そして山根の動きが低調なまま。攻守ともチームに連動性がない。

後半になって選手交代をして、やや押し上げる場面が出てきて狙いとしているサイドからのクロスができてきた。後半30分山根のクロスに髙橋が合わせたシュートを鹿児島GK泉森が反応鋭くセーブしたシーンが後半唯一湧いたシーンだろうか。

試合はそのまま終了し、横浜が1-0で逃げ切った。

全て勝つ

リーグ最終盤でパフォーマンスの良くない勝ち方をする場合の評価は難しい。今は勝ち点3が最重要だから内容よりも勝利という人もいるだろうし、このパフォーマンスでは今年はともかく来年につながらないという人もいると思う。でも、本来首位を目指すようなチームなのだから、相手が必死になる降格圏のチームであってもスカッとねじ伏せてほしいのが本音である。今自動昇格圏にいるというのは、偶然何試合か好パフォーマンスで勝利をしてきたチームではなく、約半年のリーグ戦で良い時も悪い時もありながら内容と結果を積み重ねてきたからこそ立てるポジションだから、リーグ終盤でも息切れせず駆け抜けてほしいという思いがある。

前回昇格した2022年も終盤まで優勝争いをしていたが、あの時は連敗と連勝を繰り返し何とか昇格を果たした。あの時のことがオーバーラップする。2年前と同じではないといいたいからこそ、良いゲームを見せてほしい思いもある。3位対象のチームが負けたから昇格が決まり、その後の試合で負けるという恥ずかしさすら感じた2年前と同じ轍は踏まない。

自動昇格までの勝ち点マジック5が、横浜が勝利したことで2となった。残り4試合で勝ち点11差。残り4試合で横浜が勝ち点2以上を積むか、長崎が1試合でも引き分け以下で横浜の昇格は確定する。長崎が自動昇格するには、長崎の全勝はマストとなった。

今節清水が引き分けに終わったことで、横浜は再び首位に返り咲いた。もう清水との対戦はない。残り4つ全て勝てば自力での優勝も決まる。

プレーオフ争い真っ只中の仙台と岡山との試合が続く。この日のような選手の気持ちや考えがバラバラな状態では負ける。試合終盤のPKを外して秋田に敗れた仙台、長崎を倒すも甲府に大敗した岡山。このままでは終わらないだろう。バウンスバック。得てしてこうした悔しい敗戦をしたチームが一気に立て直してくることはある。

それでもだ。横浜の方が強いクラブであると試合に勝利して認識させることが首位のクラブの矜持である。仙台、栃木には前半戦で敗れている。山口には勝てなかった。まだ取り返すべき忘れ物がある。


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