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「不溶性の日々」

洗いたての太陽が
鬱陶しいくらいに私を照らす
優しく回る世界で
速歩きで進む毎日に
嫌気が差して
目が回る

洗いたての服が
今日の私の背中を押す
柔軟剤に包まれた
真っ白なブラウスは
夏が来たことも気づかないくらい爽やかで
憂鬱なんて忘れさせるくらいの純白

夏に飽きると秋が来て
綺麗にすることももう諦めたくなる
ぐるぐる
じゃぶじゃぶ
がこがこ
古い洗濯機の騒音で
外の音も聞こえそうにない
縮んだセーターを見て
なんだか胸が苦しくなった

あと何分待てば
あと何年経てば
綺麗になれるの
綺麗なものばかり身に着けて
本当に綺麗にするべきもの
見えないふりをしていた

洗いたてのシーツの
シワを伸ばす
幸せが逃げないように
綺麗なものに囲まれて
綺麗なままでいたい

それでもいつか
時間が経って
なかなか落ちなくなっていく汚れと
溜まっていく洗濯物に
嫌気がさして
朝と夜の間の
ビュンビュン星が唸る夜に
流れ星を待った

洗いたての自分で
洗いたての日々を過ごしてみる
汚れていくばっかりの毎日と
眩しいくらいの白と、明日に

⚠️2年前作った作品です。

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