日本人が作った漢字!というか国字!
漢字の世界は紛うことなき大海原。そんな膨大な漢字のお話をかいつまんで、今回は「国字」について見ていきます。
国字は今からだって作ればいい
国字は、日本語の言葉にあたる漢字が無い場合に、自分たちで作った文字。(今は一緒くたにそれらも「漢字」と呼びますが)
もっと言えば、漢字に限らず文字全部、人間が考えて生み出したものです。
今からだって創作文字が社会一般に広まって市民権を得られたら、その文字が正式なものとなることだって不可能なことではないでしょう。
以前動画で扱いましたが、「ぼんのう」と読む文字を108画で、煩悩の意味と関連のある漢字を組み合わせて創作した文字を紹介しました。
※元ネタはおそらくこれ。
この文字はTwitterでバズり、たびたび取り上げられ、『異体字の世界』(小池和夫著、河出文庫、2007年)など書籍でも紹介され、認知度のそれなりにあると思われます。そろそろJIS(日本工業規格)に登録される日も近い・・・?
また現代において、文字は書くというよりかは打つ・変換する方が多いため、画数が多いことなどは大した問題ではないと言えます。とんちを利かせた面白文字は「国字」へと昇格できるかも!?
漢字の「漢」は漢民族の「漢」
さて。そもそもの話から。
漢字は中国で作られたもの!というのは皆さんご存じの通り。漢字の「漢」は古代中国の王朝「漢」の名前を取ったものと思っている人も多いかもしれませんが、そうではありません。
と言うのも、漢字の起源・走りである甲骨文字は紀元前1300年頃に生まれたもの。一方で漢王朝は紀元前206年~西暦220年。漢王朝の時代には、篆書体・隷書体ができ、草書体や初期型の楷書体なども生まれてくる頃です。
漢王朝の頃にはすでに、甲骨文字からかなり発展的な書体が使われ、徐々に漢字の完成期へと移行していました。
そのため、漢字の「漢」は漢王朝の漢ではなく、中国の大半を占める「漢民族」の「漢」と考えるのが妥当なようです。
「国字」とは
漢字に対して「国字」は、中国以外の漢字圏で生まれた漢字体の文字のこと。日本生まれの国字もあれば、朝鮮半島生まれの国字もあれば、ベトナム生まれの国字もあります。
それぞれの国に、中国にない物や概念が当然あります。それを表すために独自の漢字を作っていったというわけです。
日本の国字は、和字・倭字・皇朝造字(※)・和製漢字といった言葉で呼ばれることもあります。また、漢字には中国の発音に寄せた音読み(山・サン)と、その漢字の日本語の意味をあてた訓読み(山・やま)がありますが、国字は日本生まれのため、一部のものを除いて基本的に訓読みのみです。
※皇朝造字・・・皇国(天皇の統治する国)の朝廷の作った文字。1945年頃まで大日本帝国は皇朝とも呼ばれていた。
日本の国字は、いくつ存在するのか(1500以上とか数千とか)、いつ生まれたのか(漢字渡来から間もない飛鳥時代からあったとか)、本当に中国由来ではなく純粋に日本で作られたものなのか、など分かっていないことも多いようです。
海産物が多い国字
筆者が国字と言われてすぐに思い浮かぶのは、「峠(とうげ)」とか「躾(しつけ)」など。こういった中国語に無い漢字は、最初は万葉仮名で「登宇計(とうげ)」や「之都計(しつけ)」などの当て字で書かれましたが、次第に文字の意味などを組み合わせて独自の漢字体を作っていきました。
中国の漢字は黄河流域で発生したと言われるため、海の生物を示す漢字が少なかったため、国字は海産物に多くあります。
鰯(いわし)
鯎(うぐい)
鯒(こち)
鯱(しゃち)
鱈(たら)
鱩、鰰(はたはた)
鯏(あさり)
鯲、鰌(どじょう)
鯳(すけとうだら)
鱚(きす)
魸(なまず)
鯑(かずのこ)
などなど。
しかし、魚偏の文字全部が国字と言うわけでもなく。元々中国にあったとか、中国にあった読み方と別の読み方をしているものとか、漢字のルーツとはかなり入り組んだ複雑なものなのです。
漢字の大海原もこうして少しずつ切り出して見てみると、いつか思い通りに航海できるようになるかもしれませんね。
最後までお読みくださりありがとうございました。
こうした知識の片鱗を得ることは人間レベルが上がった感じ!?知識は身を助ける。いつかどこかの人とのつながりに通ずるお札を一枚手に入れました。かも!
noteのスキ♡はアカウントがない人でも押せるので、記事が面白かったと思った方は是非スキ♡押していってくださるととっても嬉しいです!
フォローも感謝感激!
※毎週火曜19時更新