ドラマ「鈴木先生」を全話見たよ
やっと見れた~!ずっと見たかったからうれしい!!Paraviありがとう!!!!
生徒を好きになるのはアリかナシか問題
原作漫画は、中学教師でありながら教え子の中学生女子を女性として見てしまう苦悩を、気持ち悪いくらい生々しくリアルに描いた作品です。私が読んだ当時は、そりゃまあ教師とはいえ人間だし成人男性だしそういうこともあるよな、とどちらかというと「鈴木先生寄り」な寛大な気持ちだったんです。
※漫画の感想はこちらから。
でもドラマ見て、役者さんという実際の人間で作られたこの世界観に改めて触れてみて、気持ちが変わりました。
やっぱだめだ。気持ち悪いわ。
思うに鈴木先生の恋心は、やっぱり肯定しちゃだめなんです。
ドラマ見た後も、漫画読んだ後と同じく「寛大な視聴者」でいたかったけれど、やっぱムリ。やっぱだめ。
じゃあ否定するのか?というと、人の心の中まで裁く権利はないし、「人間なんだから仕方ない」とは心底思う。理屈は理解する。
じゃあ鈴木先生の恋心に対して抱く気持ちの、正解は何か。
見て見ぬフリだと思います。
肯定も否定もせず、「わかった。わかったけどやっぱ気持ち悪いから女生徒好きとか二度と言わないで。隠し通してね」。それだけ。
だから、知ってもただ受け入れてる恋人の麻美さんの対応がやっぱり正解だったのかな~、なんて思いました。
キャスト良すぎ問題
当時今ほどは注目されていなかった、長谷川博己、土屋太鳳、松岡茉優、北村匠海を起用していたという先見の明についても言及したいんですが、それより何より職員室の面々!キャストが良すぎる。演技力が高すぎました!
特に良かったのは足子先生役の富田靖子さんと山崎先生役のぐっさん(山口智充)。個人的には長谷川博己さんが好きなんですが…
足子先生、中学・高校にこんな先生いたわ~って見ているこちらがノスタルジーを感じるほどに「家庭科担当まじめすぎ面倒くさい独身女性教員」が板についていましたね。しぐさも表情も。
要領が良い鈴木先生への嫉妬に駆られ、貼り付けた笑顔ですれ違いざまに「アンタナンカ、シネ」って言うシーンがあるんですが(思えば何なんだよあのシーン)、怖すぎて一人で声出して笑いましたね。
そして山崎先生。
ぐっさんは好感度の高いタレントさんというイメージだったのに、生徒からの人気が高い鈴木先生への嫉妬とストレスで爆発・暴走するシーンが本当に怖くて。
しかしそのシーンもさることながら、その失態によって退職することになり職員室に荷物を取りに来て、改めて鈴木先生と対面したシーンが凄かった。
憑き物が落ちたような・・・ってああいうのを言うんでしょうか?悟ったような、諦めたような、一度大暴れしていたとは思えない表情。
いわゆる見せ場ではないシーンでも、細かいところの表情が凄いなと思いました。山崎先生が登場するエピソードは共感性羞恥が凄いのであんまり見返したくないけれど(笑)。
最後に
小川さん(土屋太鳳さん)の髪型はロングヘアじゃなくて原作通り黒髪ショートが良かったな。
ミステリアスな感じは出るのですが、漫画のキャラじゃないんだから…と思ってしまいました。いや、漫画のキャラなんだけど。漫画のキャラでありヒロインでありながら、やや垢抜けない素朴な普通の中学生でもある感じが小川さんの魅力だと思っていたので、量の多いさらさらストレートが揺れるたび、小川さんならこれを切るかまとめるかしそうなのにな~、とつい気になってしまいました。
あと。最近ドラマ「ミステリと言う勿れ」で「いじめっ子はそうせざるを得ないほどに病んでいる可能性がある」「いじめられっ子ではなくいじめっ子のほうが隔離されるべき」というセリフが放送されましたが、本作の神田マリ(工藤綾乃さん)はまさにそういう中学生なのでは?と思いました。
絶対病んでるよ。彼女には救いが必要に違いないと思いました。
テレ東は攻めたバラエティを放送しているイメージでしたが、ドラマも凄いんですね~。流行りにとらわれず、面白いテーマを良いキャストで作っている感じが、印象に残りました。
原作のエピソードの取捨選択の仕方や構成の仕方(基本的に1話完結型だったり、原作では2話分にあたる給食がテーマの話をドラマでは1話にまとめたり)が、見やすさやテンポの良さにつながっていると思いました。原作、物事が深く考えられていてめちゃくちゃ面白い漫画なんですが、その分、テンポが良いわけではないと思うので。
原作の良いところを汲みつつ、とっつきにくさを構成とキャストでカバーした素晴らしいドラマでした~!