第5回OIV登録品種サミットに行ってきました!
こんにちは! 明治大学農学部生命科学科3年の小林瑞季です。
今回は、昨年度明治大学かわさきワインプロジェクトの最後を締めくくる活動報告です。
2023年12月9日。
この日、東京都千代田区永田町にある全国町村会館で、第5回OIV登録品種サミットが行われました。
明治大学農学部黒川農場では、2023年より日本固有品種のマスカット・ベーリーAを育てています。そんなご縁から、プロジェクトメンバーの2年生4名も、受付とワインサーブをするスタッフとして参加させていただきました。
日本ワインと日本チーズの最前線を学び、味わい、楽しむ。
数あるお酒のなかでも、ワインだから生み出せる空間と繋がり。
最年少参加者の筆者が感じた、ワインというお酒がもつ力を、ご紹介します。
そもそもOIVって?
OIV(国際ブドウ・ワイン機構)は、フランス・ディジョンに拠点を置く、ブドウ栽培やワイン造りに関する国際的な研究機関。EUにワインを輸出する際、OIVが認定するブドウ品種のみが、ラベルに表記可能となっています。つまりOIVに品種登録されれば、世界進出への大きな一歩になる、というわけです。
登壇者の方々による熱い講演
本イベントでは、まず「私たちが考える、OIV登録3品種の課題と強み、そして未来」というテーマで、登壇者の方々による講演と、パネルディスカッションが行われました。
現在、OIVに登録されている日本固有品種は3つ。2010年登録の「甲州」、2013年登録の「マスカット・ベーリーA」、2020年登録の「山幸」。それぞれの品種がたどってきた軌跡、魅力、今後の課題について、5名の登壇者の方々がお話されました。
印象的だったのは、今回のイベントで初めて知った「山幸」という品種。北海道池田町の十勝ワインという、自治体が運営するワイナリーで開発されました。山幸の大きな特徴は、山ブドウを掛け合わせたことで生まれた、その優れた耐寒性。そして、山ブドウゆずりの、黒がかった赤色と粒感。のちにワインを試飲させていただきましたが、非常に香ばしくスパイシーで、北海道の大地を連想させるような味わいでした。
その後、気候変動と日本固有品種の未来について、3名の登壇者の方々が、パネルディスカッションを行いました。一般的な造り手同士の対談ではなく、歴史のプロと栽培のプロによる対談。異なる分野の専門家が語り合うことで生まれる、新たな知見。物事を単に一つの側面から捉えるのではなく、多方面から捉える重要性を感じました。
ワインについての講演が終わると、最後に日本のチーズについて、登壇者の方がお話されました。明治大学かわさきワインプロジェクトで、CHEESE STANDの藤川真至社長の講義を受けてから、興味が沸き始めたチーズの世界。日本チーズの未来に、胸が高鳴りました。
講演全体を通して、登壇者の方々が1つのことに人生を捧げ、走り続けている姿に、心打たれました。
最前線を五感で楽しむ
講演が終わると、フリーテイスティングが始まりました。
会場には、34種類のワイン、13種類のチーズ、本格派冷凍パンL'Ovenが用意されました。一度にこれほど多くのワインを見たのは初めてで、贅沢な気分になりました。
私たち学生は、お客様にお好みのワインを注ぐ、ワインサーブを担当させていただきました。この時に見た光景を、今でも鮮明に覚えています。
講演後ということもあり、少し堅苦しい雰囲気のなか始まったテイスティング。しかし、一杯二杯と飲み進めていくうちに、お客様の笑顔が次第に増えていきます。一口飲んで、美味しいと一言。思わず笑みがこぼれるお客様の姿に、嬉しくなりました。その後も、真心込めてサーブを続けます。
少し落ち着いた頃に、ふと顔を上げました。すると驚くことに、会場のあちらこちらで、初対面のお客様同士が、楽しく会話されている光景が広がっていたのです。会場には笑い声が響き渡り、温かさで包まれていました。
ああ、これがワインがもつ力なんだ、と。
また会場では、造り手の皆さんが自らワインを注ぐ場面も、多く見られました。造り手とお客様の間で生まれる会話。造り手に聞く質問といえば、お酒の原料や製造方法が定番ですが、ワインとなると、多くのお客様が質問されるのは「造り手の人生」について。その人が今までどんな人生を歩んできたのか。どのようなことを感じて、何を大事にして生きているのか。造り手の人柄と思いが色濃くあらわれるワインだからこそ、飲み手もその人について知りたくなる。何とも奥深くありませんか……?
会の後半では、私たち学生も参加者や運営の方々と、ワイン片手にお話させていただきましたが、初対面にもかかわらず、心の距離がすごく近く感じました。このワイン美味しいですね、どのワインが好きでしたか? という会話ではじまり、各々の人生について語り合う。ワインには、心の距離を近づける力があると感じました。
お客様、造り手、運営陣。
あの場にいた全ての人が、ワインを通じて一つになった気がしました。
最後に
終了時刻の17時になると「もう終わっちゃうの」「凄く楽しかった」という声が、会場に溢れます。
そして暗闇の中に消えていくお客様の後ろ姿からは、幸福を感じました。
ワインの知識だけでなく、美しい時間も手に入れることができた本イベント。
ワインはただのお酒じゃない。
空間を彩り、人と人をつなぐ架け橋になる。
そんなパワーを持っている。
一日を通じ、私たちはそれを確信しました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次回の記事も、読んでいただけたら嬉しいです!