炎上中の鉄拳8について好きな部分を列挙してみた

私が青春をささげた格闘ゲーム「鉄拳」が炎上している。原因は課金商法がひどいことと、中国プレイヤーを大会から締め出してしまったことだ。

ゲーム外の原因によってsteamの評価は「賛否両論」となってしまっている。また、ゲーム内においてもシステムを刷新したため、古くからのプレイヤーからは評判があまりよくなかったりする。

どうも個人的な感想を話すにはきな臭い雰囲気になってきている。そのため、逆張りの精神でここで個人的な感想を整理しておこうと思う。

好きな部分

エフェクトで技の性能がわかりやすくなったこと

前作の鉄拳7では、相手の攻撃を受け止めながら攻撃できる「パワークラッシュ」と、横で避けることのできない「ホーミングアタック」がどちらも白色のエフェクトで表現されていた。
対して、鉄拳8では「ホーミングアタック」に軌跡が緑色で表示されるエフェクトが追加された。

また、以前から難しいテクニックを成功させたときに青色のエフェクトが表示されていたが、今回表示される技の種類が増えた。

個人的には上・中・下段攻撃もヒットエフェクトに差異があってもよいのではないだろうかと感じてしまうが、ヒットエフェクトはキャラクターごとにこだわって作成されているようなので、そこは兼ね合いなのだろう。

ただ、鉄拳シリーズの喫緊の課題は「ゲームをプレイしているだけではうまくならない」ことにあると感じている。つまり、ただオンライン対戦しているだけでは視覚的に判断できる情報があまりに足りず、上手くなるには改めてリプレイを視聴したり、技表を片目にトレーニングモードにこもる必要がある。これは果たして「ゲームをしている」といえるのだろうか?

そのため、次回作ではよりこの点を強化してほしいと考えている。

美麗なグラフィックとBGM

本当にきれい。あとBGMが本当にいい。グラフィックに関しては多分歴史的にバンダイナムコの3Dグラフィックを誇示する役割があるのかな?と思っている。

より強調されたキャラクターの特徴

剣を使用する「吉光」や、チェーンソーを使用する「アリサ」など、鉄拳には昔から武器を使用するキャラクターが存在していた。鉄拳8では、武器を使用した攻撃がより実践的になり、戦略の主体となるようにデザインされている。そのせいであまりに防御が困難な場合もあるが。

また、ブルース・リーをモデルとしたキャラクター「ロウ」がヌンチャクを使用するようになったり、暗殺者である「ニーナ」が銃を使用するようになっていて、それらもまた実践的な技性能となっている。

まだまだ枚挙にいとまがないが、鉄拳8を制作するにあたりこれまでのキャラクターの特徴を洗い出し洗練した努力が感じられる。

ただ、キャラクターの弱点に関しては真逆となっている。これまでキャラクターの弱点としてデザインされていた部分を補う技が追加され、対戦バランスは大怪獣決戦の様相を呈しているので、そこも含めてキャラデザインしてほしいな~という願望がある。

高難易度テクニックの簡略化

これまで非常に高い難易度を誇っていた「最速風神拳」や「リー」というキャラクターの各種入力などが条件付きで簡単に出せるようになっている。条件付き、ということも踏まえて非常にいい塩梅だと思う。


攻めを切り返す技の強化

先ほど説明した、相手の攻撃を受け止めながら攻撃できる技「パワークラッシュ」が鉄拳8では強化されている。
また、鉄拳8から追加された「ヒートバースト」も「パワークラッシュ」属性となっていて、ヒットしてもガードされても使用した側が先に動けるため強力な切り返し手段となっている。

パワークラッシュの強化は賛否両論ある。特に一部のパワークラッシュはガードされても反撃を受けないうえ、ヒットしたときは「ヒート」という強化状態に移行できるため非常に強力な切り返し手段となっている。

ただ、個人的な意見としては対策手段が用意されているため、そこまで問題視はしていない。


投げの強化

鉄拳シリーズにおいて、投げは初心者が躓く要因となっていた。なぜなら、投げに対処するためには、相手の投げ手を見て、それに応じたボタンを非常に短い猶予で押すという難易度の高いテクニックが要求されたからだ。
※しゃがみでも回避できるが、その場合リスクリターンが合わなかった。

加えて、見てから抜けられるようになる上級者間では実用性が薄れるという絶妙な要素だった。

それが鉄拳8では前述した相手の攻撃を受け止めながら反撃する技「パワークラッシュ」に一方的に勝利するようになった。また、相手の攻撃が出る前にこちらの投げを当てると、投げを抜ける猶予が短くなる仕様が追加された。

これにより、使いどころが限られていた投げに戦略上の役割が追加された。

戦略の幅が広がる調整は非常に良い調整だと感じた。

ただし、初期Verでは投げが横移動で回避できない仕様となっていたが、これはやりすぎだと思うし、開発チームもそう思ったのかこれは削除された。

現在に残る問題は通常時の投げ抜けの難しさで、現在の仕様であっても初心者は「投げ抜けの練習をしなければならない」というストレスを抱えながら対戦することとなる。
難しい調整だと思うが、ここは令和のゲームとしてさらに調整が必要だ。

技がでる際に見てからガードできる技のリターンの減少

詳細は省くが、みてからガードできる技を当てた際のコンボダメージが減少した。格闘ゲームが他のゲームと差別化できる部分は心理戦にあると思っているので、”過度な”アクションゲーム要素は不要だと感じている。

現在でもその傾向は残っているが、みてからガードしたら勝ち、できなければ負けというリスクリターンは過度なアクションゲーム要素に感じる。

ストリートファイター6では共通システムとして上述の要素が用意されているが、鉄拳8ではキャラごとにモーションも違い、技がでる速さもガードしたときの隙も異なっている。

そのため、鉄拳8のようなリターンが減少する傾向は非常に良い傾向だと感じている。

まとめ

鉄拳8は粗削りながら、新しい試みを取り入れたいいゲームだと感じている。しかし、ゲーム内容以外の部分で評価されてしまい、実際のゲームのフィードバックが開発チームに届きづらくなっているのではないかと感じている。

個人的に強く主張したいことは「ゲームはゲームをプレイするだけで上手くなってほしい」ということだ。

これまで何時間も、何百時間も練習モードにこもり練習してきた。自分のリプレイを録画し毎日見返しているときもあった。

果たして、これはゲーム体験といえるのだろうか?

キャラクターの技表とにらめっこする時間はゲームなのだろうか?

本当に”面白いゲーム”といえるのだろうか。

そんなことを思ったりする。

鉄拳8は徐々にだが、鉄拳シリーズの難易度の高い部分を改善している。
そういった面を私は全面的に支持するし、もし次回作が発売されるのであれば、それを加速してほしいと感じている。

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