打ちあける恐怖
私は人前で比較的ヘラヘラしている。
「悩みとかなさそうでいいなあ。」と言われるタイプの人間だ。
そんなわけないのに、「悩みがなさそうって言われるのだけが悩みなんです〜。」とニコニコするのがテンプレ。
本当のところは人に悩みを打ち明けることが苦手なだけだ。
人に弱みを見せることに慣れていなさすぎるから何にも悩んでない元気はつらつアホ人間として振る舞っている。
そうして何年も生きてきたからアホ人間ぶりに磨きがかかってきた。
強がりたい心はどんどん頑固になり、本当に誰にも弱っている姿を見せられなくなっている。
見せ方もわからない。
シリアスな話題を提供したあとの空気になんて到底耐えられない。
「悩んだ時どうする?ストレス発散は何してる?」というよくある話題にも、「寝たら忘れるねんなあ〜」と答える。
本当のところは毎晩寝る前にベッドで「本日の自分の言動の大反省会」を開催しているし、それが極まる週末には風呂で1人で爆泣きコースだ。
正直いままでの自分のことを思い返すと反省点しか思い出せない。
でもこのアホ人間キャラでみんなの前にいることが当たり前になりすぎているから誰にも本音を明かせない。
というか本当のことを話そうとするとなんだか涙が出そうになる。
たぶん慣れていなさすぎて心がキャパオーバーしてしまう。
周りを見るとみんなそれぞれ悩みを打ち明けあって仲を深めている気がする。
でも私には自信がないのだ。
本当の私を知ってもなお私と一緒に居てくれる人などこの世に存在するのだろうか。
頭を使わないアホ人間だと思っていた人が実は同じことをぐるぐる頭で考えているウジウジ人間だったことを知ったらみんな離れていってしまう気がしてしまう。
どうしても自信が持てない。
悩みを知られる勇気がない。
しかも強がりの自分を守るためにちょっとした嘘をつくこともある。
ぜんぜん大丈夫じゃないのに大丈夫!と笑ってみたり。
本当はやりたくないけどみんなも嫌そうだから私がやりたいかも〜と手を挙げてみたり。
すごく嫌なことを言われてもその場の空気に飲まれて嫌だって言えなくてヘラヘラして、その後も何回もイジられたり。
すごく重たい荷物があっても頼り方がわからないから死ぬ気で持ってみたり。
挙げればきりがない。
これを書いていて思うのが、可愛げがないというのはこういうところかもしれない。
でも人に頼ったり打ち明けたりすることよりも自分が我慢するほうがよっぽど楽に思えてしまうのだ。
平気なふりをすることにあまりにも慣れてしまった。
それだけではない。
誰かに悩みを打ち明けられることも苦手分野だ。
どうしてもちょけてしまう。
元気づけたいという気持ちもあるが、深刻な話題に深刻に返答する自分の姿に耐えられないのだ。
そんなに深刻にならんでも!とか、そういうことじゃないねんけどなあ。とか思われてしまいそうでどうにもアドバイスし難い。
そういうこともあるよねえ。と月並みな回答しかできない。
おかげで私は誰にも相談事をほとんどされなくなっている。
実のある回答が得られないのだから当然だ。
相談するのもされるのも苦手だから相談しあえる友達的なやつもいない。
当たり前のように弱みを見せることができる人たちからしたら何を言っているのかと思うだろう。
私にもいつか悩みを打ち明けられる友人ができるのだろうか。
こんな私を受け入れてくれる人が現れるのだろうか。