芋焼酎【白濁無濾過 鶴見】について
日本一芋々しい焼酎を目指して造られる新酒・無濾過の芋焼酎「白濁無濾過 鶴見」。
大石酒造の代表銘柄である「鶴見」の新酒で、芋焼酎の仕込みの時期である秋から冬にだけ瓶詰めします。
デビューから10年以上経ち、毎年楽しみにしていただいている方も多い銘柄です。
この「白濁無濾過 鶴見」の醍醐味である"濁り"。
濁りはどこからくるのでしょうか。
焼酎の”濁り”について
焼酎の白濁の原因となる物質は、高級脂肪酸およびそのエチルエステル(油性成分)と報告されています*。
一回しか蒸留しない単式蒸留の本格焼酎では、もろみ中の油脂成分が蒸留後の焼酎に残留します。
通常、芋焼酎は、蒸留後数ヶ月貯蔵してから油性成分を濾過により取り除いた後瓶詰めしますが、
「白濁無濾過 鶴見」は貯蔵せず濾過せず、蒸留から長くても3日以内に割水してそのまま瓶詰めするため、濁ったまま出荷されます。
油性成分は原料に由来するほか、麹菌や酵母により製造過程で生成されます。
蒸留後は焼酎中で負に荷電して存在し、相互に反発し合うため比較的安定なコロイド状態を保っています。
ここに正荷電の金属水酸化物など(割水由来等)が存在すると、荷電が中和されて、保管している間に凝集沈殿を生じることがあります(解膠現象)。
この沈殿物は体に害はありませんが、瓶の中にふわふわと白いものが浮いているように見えることから、異物と間違われることもあります。
気になる方は取り除いたり、注ぐ前にボトルをよく振って拡散させてからご賞味ください。
油性成分が焼酎中にコロイド状に存在すると、口中の触感として"丸味"を呈し、刺激や辛味を和らげる性質があります。
このため口当たりが良く感じますが、油性成分のうち特にリノール酸エチルは時間と共に酸化して、油臭の原因となることが報告されています。
どれくらいの期間保管すれば油臭がし始めるかは、焼酎の銘柄や保管状態によって異なると考えられます。
新酒、特に無濾過の焼酎を開栓後に保管する場合は直射日光を避け、蓋をしっかり閉めておくのがおすすめです。
♦︎白濁無濾過 鶴見の楽しみ方♦︎
新酒・無濾過特有の開栓直後の強い香りを好まれる方は、数日〜数週間以内に。
日毎の変化を楽しみたい方は、数日〜1週間ほどの間隔でチビチビと。
開栓直後の香りが苦手な方は、数週間から1ヶ月ほど置いて刺激が和らいだ頃に飲むのがおすすめです。
お湯割りをお勧めしていますが、色々な飲み方を試して自分好みの楽しみ方を探してみてください。
*参照:T.Nishiya et al, J. Brew. Soc. Japan, Vol.75, No 5, p. 371-374 (1980), T.Nishiya et al, J. Brew. Soc. Japan, Vol.73, No.,6, p.484•`p.488 (1978)