E245:ねるとんに映らない人たち
時代はバブル真っ只中。
私が高校生だった頃、「ねるとん紅鯨団」という番組が絶頂期を迎えていました。フジテレビ系列、時間は土曜日夜11時。
世の中も、フジテレビも、
ものすごく勢いがあった頃です。
余談ですが、関西も関東も「8チャンネル」だけは共通しておりまして、あの頃、リモコンの「8」の数字が、(よく押すので)剥がれてしまうことがあったんですよ。まあ、今ではちょっと考えられないですね。
「ねるとん紅鯨団」とは、簡単に言うと、集団お見合い番組です。基本的に「ファーストインプレッション→フリータイム→告白タイム」という流れで
告白タイムは、基本的に男性から女性へ
というパターンでございました。
(年に1回、バレンタインデーの頃に逆パターンもありましたが)
そんな勢いのあった番組ですが、高校生の私は時として、複雑な思いにとらわれることがありました。
それは、「オンエアされる人は結局決まっている」ということなんです。
例えば、とてもキャラが立って、司会のとんねるずに気に入られたり、番組上、盛り上がる特技があったり、ものすごく可愛い子とか、ものすごくカッコいい人とか…。
そういう人は、当然告白タイムでも、番組の盛り上がりに貢献して、かなり長い間映っているわけですが、当然その逆の人もいるわけです。
中にはなかなか声をかけられずに、ただウロウロして、どうしようもない人もいます。それでも、そこにキャラが際立って、うまく笑いに変わればいいんですけど、そこにさえ引っかからない人っているわけなんです。
なんとなく自分はそんなタイプのような気がして、番組に出る予定もないのに、その、「あまり放送に乗らない人」に感情移入してしまって、気が重いこともありました。
基本的には楽しく見ていたんですけど、どうしても
「あの人、さっきから全く映ってないな」とか
「あの娘、地味だから人気ないのかな」とか
そういうことが気になるようになってくるのです。
それでも、男はまだいいんです。
男が告白するシーンは基本的に放送されるので、
たとえフラれても、一応放送には乗るわけです。
問題は女性の場合です。
1人の女の子に告白が集中して
次から次に
「ちょっと待った!」コールがかかる。
これ、番組としては最高に盛り上がる瞬間なんでしょうけど、1人の女の子に集中すればするほど、
「結局誰からも告白されない女の子」が存在するわけで、そういう子は、放送にも乗らず、ゲストのアフタートークの話題にも上がらず、その後どうなったかの説明は全くと言っていいほどされません。
あの番組は、ある女の子が告白されると、その横にいる女の子は、カメラの邪魔にならないように、ちょっと避けるんですよね。
後で別の人から告白されればいいんでしょうけど、
そうやって、避けたのを最後に、結局誰からも告白されず、それ以降二度とテレビに映らない女の子もいたわけです。
ここからは、私の勝手な想像ですけどね。
VTRが止まって
「はい、オッケーです。お疲れ様でしたー!」
とかなんとか、ADに言われて、スタッフが撤収作業するなか、本人の気持ち的には、全然オッケーじゃないのに、1人でドボトボ家に帰ったんだろうか…なんてね。
そんなことを考えると、なんだかこう、胸が締め付けられるような思いがしたんです。
何も触れないのが優しさ、なのだとは思います。
それは当時の私にも理解できます。
でも、だからこそ、「なんとも言いようのない切なさ」を感じてしまいまうわけでね…
自分が全くモテる人間でもなく、うまくコミュニケーションを取れる人間でもなかったので、そういうことを強く考えてしまう少年でございました。
多分、そんなことをあえて話題にする人は少ないのかもしれませんね。
後になって当時の感情を、人に話すと、
「いかにも、源太さんらしいわ!」
と言って笑ってくれる好意的な人もいれば、
「どうしてそんなに発想が暗いの?」
なんて言う人もいて、(←暗くて悪かったな)
反応こそ様々なんですけど、私はどうしてもその
「決して光が当たらない人たち」が気になって仕方がなかったんですよね。
私って、変ですかねー?🤣
ほな、おやすみなさい…
【連投166日目】