介護・福祉×ITツールの導入事例を分析してみた
どうもこんにちは。
グロースハックラボの岡部です。
ぼくは前職のケアコラボ在籍時に導入事例を制作していて、独立してからも数多くの導入事例を制作してきました。
おかげさまでいろんな方からご発注いただき、「介護・福祉×IT」の分野だけでも50件近い事例を制作してきました。(本記事の執筆時点の数字です)
そこで「自分の得意な領域で導入事例を制作しているサービスや会社はどれくらいあるんだろう?」と、ふと気になりました。
自分の考えの整理も兼ねて、いくつかのサイトをまとめて分析してみます。
ウェブ上に公開されているものを集約しているため、執筆時点と情報が異なる可能性があります。(最終更新:2024/10/18)
またご覧いただく方に知り合いが多いと思いますが、特に善悪を言いたいのではなく今ウェブ上に公開されている情報をまとめたものになります。
もし古い、事実と異なることが書いてあれば非常に申し訳ありませんが、ご連絡をください。修正対応いたします。
導入事例の前提
BtoBサービスにおいて、導入事例は超重要です。
「自分たちも使えるだろうか?」「失敗したくないなー」という気持ちを解消するために非常に重要なコンテンツです。
そのためには「共感を生むコンテンツ」でないといけないし、自分たちに近い事例を探しやすいのが大事。
ウェブマーケティングで有益な分析をされているWaculさんの調査からも、ウェブサイトのコンバージョンに大きな影響があることが分かります。
このレポートを要約すると大事なポイントは以下の通り。
ウェブマーケティングの目線で言うと、これらの条件をすべて満たしているサイトはコンバージョン率が高く優秀であると言えます。
ではこの条件を満たしているサイトがどれくらいあるんだろう?という単純な疑問が今回のレポートのきっかけ。
ということで、思いつく企業17社を集計してみました。さすがに数が多いので、ウェブマーケティングやってそうな会社、かつ業界特化のサービスからピックアップしています。
なお集計にあたり、こちらのカオスマップを参考にさせていただきました。
毎年更新されてるこばやしさんすげー。いつも参考にしています。感謝です。
導入事例の件数
まずは導入事例の件数について集計してみました。
先ほどのレポートによると、30件あればコンバージョン率は純増、それ以降は件数とコンバージョン率が比例しづらい。事例ページが12件未満だと事例ページを経由した際にコンバージョン率が下がってしまうということでしたね。
条件を満たしたサイトはどれくらいあるのか見てみましょう。
なお導入事例が0件の企業もいくつかありましたが、今回は集計の対象から外しています。
※2024/10/18時点での情報です。各社さん事例は増やして行かれると思うので、読まれた時点で表記よりも多くなっている可能性が高いですがご了承ください。
導入事例が30件以上のサイト
ほのぼの(65件)
ケアカルテ(57件)
ケアコム(52件)
ドクターメイト(38件)
Rehab Cloud(33件)
導入事例が30件未満12件以上のサイト
導入事例が12件未満のサイト
カイポケ(9件)
ブルーオーシャンシステム(9件)
スペシャル ラーニング(8件)
ケアズ・コネクト(6件)
SCOP(2件)
導入事例ページのUI/UX
Waculさんのレポートによると、事例詳細ページ内に導入事例集の請求ページを設置、事例トップページのファーストビューで導入実績をアピール、業界や課題など絞り込み機能を実装するとコンバージョンが向上するとのことでした。
特に30件以上事例があるサイトは絞り込みの重要性が高まるとのこと。
詳細ページに導入事例集請求の導線があるサイト
事例ページのファーストビューに導入実績があるサイト
30件以上の事例がある、かつ条件で絞り込みができるサイト
30件未満12件以上の事例がある、かつ条件で絞り込みができるサイト
ぼくなりの気付き
結論として、Waculさんのレポートにあるコンバージョンを向上させる要因をすべて満たしているサイトはなかったです。
またWaculさんのレポートに書いてある仮説はユーザー目線ではすごく正しいように思えました。
あくまで可能性の話だけど、データやユーザーの行動を裏付ける仮説があるので、条件を満たすように取り組む価値はある気がする。
そして改めてここまでのサイトを細やかに見ていると学びがあったように思います。
主観も入ってしまいますが、気付いたことをいくつか書いていきます。
まず一点目が読む気が起きないページがありました。
行動経済学の名著『ファスト&スロー』にあったように、人間ってなんとなくで一回判断してから理性で考える。
なんとなく読む気の起きないページの共通点は以下だったように思います。
写真が人でなく施設(安心感がないのかな?)
写真の質が低い(なんとなくの不信感?)
可読性の低いデザイン(余白やフォントサイズが大事?装飾も関係する?)
デザインが専業ではないけど、読み手の立場になると結構重要だなと感じました。
華美な装飾はむしろ読みづらいと感じたけど、可読性はデザインと関係性がありそう。
このへんの「デザインとは?」みたいなところで分析してみてもオモシロいかも知れない。
二点目は質を担保した上で数を増やすことが重要、なおかつ多いからといっていいものでもないということ。
導入事例は読んだあと「あー、うちもおんなじことで困ってたわ。これやったらちょっと話聞いてみよかな」と思ってもらうためのコンテンツです。
そのためにある程度の文量もいるし、すっと読める文章でないといけない。
「12件未満は恐らく信頼性がないように見えてコンバージョン率が下がる」という仮説も正しいと思います。
また数が多くても読まれるかは完全に別問題で、なんとなく15件を超えるページは、ソートできないと各事例をクリックする気になれなかった。
数が多くなればなるほどソートの条件が一つだとしんどいかも。
導入事例がユーザーの共感を生むためのコンテンツだとすれば、自分に近いものを探しやすくするのも大事です。
また数があればあるほどその確率も上がる気もします。
今回は分野を絞り込んでの調査だったため、事例の数は30件あれば十分だと思います。
一方でどの業界でも使えるツールは、各業界の事例をまんべんなく増やさないといけないからこのあたりは話が変わってきそう。
こうやっていくつもの企業を俯瞰してみると新たな気付きがありました。
またユーザーの行動心理に沿ったWaculさんの仮説も正しいと思いました。
ウェブサイトに導入事例を掲載されている方はなるべく早く12件以上の事例を制作し、できるのであれば30件まで増やした方がいい。
可読性を上げるためのデザインは重要。
事例ページから資料請求できる事例集もつくるべきだし、事例が増えれば増えるほど絞り込みやすいような機能を実装した方がいい。
そんなことを感じた今回の調査でした。
導入事例制作の依頼について
ピックアップした企業のうち複数社で導入事例の制作に携わらせてもらっています。
もし今回のレポートで興味を持っていただいた方は、こちらからご連絡ください。
導入事例の制作だけでなく、事例ページのアドバイスもできます。ぜひ一度お話お聞かせください。