旅館業許可でいう「便所」とは?〜いわゆる「トイレ」との違い〜
2024年3月27日更新
「旅館業許可の便所」と物理的に使える「いわゆるトイレ」とは、
100%イコールにはなりません。
「物理的に使える」とは、
一般的な「いわゆるトイレ」としての機能はあるという意味合いです。
旅館業許可でいう「便所」は、
許可を下す自治体ごとに違うというのが、悩ましい点になります。
自治体が違えば、「旅館業許可の便所」の定義が変わり、
旅館業施設を管轄する自治体ごとに確認する必要があります。
*この記事では、「便所」は旅館業許可でいうトイレ、「トレイ」は一般的ないわゆるトイレの意味合いで使っています。
4段階で確認します。
第一段階:設置場所は、適切か?
・「客室」内にあり、その客室の宿泊者だけが使うもの
・「客室」内になく、同じ階の共用部にあり、共用便所として、旅館業施設内にあるもの
・「客室」内にあるが、別途、共用部にもある。
*この3つほかにも、「客室」がメゾネットタイプ、フロントしかない階など、施設によってはさらに検討を要する場合もあります。
どこに、あるかで、これから述べる基準が、大きく変わります。
第二段階:便器数と「便所」内の便房(いわゆるトイレ内の個室)は、必要な個数が設置されているか?
便器数は、小便器と大便器で分けて、カウントします。
客室の定員(最大宿泊者数)やその共同便所の利用を想定している人数から、
最低限必要な便器数が設置されているかを、検討する必要があります。
5名あたり大便器1個を基準に検討すると、大きく間違えないと思います。
第三段階:「便所」使用後に、手を洗う手指洗浄の設備が、整っているか?
保健所では、「手洗い設備」といいます。
トイレのことを、「お手洗い」などという言い方もあるので、まどろっこしいですが、あえて、このような記載にしています。
なお、洗面所(洗面設備)と、共用できる場合もありますが、
一旦、別で検討します。
この設備も、5つに分解して判断します。
独立性(いわゆる水洗便器のタンクと同一ではないなど)
給水方式(流水式など、溜めた水ではなく、通常の水道水によるなど)
一体での使用できる位置(扉で仕切られていない、トイレとの近接など)
消毒設備(石けんや消毒液の備え付け)
トイレ使用人数への充足数(便器の数と同数など)
これが、自治体や担当者により、判断がマチマチです。
事業者から見ると、特にこの手洗い設備が、納得感がない場合が、
多いように感じられます。
例えば、
戸建て住宅(専用住宅)から、用途変更し、旅館業施設にする場合、
水洗便器のタンク上部に付属している手洗い場(手洗いタンク)が、
旅館業許可の便所での手洗い設備として、認められないことがあります。
一般的な感覚ですと、この手洗いタンクは、
「トイレ使用後の手洗い設備でしょ」となります。
しかし、独立性がなく(便器のタンクと一体)、石けんなど使えない(消毒設備がない)などで、「手洗い設備」にはならないと保健所に判断されて、
別途、「手洗い設備」増設する必要に迫られることです。
設置工事は、費用や期間でコストが発生します。
自治体の例を、あげます。
・東京都台東区
水洗便器のタンク上部についている手洗いも、「便所」の手洗いと認めています。
・東京都江東区、新宿区
水洗便器のタンク上部の手洗いは、認めておらず、独立した「流水式」の手洗い場が必要です。
・東京都港区
原則は水洗便器のタンク上部の手洗いは、認めていないですが、例外があります。
・埼玉県
消毒設備を、明確に「消毒液等を十分に供給」としており、なんらか設置しないといけないです。
消毒液等を使うので、文意から水洗便器のタンク上部の手洗いは認められないことにもつながります。
最後:換気や窓へのハエなど侵入防止の設備が設置されているか?
防臭などから、求められる場合があり、
保健所の現地確認などで、確認されることも多いです。
例えば、窓に網戸などの防虫設備がないと、許可が下りず、
設置されていない場合、後日、設置後の写真の提出ということもあります。
これらを、満たして、
旅館業許可でいう「便所」があるといえます。
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