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クリスマスに予定がないなんて、人生の敗北だと思っていた頃。

今日はクリスマス。と言っても、世の中のクリスマスって24日の夜が本番で、25日の今日はもう街からクリスマスの雰囲気は消え始めているけれども。

そう。
24日のクリスマスイブが、クリスマスの本番。

20代の頃は「イブをひとりで過ごすなんて絶対に嫌だ!」と思っていた。


あの頃、誰が決めたのか知らないけれど「クリスマスイブは恋人と過ごす日」になっていて、彼氏との予定がある女子は勝ち組、そうじゃない女子は負け組、という空気になっていた。

イブの街は、どこもかしこもカップルだらけ。
「海外では、クリスマスは家族と過ごす日なんだよ!」なんて言ってみても、それは負け犬の遠吠えでしかなかった。


20代の頃、彼氏がいなかった私は、なんとしてもその日に何か予定を入れなければと、同じく彼氏がいない子や彼氏と会わない子を探しては、約束を取り付けていた。

社会人になってからは、24日が平日だとホッとした。
「仕事だから」って言い訳ができるから。

でも今年みたいに土日だったりすると、焦りは倍増。
数ヶ月前から「今年はやばいぞ。なんとかせねば…」と追い込まれた。

だから、友達からの「ねえね、イブって空いてる?」という誘いはまるで、地獄に1本降りてきた蜘蛛の糸のように見えた。
「空いてるー!あそぼー!!」と飛びついた。

イブ当日、街はカップルだらけだから、誰かの家に行くことが多かった。
鍋パーティーしたり、たこ焼き焼いてみたり、ピザ取ったり。

何か大きなことをするわけじゃない。
ただただ「人と会う予定がある」それだけでよかった。


いつだったか、約束していた相手から、イブの3日前に「彼氏できたの♡だからクリスマス会えないの。ごめんねぇ」と言われた時は、もう死刑宣告を受けたかのような絶望感を感じた。

慌てて予定が空いてる人を探しまくって奔走して、結果、そんなに仲良くない子と大して楽しくもない夜を過ごしたっけね(失礼)

とにかく、あの頃の私にとって「イブに予定がない」というのは、とんでもなく恐ろしいことのような気がしていた。

今思えば、「彼氏のいない私」は「負け組」で「価値がない存在」で、それをひとりで噛み締めるのが怖かったのかもしれない。
だから、「彼氏じゃないけど、誰かと一緒にいる自分」でいたかったんだと思う。

別にクリスマスに彼氏がいようがいまいが、人の価値なんて変わらないんだけど、当時は世の中的に「そういうもの」って雰囲気だったし、ドラマとかもそんな設定が多かった気がする。
「29歳のクリスマス」もそんな感じだったよね。タイトルからしてそんな感じだわよね。


でもいつの間にか、家でクリスマスイブを過ごすことに、なんの抵抗もなくなった。
昔は「え?クリスマスなのに家にいるの?」とドン引きした様子で聞いてきた母も、今では「チキンどうする?ローストにする?フライにする?」と、家にいる前提で聞いてくる。

ちなみに今年はローストチキンだった。
母が、近所のスーパーで買ってきた。
「外国産と国産があるけど、どっち?」と聞かれたので国産にした。
ちょっと高かったらしい。


そんなこんなで、クリスマスの時期になると、当時の切ない気持ちが蘇る。
きっと楽しい年もあったんだろうけど、焦って奔走してる年の方が多かったし記憶に残っているから、胸がぎゅうってなる。

この苦みを全部を払拭できるような楽しいクリスマスの思い出を、死ぬまでに作れたらいいなぁ。

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オカダトモコ 旅が好きなライター / カメラマン
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