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今年一番暑い日に、ガソリンスタンドで神と出会った話。

今日の夕方のこと。
愛車を走らせていたら、突然エアコンが温風を出し始めた。

私の愛車は、馬力のない軽自動車。
信号待ちなどで停車時間が長い時に、風が若干ぬるくなることは以前からあった。
なので「走ってたらそのうち、また冷たい風が出るでしょ」と思ったのだけど、その期待は見事裏切られ、延々と温風を浴びることになった。

車のエアコン、突然の故障。

まあ故障なんていつだって突然で、「そろそろ壊れるんで準備しといてくださいね」なんてことはないんだけども、それにしても本当に突然だった。

そして、今日の名古屋の最高気温は38度。
夕方になったとはいえ、車に表示された外気温は37度。
そして晴天。

日差しががんがん当たって車内の温度は上がるし、さらにエアコンは温風を吹き出し続ける。

暑い。暑すぎる。蒸し焼きになる。
とりあえず窓を開けてみると、外の風の方が涼しい。
そうか、温風を止めればいいんだ。(気づくのが遅い)

窓を全開にして、外からの風でなんとか涼を取りつつ打開策を考えた。

ディーラーに持ち込もうかと思ったけど、車で20分ほどかかる。
帰宅ラッシュの時間だから、もしかしたらもう少しかかるかもだし、ディーラーだから「今混み合ってる」とか言われて修理してもらえなかったら詰む。

というのも、明日は朝から母の病院送迎の日。
それまでに涼しい風が出るようにしたい。

他にはオートバックスとかイエローハットもあるけど、どれも遠い。
20分かそれ以上かかる。マジで無理。暑くて死ぬ。

そんな時ふと「そういえば、ガソリンスタンドもオイル交換とか点検をやってくれるって書いてあったな」と思い出し、いちかばちかで最寄のガソリンスタンドへ向かった。

ガソリンスタンドに入ると、若い男の子の店員が2人立っていて、給油コーナーへ誘導してくれようとしていた。

「違うのー!!!」と手をぶんぶん振りながら、誘導を全く無視して彼らの前に横付けし「エアコンが壊れて熱風が出るんです。助けてください」と言った。

すると一人の男の子が「あ、じゃあピットに入れてください」と言うのだけど、もはや暑さで頭が働かない私は「ぴっと?ぴっととは?」とフリーズ。
男の子が「ついてきてください!こちらです!」と修理コーナーに誘導してくれた。

車を停めて「さっきまで冷風が出てたんですけど、突然温風が出るようになってしまって」と話すと、エアコンの吹き出し口に手をかざし「温風ですね。一度見てみますので、よかったら中の涼しいところでお待ちください」と案内してくれた。

「ありがとうございます。お願いします」と車を託し、汗だくの私は待合室へ。
ああ涼しい。人間に戻れた気がする。

5分もしないうちに、さきほどのお兄さんがやってきて「どうやらガスが切れているようです」と説明してくれた。

エアコンはガスで冷やしているらしい。
図にするとこういうこと。いや全然分からんけども。

参考文献:【自動車用語辞典:空調「概説」】快適な車室内空間を生み出すための空調システムとは?(2022年5月17日)


お兄さんは、ガスの量をはかるメーターの目盛を指差しながら「本当はここまでないといけないガスが、今ここです。だから冷えないんだと思います」と。
続けて「ガスの補充ならうちでもできますが、3,000円かかります。どうしますか?」と聞かれたので、かぶせ気味に「ぜひ!お願いします!」と依頼した。

「わかりました!ではまた中でお待ちくださいね」と優しいお兄さん。

よかった。
何万円とか言われたらどうしようかと思った…。


さらに数分待つと、またお兄さんが呼びにきた。
「ガスを補充したら冷たい風が出てきたので、一度確認していただけますか?」とのこと。

車のところへ行き、エアコンの吹き出し口に手をかざすと冷たい風が!!

「冷たいですーー!」と喜ぶ私に「よかったです!」と笑顔のお兄さん。

お兄さんが神に見えた。
ああ、君は神か。神なのか。

すると、神お兄さんは言った。

「実は、ついさっきも同じような症状のお客さんが来られて、その残りのガスを使わせてもらったので、お代はいらないですよ」

いやいや何言ってんの!!
神にも程がある!!

もしかしたら、「ガス1本3,000円」っていう設定なのかもしれないけど、お兄さんの人件費とか手間賃があるでしょうよ!
お兄さん汗だくじゃん!

「そんなんダメです!払います!払わせてください!」

私の剣幕に負けたお兄さん「いや…うーん…じゃあ…半額の1500円でどうでしょうか」

なんだこの謎の交渉!
普通払う側が値切るでしょ!
逆じゃん!

と思いつつ、日々の猫費で財政難のため「ほ、本当にいいんですか…助かります…」とお言葉に甘えて1500円をお支払いし、ガスを補充していただいた。

「とりあえずは直りましたが、何か問題があるかもしれないので、もし気になるようなら、いつもお世話になっているディーラーさんに行ってみてくださいね。あと、うちも一応一年点検とかやってますので、もしよければまた…」とお兄さん。

「来ます。点検来ます」と私。
「お待ちしています」と汗だくで笑顔のお兄さん。


「本っ当に助かりました!ありがとうございました!」とお礼を言い、車に乗り込んだ。
エアコンからは涼しい風が出ていた。

窓を開けて、最後にもう一度「ありがとうございました!」と言い、ガソリンスタンドを後にした。
バックミラーを見ると、お兄さんは私の車に向かって一礼をしていた。

最後までお兄さんは神だった。


いやはや、本当に暑かった。
たまたま水を持ってたからよかったけど、そうじゃなかったら命の危険を感じる暑さだったわよ。

お兄さん曰く、暑すぎるせいで車のエアコンの故障も増えているらしいので、車に乗る時に水は持って行った方がいいかもです。
救われますよ…

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オカダトモコ 旅が好きなライター / カメラマン
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