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特定非営利活動法人音楽の架け橋メセナ静岡です。

はじめまして音楽の架け橋メセナ静岡です。静岡県で文化芸術に関わる活動をおこなっているNPO法人です。2006年の設立から今年度2022年4月から17年目に活動になります。ここでは、2019年から2022年3月まで調査をした『多世代にまたがる文化事業とまちおこし事業に関わるボランティアスタッフ確保のための調査事業アートボランティアの調査』通称『アートボランティア調査』の報告を中心に日々の活動について書き記していきます。


2022年3月に発行した『アートボランティア調査』の報告書
「いちアートボランティアがモヤモヤの正体をみつけたくてアートボランティアに関わる人たちに話を聞き回った3年間の軌跡 2019⇨2021について」
はリンクからダウンロードができます。
静岡県内にはさまざまな形態の芸術に触れることができるアートイベントが開催されています。そのアートイベントにはボランティアとしてたずさわる多くの人々がいます。今回おこなった調査は、静岡県内のアートイベントや文化事業、アートを中心としたまちおこしのためのイベントをお手伝いされているアートボランティアのみなさんと主催者のみなさまから、活動の感想や求めること、日々感じたことをを座談会やインタビューで調査をしてきました。調査スタッフはお互いに話し合い、協力をして、たまに議論やぶつかり合いも経験しつつ、3年間を各々の得意な分野で活動し共有し共感することで、多くの世代さまざまな立場の皆さんとArtの楽しさを対話の場からまなぶことができました。その調査の結果をこのnoteで発表します。アートボランティアに参加をしている皆さんとアートボランティアを必要としている活動団体や行政のみなさんと、この調査の結果を共有ができたなら、現在から一歩先のゆたかな社会が見えてくるのではないかと思っています。
この調査は特定非営利活動法人音楽の架け橋メセナ静岡が「多世代にまたがる文化事業とまちおこし事業に関わるボランティアスタッフ確保のための調査事業と実践」をテーマとして、2019年7月から2022年の3月まで3年間の予定で静岡県内の文化事業の主催者やアートイベントやまちづくりイベントへの参加者を中心に、ボランティアと主催者の意識調査をおこないました。
(公財)静岡県文化財団の「ふじのくに文化プログラム推進事業助成」


web報告 No1  20220404
「大道芸ワールドカップ私的なファンとしてのボランティア活動のようなもの 」

対象      安藤良至さん
日時場所    2021年1月12日 静岡駅構内喫茶店内      
インタビュアー 音楽の架け橋メセナ静岡 高橋

俺もこの大道芸をちょっとくらい支えているかなと思えるのがいい。 単純にボランテイアの人とおんなじで楽しいんです。
連れていったみんなが、きゃーとか、わーとか、言ってくれるから。なんだ、こんなに喜んでくれるなら、もうちょっとやってもいいじゃんと思って。自分も面倒臭いじゃないですか。組織に縛られるのが。僕の中で見せたいパフォーマーの、サンキュー手塚さん、ダメじゃん小出さん、加納真実さんとか、見せたいという人がいて、そのパフォーマーたちを見せて、静岡のおでん食べてもらったりとかして、最後は、駅の鮨屋に連れて行って帰る。そういうのを何回か、親戚関係でやった時に、静岡の大道芸ワールドカップは面白いねとなってくれて。純粋に大道芸ワールドカップのボランティアではないけれども、お手伝いをしていたDラボ(スルガ銀行静岡支店のラウンジ。現在は廃止)のボランティアをしている時にね、大道芸に合わせて、Dラボで、子供たちに大道芸みたいなものを見せてもいいんじゃないかという話になって、Dラボでイベントをやっていた。僕自身が考えて、大道芸のパフォーマーを集めてきたりとか、ジャグリングの人を連れていったり。そのときに産業カウンセラー協会の広報をやっていたことがあって、その表紙に大道芸を載せようと、そこで「ダメじゃん小出」氏を表紙に使って、あと優勝者を散りばめた表紙にして作った。その記事は、自分の気持ち的には大道芸ワールドカップの応援団ボランティアをやったつもりで書いているんですね。

大道芸のお手伝いのボランティアは人に言われて、やれって言われて、やっているわけではないので、楽しいんですよね、自分の好きな日で、好きな時間で、好きなメンバーと、客側からちょっとこちら側に入っていたじゃない。ちょっと玄人ぽくなっていたところが、一番面白くて、本当の玄人(ボランティアさん)のところはすごく大変なんだけれども、俺もこの大道芸をちょっとくらい支えているかなと思えるのがいい。

文責 音楽の架け橋メセナ静岡  高橋晃一郎


 高橋からのコメント 今回掲載した安藤良至さんの「私的なファンとしてのボランティア活動のようなもの」は、内容としては特異で、果たしてボランティア調査の枠に入れて良いものか迷いましたが、楽しみながら毎年行っているファンの集いを主宰されているという点から調査報告の対象とさせていただきました。仕事上でもファンの部分を取り入れた広告活動を行っているということで、ボランティア=ファンという数式を私的という言葉で表されていました。主催者によるボランティア組織に縛られないという点がまさに自主的行動というスタイルで活動されている事例です。



web報告 No2  20220408
「アートボランティアは自分のためにも地域のためにもなるはず」   

アートボランティアは自分のためにも地域のためにもなるはず  
対象 仁科太一さん SPAC その他(学生・ボランティア その他)  
インタビュアー  プロジェクトチーフスタッフ 繁田和美
         音楽の架け橋メセナ静岡  高橋晃一郎
日時       2020年12月7日 
場所       静岡市番町市民活動センターZoomにてオンラインにて調査

アートボランティア:運営側と参加する側
ドイツと日本の違いは、アートボランティア的なもののあり方かもしれません。ドイツでは市民向けのアートプログラムに参加するというものはありますが、それは、ボランティアというより、市民向けのプログラムに市民が参加をするという形です。市民が自発的にアート活動をやっているという場合、ボランティアというよりNPOの活動になってくるかなという印象です。日本はボランティアにするということは、予算がなくてアマチュアのスタッフを利用して、運営を成立させるという風に見えます。ボランティアとして参加する側からすると、なんとなくアートを支えたという達成感のような部分を利益として得られますし、運営側は運営の担い手をなるべく低コストで欲しいので、両者の関係は成立しているとは思います。例えば就職活動のときに、「学生の頃、こんなボランティアをやりました。そこで、人間関係や仕事のやり方を学びました」というようなエピソードを語りやすかったです。ただ、就職活動の際に感じたのですが、アートが好きってことを前面に出すと企業の人から距離を置かれる感じがありました。面接などでアート系のボランティアをやったことを話す人が僕以外にも何人かいたのですが、その人はボランティアの話をしながら、溢れんばかりのアート愛がにじみ出ていました。ですので、就活とボランティアが必ずしも相関関係にあるわけではないと思いました。
私は日本で、自分から劇場の手伝いみたいなものに参加していたので、自発的に活動したという意味ではボランティアだったと思いますが、やはり無償および有償の労働という側面が強いと思います。ドイツの劇場だと、市民参加として行われているものは市民のためのプログラムとして、市民が演劇文化を体験できるように、プロフェッショナルによって運営されています。フェスティバルの運営にしても、プロとして給料をもらっている職員が責任を持って運営をおり、市民ボランティアを募っているというものはあまり聞いたことがありません。演劇を学んでいる学生が研修生として手伝うケースはありますが。その背景には、文化予算が日本に比べて安定していることが挙げられるでしょう。今回のTOKYOオリンピックなどを見ていても思いますが、フェスティバルの運営のために、ボランティアの動員を想定しているのはどうなのでしょうね。

ボランティアという感覚の違い
ボランティアの定義として、自分の住んでいる地域を良くするうえで、仕事とは別物で、収入を度外視してやる活動がボランティアだと思っています。あくまで仕事は生活のためという認識であって、それにプラスαで、自発的におこなうのがボランティアと思います。
ドイツの場合は労働時間や学校での授業時間が日本に比べて圧倒的に少ないので、その余った時間を自由に使うことができます。地域の人とスポーツをする人もいれば、環境運動をする人もいます。そういう時間的な余裕があるので、ボランティアのような自発的な活動をする時間があるのかもしれません。日本の場合、短期バイトとボランティアが似ていると思ったことがあります。専門性がなくてアマチュアでもできる雑用的な仕事。そのために人が集められ、参加しない人が一定数いても運営できる。そういう意味で、日本では、短期バイトとボランティアって運営観点からすると、近いなと思います。労働感覚の違いかもしれません。
ボランティアごとの参加の度合いと得られたもの
日本では、SPAC(公益財団法人静岡県舞台芸術センター Shizuoka Performing Arts Center 以下SPAC)のシアタークルーに参加したり、ストレンジシードの手伝いをしたりしました。シアタークルーに参加していたのは、SPACの作品を無料で見ることができるということと、劇場に何かしら貢献をしたいという思いからです。SPACファンの人のいろんな人が参加しているので、大学以外の方々と交流する機会になりました。チラシをまとめる作業のときに、おしゃべりするのが楽しかったです。ストレンジシードには運営の手伝いだけでなく、一度、大学院の友人とアーティスト側で参加したことがありますが、そのとき楽しいというよりは、しんどさが大きかったです。参加したくて参加したわけですが、緊張感がすごくあって本当に努力をしないと、成果に結びつかない。これまで観客側でいることが多かったので、立場の違いを感じました。また、1年ほど「劇団渡辺」というところに入団したこともあります。「劇団渡辺」では、劇団員としての帰属意識と責任観があり、劇団が静岡市の演劇文化を盛り上げていくことに寄与していることを誇りに感じていました。その分、プレッシャーや真剣さもあるので大変でした。
参加したなかで一番楽しかったのが「めぐるりアート」が一番楽しかったボランティアです。企画の内容自体、ものすごく好きですが、「めぐるりアート」に参加したおかげで、「静岡にもこんなに面白い場所がたくさんあるんだ!」ということを知ることができたのが、すごく嬉しかったです。ギャラリーの監視員のようなことをしていたのですが、退屈しても、「もうちょっとここにいなきゃ」となる。普段、美術館にいくと、あれもこれも見なきゃとなってしまって、じっくりと作品を見ることは難しいのですが、このボランティアに参加している時間は、長時間作品を見るしかない。それがかえって作品とじっくり向き合う機会になりました。
学生だと基本的に大学のコミュニティーの中にいるので、学外に出て活動すること自体良い経験で、アート活動をしている大人と実際に交流することが、すごく新鮮だったので、すごく印象に残っています。「めぐるりアート」でギャラリーを訪れたお客さんと一緒に作品のことを話すのが、すごく好きでした。もしかしたら、おせっかいだったのかもしれませんが、観賞経験のサポートをするというところでは、すごく参画することができたのではないかと思っています。会話をしてお互いの鑑賞経験を深める。そういう意味で一緒に作品を作れることになったのではないかなと思います。

ボランティア(自発的活動)は、自分のためにも地域のためにもなるはず
これからも仕事以外で何かに参加するみたいなことはやっていきたいと思っています。私はサードプレイス論がすごく好きなのですが、その視点からすると、今の日本は仕事や学校といったセカンドプレイスが肥大化している状況にあると思います。コロナによって、酒場やカフェなどのサードプレイス的な場所が減っていくでしょう。そのことは単に、社会がつまらなくなるだけでは済まないと思います。生きていくためには、仕事もしつつも、仕事以外で何か面白いことをしたり、ボランティア的なことに参加していくことが必要だと思います。そうした活動に参加していくことは、自分のためでもあり、地域のためになるはずです。

文責 音楽の架け橋メセナ静岡  高橋晃一郎

高橋からのコメント
仁科さんは日本の大学とドイツで演劇を研究し、実践をしてきました。学生時代から演劇を中心に静岡県内のアートボランティアとして参加をしてきました。今回のインタビューでは、ドイツと日本におけるアートイベントにおける市民参加方法の違いを独自の視点からさまざまな切り口で語っていただいて、生活とボランティアとアートの関わりについて、自分のため、地域のためと断言していただけました。調査の過程でも、アートボランティアからの要求や関わりかたが、繁田さんが提案した見返りという言葉が適切であるか迷いつつも調査のポイントとなってきました。言葉の使い方などについてはさまざまな意見があることは承知で書きますが、アートボランティアは見返りが欲しいというのが私たちの調査で出現したテーマとなりました。仁科さんは、彼が大学在学中に静岡大学が2017年から実施していたアートマネジメント100という社会人向け講座に、繁田さんと高橋が参加をしていて知り合いました。当初からは仁科くんは目標を高く設定して、大学院、そして留学と自分の目標に向けて走っています。彼は社会人として就職し、現在もスパックなどのアートイベントに関っています。インタビューではオンラインではありましたが、久しぶりにお会いできて、3人で楽しくインタビューをしています。



web報告 No3  20220411
「助っ人として呼ばれているので、責任感を感じている」


対象 原泉HARAIZUMI ART PROJECT サポーター
オルタナティブスクールみのりの泉 ビッケル・ブレンダンさん
インタビュアー  プロジェクトチーフスタッフ 繁田和美
         音楽の架け橋メセナ静岡   高橋
日時場所      2021年8月5日 原泉茶工場跡にて調査
オルタナティブスクール実りの泉のこと
羽鳥さんはサポーターの実りの泉について話します。
2019年までは海外アーティアストが来ていて、直接交流していたので、みんなと信頼関係ができていました。2020年はコロナで来日して原泉に滞在することができなかったので、海外からオンラインでやり取りを繰り返し、アートデイズ!の作品を作り上げました。実りの泉の生徒たちが、現地で体を動かし海外アーティストの作品を形にしてくれました。また原泉の子どもたちも作品制作の一端を担いましたが、バイリンガルである実りの泉の生徒たちがアメリカ人アーティストの通訳をし、つなげてくれました。

対象 ビッケル・ブレンダンさん 
実りの泉卒業生で、現在はアルバイトスタッフとして関わるビッケル・ブレンダンさん
に聞きます。アートディズ!は他のアート展よりも、もう一歩その場所や作品に近づくことができます。アート展とかミュージアムに行ってただアートをみるのと異なり、そこにアーティストがいて、話を聞いて、考えていることを理解して、また作品を見ると、全然違う考えがいっぱいに入ってきて、もっと体感することができます。身近にアートを感じることができて魅力です。サポーターとしてのモチベーションは、助っ人として呼ばれているので、責任感を感じていることです。これから社会に出ていく中で、役に立ってくることだと思うので、人生経験として関わって、手伝いができるのが大切な要素だと思います。

文責 音楽の架け橋メセナ静岡 高橋晃一郎

高橋からのコメント
各方面から注目の原泉アートプロジェクトのサポーターの皆さんに真夏の暑い盛りにインタビューをお願いしました。当日は茶工場跡でのOPEN AIR SPACEオンライン企画の真最中で、インタビューに赴いた私たち2名もイベントに参加をしながらのインタビューとなりました。国内外の作家のアートレジデンスが中心の原泉アートプロジェクトは海外からの参加アーティストがコロナによる来日規制で来れない。けれどもそこに行くと作品は存在する。地元の皆さんがサポーターとなって作品を作ったとは聞いていましたが、ブレンダンさんをはじめとする、みのりの泉の皆さんがその中に入って作家とサポーターをつなげていることで、作品が成り立っていることを初めて理解をしました。地元の方やサポーターが参加をするための仕掛けがどんどん進化しているアートプロジェクトです。代表の羽鳥さんはものごとを察知する能力が高く、とても感度の高いアンテナを張られています。その発表の場である原泉アートディズ!はますます期待できるアートフェスです。今年の開催が待ち遠しいです。



web報告 No4   20220416
「自分が楽しいからいくぞ」


対象             松浦栄一さん  オリンピックパラリンピックボランティア
インタビュアー        プロジェクトチーフスタッフ 繁田和美
日時場所2021年9月23日   静岡市番町市民活動センター

1964年におこなわれた東京オリンピックの1番古い記憶っていうのは聖火を見に、3歳の頃に祖父の背中に背負われて、草薙あたりに見に行った記憶
その記憶がずっと自分に残っていて、実家には当時のオリンピックグッズが、いろいろ残っていて、子供の頃からそれをずっと見ていました。なんとなくスポーツが好きで、これはオリンピックの絵葉書で、国立競技場ができた時や他の会場ができたときとか、聖火とかね。
2006年にシアトルにイチロー選手の試合見に行った時に、カメラを持って球場内をウロウロしていたら、青年がやってきてカメラを見て、「お前、ここから撮影しろ」と言われて。結局その青年もボランティアだったね。一緒に近くで野球を見ながら。シアトルマリナーズの応援をしている感じが、心の中に残っていて。2011年に東日本大震災のときに、1995年の阪神淡路大震災の時にボランティアに行けなかったことがずっと心に残っていて、静岡県から静岡県ボランティア協会のバスで知らない人たちとみんなで一緒に行って、ボランティアの壁が全然なくなってしまって。2018年9月から東京オリンピックボランティア募集が始まってすぐに応募をしました。

最初の国際大会はラグビーワールドカップ日本大会のボランティアを経験
オリンピックの前哨戦でラグビーのワールドカップにも参加をしてみようと応募しました。ラグビーワールドカップで、一番に思い出に残ったのは、日本が勝利した日本・アイルランド戦の試合で、ボランティアとして、ノーサイド精神で、勝っても負けてもお互いを公平に扱わないといけない。エコパで私が担当した場所は、アイルランドの方が多くいたゾーンで、これはどうしようかな?どんな顔をしていたらいいのかな?と思っていたら、1番最初にシートから出てきた人が、アイルランドのすごくきれいな女性で、とにかくhi-fiveで挨拶をしようと手を出したら、すぐにアクションで反応してくれて、「コングラチュレーション」と言われたこと、これが一番感動をしました。ラグビーの時も、概要説明や、かなりの回数のオリエンテーションがあり、チームを作ってゲームをおこなったり、ボランティアがどんな役割をするのかをチェックをする人もいて、いろいろな研修や講習があって最終的に半日くらい現地エコパで研修がありました。ラグビーワールドカップのボランティアの研修は、掛川市が主で、静岡市と浜松市、3箇所で研修がありました。ラグビーはルールが複雑で、私も最初は、よくわからなかったので、明治大学と社会人の試合などを数回観戦しにいき、これはすごいスポーツだなと思って、ルールブック見てあとEラーニングを見て勉強しました。


オリンピックの選手たちがすごくボランティアに対して高評価をしてくれて、感謝の発信をしてくれたこと。
東京2020は1年間開催が延期になって、2021年開催になり、最初に6月に開催された聖火リレーのボランティアをしました。静岡市では、暗くなってきた夕方くらいから走って、聖火の火がとても美しかった。7月から9月にかけて開催されたオリンピックパラリンピックでは、オリンピックに2日間、パラリンピックに3日間、沼津駅でシティーキャストと呼ばれるボランティアをしました。オリンピックは、2種類のボランティアがいて、競技場の中のボランティアは青のグラデーションになっているユニホームを着ているフィールドキャスト。私は、駅や空港、街中で道案内や観光案内するシティーキャストボランティアです。
当初の希望は、静岡市内でパブリックビューイングのお手伝いでしたが、残念なことに人を集めるイベントが全部が中止になったので、沼津駅で道案内や観光案内のシティーキャストボランティアになったわけです。外国人のお客さんが、全く来ないので、2日間、駅に行って、とにかく挨拶はしておこうと思って、通りかかりの人に「こんにちは」「こんにちは」と声をかけました。当初は、みんながオリンピック開催に対して、あまりよく思っていなかったと思います。でもオリンピックで柔道で金メダルを取ったり、水泳が盛りあがってきて、通りがかりの人が挨拶を返してくれたり、体育会系の高校生の男の子が、すごく元気に挨拶をしてくれたりとか、これはオリンピック効果かなと思いました。今回SNSで、選手たちがすごくボランティアに対して、高い評価をしてくれて、感謝の発信をしてくれたこと、それも影響が高いのかなと思います。国際大会のボランティアはすごくスキルが高くて、10人とか6人7人でグループ組むと、3分の1の皆さんは英語ができる方、特に女性のスキルが高くて、YouTubeとか、Twitterで皆さんの活躍を見ましたが、女性の活躍がすごいのです。

「自分が楽しいからいくぞ」
チケットを買って見にいくのと、ボランティアとして、参加する違いは、楽しいからですよね。とにかく、スポーツをやっている人を応援したいというのと、スポーツの力ってすごいと思っていて、いままで、ラグビーを見たことがない人たちが、同じ話題で、職場で盛りあがるとか、そういうのが楽しみというか。喜びというか、共有したいというか。選手とか関係者に近いというやはり関わり方が、ちょっと内部に入って、関係者の一部だよというのもあるし、何かの一つのお手伝いをできるというのもあると思いますね。静岡でやっているから手伝いたいし、自分が近くに行って楽しみたい。お客さんには、静岡や日本を好きになって帰ってもらいたい。やはり日本のいいところを見せたいと思っていました。  
好きだとか、楽しみたいとか、会場に通うのとかは実際にお金がかかります。それは、自分が楽しいから行くわけで、犠牲になっているとかそういうことではなくて、「自分が楽しいから行くぞ」って思っています。ボランティアをすることで、精神的に豊かになったりと、勉強になったりとか、自分の成長感みたいなものを感じて、自ら知らない世界に飛び込んでいくという勇気が出ました。ボランティアに悪い人はいないから大丈夫。全く知らない人たちのなかに、心配しないで中に入っていける。勇気を持って話せば、一緒にお酒を飲めば、すぐに仲良くなれる。ボランティアは、同じ思いを持って集まるので、悪い人は、絶対にいないというのはあります。
文責 音楽の架け橋メセナ静岡 高橋晃一郎

高橋からのコメント
松浦さんはアートボランティアではなく、ラグビーワールドカップや東京2021オリンピックパラリンピックのボランティアです。今回の調査を進めていくなかで、アートボランティアとオリンピックパラリンピックのボランティアさんには共通した意識があるのではないかという仮説をたてて、インタビューをさせていただきました。成長感への期待や楽しみ、交流という点で仮説通りの共通点がありました。松浦さんからお話を聞いていくうちに国家規模のイベントのボランティアの運営には莫大な金額と多くの組織が関わっているということについて、それは私たちの想像を遥かに超えたものでした。近年その組織や金額に対する評価については様々な意見がありますが、ボランティアに参加をした皆さんの気持ちは、何一つ評価を下げるようなものではありませんでした。お客様や選手に、その地域を好きになって帰ってもらうということは、アートボランティアの皆さんが持っている気持ちとなんら変わることのない純粋な郷土愛です。ボランティアとして参加者をする皆さんの期待を裏切らずにイベントの運営をしていくということについて、アートイベントの主催者にも求められる基本的な事項だと思われました。


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