旅館業許可の寝具は、3つに分解(寝台、収納、予備)して検討する。
旅館業許可を受ける際、
寝具に対する保健所の確認点は、主に3つに分けられます。
1 寝台(ベッド)の有無
2 布団<組布団:敷布団、掛け布団、枕>の収納場所
3 予備リネン<シーツ、布団や枕のカバー>の収納場所
1 寝台(ベッド)の有無
寝台(ベッド)の定義に関しては、下記の記事をご参照ください。
この寝台(ベッド)の有無が、次の布団の収納場所に関わってきます。
2 布団<組布団:敷布団、掛け布団、枕>の収納場所
寝台(ベッド)がない場合、
客室で使用する組布団(敷布団、掛け布団、枕)の収納場所が、
必要になります。
それは、敷いたままにしておくのは、不衛生であり、
使用の都度、上げ下ろしするという解釈に基づきます。
そのため、条文などには、明確に書かれていません。
ちょっと脇道に逸れますが、
旅館業法は、昭和23(1948)年に施行された法律になります。
そのため、全体的に、言葉少なめに書かれています。
言葉の定義や前提的な意味合いが、記載されておらず、
それらを、解釈で補っているところがあります。
なお、最近の法令は、言葉の定義などを精緻に記載する傾向があり、
長文化しています。
以前(2018(平成30)年6月14日より前)は、
・寝台あり→洋室(ホテル営業:10室以上)
・寝台なし(和式布団)→和室(旅館営業:5室以上)
の区分があり、それより、旅館業許可の営業種別などを判断していたため、現在より判断が厳しかったです。
今は、洋室・和室の区分は無くなりました。
営業種別も、「旅館・ホテル営業」に統合されました。
話を戻しますと、
寝台がなく組布団の場合、収納場所が必要になります。
この基準が、保健所によって異なってきますが、
条例・細則などに明確に書かれていることは、少なく、解釈になります。
一般的には、組布団やリネンのための収納場所は、
「客室」内に設置するなら、
鍵の有無は問わず、押入れなど衛生が確保できる形(単に畳んで、床など置くだけは不可)になり、
「客室」外への設置(同じ階の布団収納やバックヤードなど)なら、客室への持運びが可能かなどを社会通念上での判断になります。
3 予備リネンの収納場所
こちらも保健所により、大きく変わるところです。
いわゆるリネン庫(棚)と交換用予備リネンです。
寝具類の衛生的な管理で、条例規定の有無などにより、
変わります。
例えば、東京都23区は厳しいです。
そのうちの東京都台東区をみてみます。
なお、こちらは、許可基準になります。
そのため、満たさないと許可は下りないです。
この条文にある「寝具類の衛生を確保できる構造」は、
解釈により、判断することになります。
さらに、前条が下記になります。
この2つの条文から、予備リネン(シーツ、布団や枕のカバー)を準備し、その収納場所(リネン庫(棚))の確保が必要という解釈になります。
宿泊者定員数+予備(全交換分)で、2倍と判断しています。
また、こちらは、措置基準(運営上の最低限守ること)になりますが、
これらを確保するために、リネン庫(棚)内を、使用「前」・「後」で区切らないと、「寝具類の衛生を確保できる構造」とみなさいと言われる場合もあります。