久々にニュースで話題の裁判追いかけたら法廷録音の必要性を感じた話(航空法違反、威力業務妨害など) 傍聴小景 #29-⑧
いきなりっすけど、僕、法廷内で録音とかしてないですからね。タイトルと画像は本編にかかる話でございます。
さて皆さん、お久しぶりです!
まぁ、その間も記事はずっと書いているので、お久しぶりでは困るのですが…。
このタイトルのシリーズでお馴染みの彼の高裁での裁判が、本日8月7日に行われたので傍聴してまいりました。
あまりその間、彼のことは追ってはいなかったのですが、私自身はいろいろな裁判を傍聴しました。大きな裁判も傍聴したり、制裁裁判なんてものにも触れることができました(傍聴はしていませんが)。
その間、彼周りと言いましょうか、日本でのトピックとしては、マスク着用について個人の主体的な判断が基本という厚労省の発表が大きかったのではないでしょうか。
また夏になってイベント事の解禁などもあって「マスクいらなかったんじゃないの?」みたいな論調も目にすることもしばしば。傍聴席はどんな人が集まるのだろうと気になっていました。
さらに今日の大阪は雨の予報だったのですが、ちょい小雨は降ったものの行動には支障がでるものでもなく。むしろ、いつもの暑さもないので、行動しやすいくらいということで、さらに傍聴人が増えるのでは?
そんな色々な思いを抱いた本日なのであります。
当記事は、以下のマガジン内の続きの傍聴記となります。お盆休みなど使って、ゆーっくり読んでもらえると嬉しいです。
では、久々にこちらの注意点をご留意の上、お読みいただけると幸いです。
裁判前日から起きていたバタバタについて
これまで、上の注意書きの最後って「裁判所外、SNSで被告人はこう言ってたけど、みたいなのは考慮しません」としていたんですが、今回は【基本的に】という言葉を追加しました。
被告人がX(旧Twitter)であれこれ主張しているのに触れていたらキリがないのと、私のアカウントはブロックされているので、基本的に触れるつもりはないのは従来通りなのですが、一つだけ気になる話題がありました。
よく有名事件の報道の際に、開廷前の法廷が映し出されることがあると思います。
今回の裁判でもその連絡が弁護人側にあったそうで、それに対し「弁護人は映らず被告人が映りたい」と返答したところ、裁判所は撮影自体を中止するという決定をしたようなんです。
これに被告人は大変憤っていたようで、わざわざ意見書も提出したようなんです。
被告人の真意はわかりかねますが、この姿勢自体は否定するものではないと思っているんです。
裁判での主張はさておき、自分は裁判で戦っているというアピールを、非難されることも想定される中でやろうというのは、本当にいい意味で彼らしいなと思ったんです。
そんなことを呟いてたら、私のXにてこのような情報が寄せられまして。
一般社団法人日本新聞協会さんが1991年1月1日に声明を出しているようです。
「ほら、ここに書いてあるじゃないか」と指摘できるのはもちろんなのですが、1991年と30年も前の声明です。
そして、これを私が勝手に解釈するに、このように設定しないと罪が確定していない被告人を引っ張り出してパシャパシャ撮ることになるので、当然の守られるべき施策と思うのです。
ただそれを本人が放棄している場合はどうなのかなと思うのです。もちろん、法廷はリサイタル会場でもないですし、裁判官の決定下において運用されるものなのですが、なんか色々と考えちゃったという話です。
ちなみに、被告人のXによると、裁判所だけが映る形で撮影をすることになったらしいですが、公開の場では行われていないので、その真偽はわかりませんでした。
少し話が飛びますが、今回の裁判の最後で次回の日程決めで軽くわちゃわちゃしたのですが、その中で被告人が
と問いかけていました。
でも、あまりにわちゃわちゃしてる場で言ったものだから、僕は聞こえたのですが、裁判官の手を止めるまでにいたらず、かつ被告人も再度言うことはなかったので、この話題に関してはこれくらいの少し寂しい終わり方でした。
控訴審 第1回公判概要
35人だと!?
冒頭で、話題もいろいろ増えているしって言ったばかりだよね?それでいて、35だと?
ちなみに法廷は、第一審のときと同じくMAX80人強が入れる法廷でした。
僕が傍聴してきた話題性ある事件といえば、「この裁判」、「山口県の4630万円」、「将棋のハッシー」が代表的。
この3つの事件ってのが「傍聴席の埋まり度合」「関連ツイートした場合の伸び」「noteの伸び」「YouTubeの伸び」これらの関連性が全然掴めないんです。
ネットでは引きがあるけどリアルでは…と揶揄することもできるんでしょうけど、こういう形であれ法律に関わらせてもらっている以上、この人の少なさってのは俺は本当に寂しいと思っているんだよ。
ちなみに、この35名ほどでノーマスクは、がっつり数えた訳ではないですが、3割~4割くらいでしたね。ノーマスクのほとんどが記者さんで、他一般の方がちらほらといった感じ。もちろん、以前よりは格段に増えていますけどね。
少しだけ時を戻しますが、傍聴人が法廷に入れる扉が開いたときは10人くらいしか並んでいませんでした。高裁の方、誘導のポール立てたり、たくさんの人を配備したりしてたのに。
あまり普段はそういう係になることがないのかな?一人の職員さんは、風呂敷を持った明らかな検察官さんに対して「傍聴希望の方はこちらの列へどうぞ」って誘導していたし…。
逆に弁護人さんは、職員さんに「弁護人ですが」と言って法廷に入れてもらっていました。第一審のときの2名とは違う方で、今回は1名でした。
第一審の方々は大阪では物凄く力のあって有名な方が担当していたのですが変わってしまったのですね。
第二審のご担当の方を拝見して、「あまり見覚えないな…」と最初は思ったのですが、公判が始まって声を聞いたら、その方の弁護も傍聴したことがあることを思い出しました。
非常に理路整然とお話しをされる方で素晴らしいなと思っていたのですが、なかなか見かけることがなく残念に思っていたのです。後に調べて知るのですが、どうやら普段は大阪で活動されている方ではないそうで、その地のワードを含めて検索したら色々と情報が出てきました。
第一審、第二審ともに非常に豪華なメンバーに弁護してもらっていて、なんとも羨ましい限りです。
いきなり見どころの冒頭手続き
裁判官3名が入廷しました。実は、第一審のときの裁判長は4月から異動で大阪高裁の裁判官になっているのですが、さすがに今回は担当に含まれておりませんでした。
高裁の裁判長は女性の方。「時間ですのでよろしゅうございますか?」と素敵な言葉遣い。
高裁でも行う人定質問(人違いがないかの確認)でいきなりざわつきました。
来ました来ました。この被告人の裁判が始まった感じです。
なんか春の甲子園に出てたチームが夏にも戻ってきて、1番バッターが塁に出て、いきなりかき回して「おっ、夏に向けて成長してきたねえ」と感じるワクワク感に通じるものがあります。
僕、高裁は普段傍聴しないのでわからないのですが、やはり「原審に納得できない!」と主張をはっきり持たれる方が多いのでしょうから、こういったごたつきもよくあるのか、「では、そういうこととして記録いたします」と慣れた感じで進行していらっしゃいました。
控訴趣意書の主張
弁護側から控訴趣意書に基づく弁論と被告人による補充弁論(?)の請求が行われました。事前に話があったようで、弁護人からは10分、被告人からは5分と制限をかけられました。
今日はこういった時間制限をしっかり守ってくれていたおかげで、裁判全体として中だるみがなかった気がする。
もちろんこちらは、その前提となる証拠を見ていないから、主張はわからないんだけど、なかなか興味深いと感じました。
ただ、①に関しては「議論をふっかけたのみ」という言葉で片づけてしまっているけど、そのやり取りが繰り返し、反復されて業務を妨害し、職務を行わせなかったという認定だったと思うので、ちょっとその主張はどうなの?とは思っちゃった。
暴行云々については、第一審では他者から見えた見えてない、医者がどう診断したかという論点だったのが、そもそもそのきっかけとなる争いごとに疑問の目を向けているのが新しくて興味深かったですね。
ただ、その丸めたシワの深さみたいなのって、丸めた力加減などもあるだろうから、仮にシワが浅くても、それでイコール疑惑が晴れるとはならないのかなって。
いやぁ、でも久々のこの事件の話だったけど、話がすいすい入ってくんのよな。声がいいとか、喋るスピードがどうかっていうと、その点で特別秀でている先生ではないと思うんだけど、不思議なものです。
どうしても短縮で扱われがちな3つの事件。
法律を学んでいる人にとっては、もしかして館山食堂の威力業務妨害の成立については結構いい議論のネタになったりするのかな、なんて思ったり。
どうぞ、じゃんじゃん議論しちゃってください。俺が許可する。
控訴趣意書の補充主張(被告人)
事前に5分と設定されていた被告人。紙を持っていたかどうかは忘れましたが、思いを乗せたお話が始まりました。
なんか第一審より割と聞けました。短かったからかな。
とりあえず気になったのは、『結局「マスクをしない客を降ろしたい」というのが真相』ってとこですかね。強引過ぎねぇか、おい。
あんたこそ、マスクを使った言葉遊びをしてるんじゃないのか。
あと「覆面裁判」ってなに?
そんな言葉あるのかな?と思いググったら、覆面レスラーの市議が、覆面の着用は表現の自由に該当するという主張している記事にあたった。それ以来使われた言葉なのではないでしょうか。
「裁判長はLCCに乗ったことありますか?」という問いかけで始まり、みんなが知ってる「一休さんの屏風のトラ」の例を出す。こういった工夫はわかるんだよ、俺も。
でも、話を聞かせようとして、そこから最終的に着地する自分が主張したいポイントまでが力業感があるんよなぁ。「ふんっ!」って感じ。
もう少し自身の主張は、さりげない形で織り込んだ方がよろしいのではないでしょうか、と優しくアドバイスしてみたり。
弁護人の証拠請求と「さすがにそれはどうなの裁判所?」という受け答え
弁護人から証拠の取調べ請求がなされました。全部で24個もあるようです。検察官は全てにおいて「不同意ないし、異議」と回答しました。伝聞性は争わないものの、必要性がないものとして不同意としていました。
裁判官は2点の証拠を採用しました。
1つは特に説明がなかったのですが、検察官が薄いカバーに入った紙を裁判官や弁護側に手渡しで見せています。被告人宅で押収した命令書の原本なのかもしれません。
もう1つは、弁護人による報告書。命令書や搭乗券のシワについて、弁護人が撮影したものを提出しました。写り方によるという主張をしていたので、その観点なのでしょう。
そしてそれ以外の証拠は必要性なしとして却下されました。
しかし、それについて弁護人は必要性があるとして異議を申し立てました。そこから一つ一つ、CAの業務の妨害になっていない、ピーチの実際の用紙でくしゃくしゃにするとどうなるか、目撃情報などそれぞれの証拠の簡単な説明が始まりました。
しかし、あくまで求めているのは証拠の説明でなくて、裁判官の決定に対する異議の理由、根拠なので、裁判官がそれ以上の説明を制するような場面がありました。
法廷の録音に敏感になっている僕。
「録れていないこともありますから」なんてさらりと言われるから、あの方も法廷録音を強行しようとするんじゃないか。
なんか他の裁判で学んだことが、随所に散りばめられて「スラムドックミリオネア」の世界にいるような気分の僕。
結局、前述の通り却下された証拠について、いろいろと異議の理由というか、大枠の証拠の説明をしたのですが、検察官から異議に理由なしとされ、裁判官も異議の棄却を決めました。
これにて、審理は終結して次回が判決ということだそうです。
30分だったんですけど、なかなか濃厚だったんじゃないでしょうか。どうしても弁護側の主張の回なのでね、擁護と捉えられたかもしれないけど、裁判の流れなのでそこはご容赦を。
判決は10月30日。
速報として投稿させていただいた記事も、多くの方にお読みいただいており(大感謝)、やはり関心度の高さを感じさせるこの事件。
平日だから傍聴のハードル高いのはわかるし、高裁の判決は事前知識ないと聞いててちんぷんかんぷんだけど、分からないなりに同じ場にいて感じることってあると思うんですよね。
今日の話も実際に傍聴していた人がいたら、違う感想を持つ方も多いだろうし。
なので、もし都合つくなら是非裁判所に来てもらって、何が行われているか肌で感じて欲しいなと思うのです。
という訳で、今回も長文をお読みいただきありがとうございました。
有料コンテンツもある当noteですが、当記事は社会的関心の高さから、基本文面を全部無料でお読みいただけるようにしております。
もし、今回の記事が面白かった、参考になったと思っていただける方がいるならば、この猛暑の中、連日裁判所へ通っている私に、梅田駅-淀屋橋駅間の交通費を奢ってください(´;ω;`)
関西のJR民なら上記区間を電車に乗るのはもったいないけど、歩くのはしんどいというのが伝わってくれるはず…。関西の人じゃなくても伝わってほしい…。
もちろん、この有料は全く強制するつもりもございませんので、有志の方だけで結構です。
毎度のことですが、当記事の全責任は私に帰属いたします。
大人の人生交差点クラブ 普通
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