坂戸日記 2024.08.13
2024年8月13日(火)晴れ。
連休6日目。図書館に本を返しに行こうと思ったら、昨日の月曜日はやっていて、今日が振替の休日になっていた。たしかに市民サービスとしてはそれが正しいよなぁ。
バルザックの短編集『グランド・ブルテーシュ奇譚』読了。思ったよりサクッと読めた。私は「マダム・フィルミアーニ」が好きで良かったかなぁ。「ファチーノ・カーネ」も良かった。
バルザックは若い頃にたぶん『ゴリオ爺さん』か『谷間のゆり』を読んでいるはずだけど、すっかり忘れてしまった。 「マダム・フィルミアーニ」も「ファチーノ・カーネ」も、この年齢になったからこその面白さを感じた。
その後、午前中は『ニーベルングの指環』の第2部《ヴァルキューレ》のDVDを観る。昨日、山崎太郎『《ニーベルングの指環》教養講座 読む・聴く・観る! リング・ワールドへの扉』を読んだので、あらすじや物語の展開、意味がわかっているので、ふむふむという感じで楽しい。
観ているのは、メトロポリタン歌劇場で、ジェームズ・レヴァインが指揮をしたもの。
午前中は第1幕まで。 元々、ジェシー・ノーマンが好きで『4つの最後の歌』とか良く聴いていたのだけれど、《ヴァルキューレ》ではジークリンデ役で出演していて、やっぱりいい。私はジェシー・ノーマンが好きなんだなぁと改めて思う。
昼食後から第二幕。やばい、前半のヴォータンの長口上にも、中盤のジークリンデの嘆きにも、後半のジークムントとブリュンヒルデの会話にも、そして最後のシーンにも、ちょっと感動してしまった。少し休憩してから、最後の第三部を観る。第三部もなかなかに見ごたえがあった。
全体を通して《ヴァルキューレ》、私にとってはいままで観たオペラの中で一番面白かったかもしれない。
夕方からは、御子柴善之さんが訳した『道徳形而上学の基礎づけ』を読み始める。まずは解説とあとがき。そのあとどうするかは考え中。
『道徳形而上学の基礎づけ』の出版年は1785年だけれど、御子柴さんの解説によるとカントは純粋理性批判(第1版: 1781年)より前から考えていたとあるし、純粋理性批判 第2版が出たのが1787年、実践理性批判の出版が1788年ということを思うと、道徳のア・プリオリというテーマはずっと考えていたんだろうなと思う。
3月からの『純粋理性批判』の長編読書会のもっとも大きな成果は、御子柴さんのこの本の解説の30%くらいなら、「きっとこんな感じかも」と思えるようになったかもしれない。つまり、ほんの少し、読書筋力がアップしたと思う。
考えるということに関しては、やっぱりカントはすごいなぁと改めて思う。
会社に入ったときに隣の課の課長だった蓮尾さんが「おかだま君、考えることは、最後まで振り切って考えることができるかにかかっているんだよ」と話してくれた。本当にそうだと思う。いまだにそれは難しいし得意ではないけれど、若い頃の自分にもっとも足りなかったのはそのあたりだったんだろうなと今なら思える。