見出し画像

㉔決裂

梨乃からの報告から約1週間後、LINEが来た。

相手は梨乃。

内容は




【やっぱり堕ろす事にした】

だった。



【堕ろすという選択肢は絶対にない】

そう言っていたがどうしたんだろうか。
両親に反対された?
いや、でもそれでも産みたい、産むと言っていたのに。

『何かあった?大丈夫?』

私はそう返信した。

そして来た梨乃からの返信に
私は、言葉が出なかった。


・つわりが始まり、毎日体調が悪い
・寝ているしかできない
・両親に話したが、産むことに反対なので頼れない
・親に頼れない、つわりで具合が悪い、私一人では無理
・こんなに具合が悪くなると思わなかった

との事だった。

そんなの…わかっていた事なのでは?

確かに未経験だから、私にだってわからない

でも、ではあの発言は
体調も悪くなることもなにもかんがえてなかったのか。

確かに莉乃は昔から身体が強く、
悪阻で休む同僚野口をよく言っていた。
「そんなに具合悪くなる??」みたいに。

当事者になってやっとわかったか。

辛いのもわかる、しかしそんな簡単に…


【堕ろすという選択肢は絶対にない】

という強い意志を感じたと思ったが
違ったようだった。

しかし、本人が決めた事だったので攻めたり否定したりはしなかった。



ちなみに私はこの先、梨乃と距離を置くことになるが、この時はまだそんなつもりはなかった。


堕ろすことは良いことではないが、それぞれの事情がある。
私が口を出すことじゃないと思っていたから。

そして手術の日、夕方に梨乃から連絡が来た。


この連絡が、私が梨乃と距離を置こうと決めたきっかけの1つ目だ。



【手術終わったよ。
終わった瞬間から具合悪いのが無くなった!
気持ちも前向きになってすっきりしたよー!】



具合が悪くなくなったのはつわりがなくなったから
つわりがなくなったってことは、赤ちゃんが居なくなったから

それで、すっきり?前向き???

私は、梨乃のこの言葉に完全に引いた。

そして連絡はまだ来る。



【今週の日曜日、一緒にネイルに行けるよ!】


手術前に、日曜日に一緒にネイルに行きたいと言われていた。
妊娠前はいつも一緒に行っていたから。

しかし術後の経過もあるし、連絡はまた後ですると言われていた。
その時は、こんな言葉を彼女の口から聞くなんて思ってなかったし、
きっと凄く落ち込んでいるだろうから、少しでも気分転換になれば…と思い承諾した。

しかし今はもう、梨乃の顔を見たくない…

だが、いつもネイルの後に食事をするのが定例になっていたので、きっと食事して帰ることになるだろうなと思った。

しかし、その予想は外れることになった。


【でもねネイルの後、別の用事があるからネイル前にお茶しない?】

食事より、お茶ならまだ時間が短い。
私は承諾し、連絡を終わらせた。


その後も梨乃の言葉がずっと頭の中で回っていた。
しかし、こんな話他の人に言えるわけもなく…
私は一人でモヤモヤと戦っていた。

そして当日。
梨乃は普段通りに見えた。
しかし、色々思うことはあったようで
お茶を飲みながら語っていた。
私は、正直あまり真剣には聞いていなかった。
聞きたくなかったから。

そしてネイルの時間が近づき、移動するとき
私は何気なく聞いた。

『ネイルの後の用事ってなにがあるの?』と

その時の梨乃の返答

これが、私が梨乃と距離を置こうと決めたきっかけの2つ目。

「マッチングアプリの人と会うんだ!次に進まなきゃだし!」

私は、もう彼女を生理的に受け付けたくなかった。

子供を堕ろして、スッキリした?

その堕ろして、3日後にはマッチングアプリの男と会う??

たった数日で…

普段通り過ごすだけで精一杯の人もいるだろう
でも梨乃は…男を求めた

信じられなかった。

私はこの日から、梨乃との接触を
避けるようになった。


いいなと思ったら応援しよう!