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恋する女たち(1986)
U-Nextに『恋する女たち』(1986)があったので観てしまう。
原作の氷室冴子も、監督の大森一樹も死んでしまった。こんな台詞回しやカットの映画は、令和の時代にはもう絶対に作られないだろうと思う。 面白いとか面白くないということを超えて、「もう作られない」という寂しさが映像として固定化されている。
脇役の小林聡美や蟹江敬三、室井滋がいい味を出している。不倫騒動の感想を問われて「飯が不味いです」と答えた斉藤由貴や、スケバン刑事Ⅱの相楽晴子、おニャン子クラブだった高井麻巳子は、それぞれに台詞回しはたどたどしいが、それぞれにそれぞれの人生を歩んでいるようだし、これはこれでひとつの世代を切り取ったものとしてありなのだろう。
いずれにせよ、もう暴走族は海岸で決闘しないし、ナイン・ハーフとナインが同じ映画館でかかっていたというわかりやすい小ネタも使わない。たどたどしさやベタな脚本や演出もわざとかもしれない。そこが、省みられないかもしれない時代を映している。
雨戸のある家もだんだんと少なくなった。