呪いの言葉
私はエステティシャンに憧れて、19歳で美容の業界に入った。
有名芸能人が広告塔の大手エステサロンである。
私が当時就職した年は内定切りがある年で入社前研修もふるいにかけられているような地獄の研修だった。
以前テレビで拝見した管理者養成学校の様子はその研修と被った。テレビを見ていて動悸がしたほど人生の中でインパクトの強い経験だった。https://www.hell-camp.com/
私は10代後半は自信の塊だった。なんでも上手くいくし、私のままぶつかっていけば人に認めてもらえるとどこかで思っていた。地獄の研修ではその自信と、私の持つ正義感はことごとく打ち砕かれた。
研修の中でも行動基本動作10ヶ条の時間がまさに地獄絵図だった。行動基本動作10ヶ条という丸暗記したものをみんなで息継ぎのタイミングさえも揃えて唱えるものだった。
当時それを1日で覚えさせられ次の日からは暗記で唱えていた。研修中は毎日その10ヶ条と技術の暗記に追い込まれ睡眠時間は2時間も取れないほど。追い込まれていた。
声を出すのは部活動をずっとやっていたので自信があったが、次元が違かった。涙どころか穴という穴から何かが出るほど力み、目はひん剥き、声は声にならないほどの声量なので嗚咽も出る。しかしそれを良しとする。自分の限界を超えるのがその行動基本動作10ヶ条の時間なのだ。
自信がないものは名指しされることもある。一人の人に集中する日もあり、ある日のあまりの集中攻撃に見兼ねた私はその子の代わりに私がやるという提案をした。しかし、それもことごとく否定された。私のその正義感は社会には役に立たないと。
確かに正義という定義は難しいもので使い方を間違えると誰かのためには決してならない。
今思うとあの時は洗脳され、これを乗り越えたら一人前になれる。自信になる。と思っていたが、正直トラウマである。
入社前の研修を終え、月に一度ある技術試験の時もピリピリしたムードの中行われる。
とある技術試験の日、途中から私の技術を誰も見ていないことがわかった。試験後、合否の際に「お前の技術は見ていない」と言われた。なにがいけなかったのか教えてほしいと、このままでは自分のお店に帰れない上司に説明できないと懇願するが、一言。
「お前の性格の悪さが技術に出ている。見る気にもならなかった。」という試験管の言葉。
そう。これが呪いの言葉だ。
私は人に何かを提供したいと思っていたが、そもそも私はそれを出来るに値する人間ではなかったのだ。
たまにその言葉が脳裏によぎり手が震える時がある。ドキドキする。
でも勝つ。その言葉を言い訳に私が弱るのは違う。私はその言葉にもあの時放った教育課の課長にも、自分にも負けない。
と言うのをたまに思い出します〜♩
重ーくなったので軽くします〜〜♩
よくスクール時代はレッスンの片付けや掃除の時間に口笛を吹いては怒られていた。でも少年みたいだ、と先生や同期が笑ってくれた。
とあるテレビ番組のひな壇に座った時、そのエピソードを紹介したくらいだ。お笑い芸人さんの笑いも取れた。すごく嬉しかった。
私はあの研修でかかった呪いに負けない。陽気な明るい思い出を武器に仕事場へ立つ。
今の自分でいいのかと自信がなくなり、手が震える日もある。でもいいのだと。
一緒に働く人を患者様を暖かく包むのだ。私が出来ることは明るく人に接すること。
今日もいってきます!
素敵な一日になりますように♩
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