メリンダのアパートメントは、電気がどこにも点いておらず、巨大な墓石のように見えた。彼女は留守なんだろうかと思ったが、さっきメールをくれたのだからと思い直し、階段を上ってみることにした。
階段の欠けた場所でつまずきながら、ようやく二階のメリンダの部屋の前に着いた。すぐにノックしようとしたが、電気の光がなく、人の気配も感じられなかったせいか、怖くて手が動かなかった。ママと大喧嘩をして、メリンダが大きなけがをしたのかも知れない。そう思って、まずは中の様子を聞こうと耳をそばだてたが、しんとして何も物音はしなかった。
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