《キンカノート》 父になったばかりのゴマだれが病院に行くことになってしまったお話。
2021年、新年早々の1月3日から5日にかけて3つの卵を産んだぽんず♀。
以来、ゴマだれと交代しながら二人してちゃんと卵を抱えて温めている。
(この子達は幸いなことに“子育て上手なキンカチョウ”だったようだ!)
見ていると、小さな体の下から少しずつ卵がはみ出してくるらしく、時々クチバシでクイクイッと卵を引き寄せては上手にお腹の下に入れ直している。初めてなのに器用なもんだ。
抱卵タイムの大半は新米パパのゴマだれが担当し、まるで
「僕が温めとくからぽんちゃんはゆっくりお散歩してきなよー」
とでも言ってるかのようで、
ぽんずもそれに応えるかのように放鳥時間をゆったりと過ごしていた。
ところが、
抱卵が始まって十日ほどしたある日の朝、
ゴマだれ♂がハァハァと開口呼吸していることに気づいた。
え?!
ヤダヤダ、どしたーっ?!
小鳥を飼う前から「小鳥によくある病気」というのには一応目を通していて、
口を開けて呼吸するのが見られる場合、呼吸器系の病気も疑われる
とあったのがすぐ頭に浮かんだ。
単に暑すぎる時も開口呼吸するらしいが、今は1月。家の中も暑すぎるわけでは決してない。
一時的なものかも知れない、と数時間様子を見ていたがやはり定期的に口を開けてハァハァと呼吸している。
ただ、それ以外は変な呼吸音やぐったりする様子は見られず落ち着いた様子だった。
それでも念のため早い方が良い!と思い、すぐに前から調べておいた病院に連れて行くことにした。車の免許が無い私には徒歩7分の場所にある病院は本当にありがたい。小さめのキャリーケージにゴマを入れることに成功し、すぐに出発!
この病院は規模は小さいが小動物まで診てもらえるしネットで見る限り評判も良かった。
ちなみに私は行く前にクチコミで目にしていたので驚かなかったが、まだ50代後半〜60代前半と思しき男の先生は、(こう言っちゃなんだが)見た目がめちゃくちゃ怪しかった(笑)
上下ともにさわやかなブルーの診察衣を着てはいるが、足元はサンダルなのかペタペタと歩き、白髪混じりで全体的にグレーの髪の毛はウエーブのかかった癖毛で肩下ロング、同じく白髪混じりのあご髭もとても長いので、仙人にしか見えないのだ(笑)
仙人?
それとも家なき子??(←ソフトに表現)
見た目で怖がる人がほとんどだろうと思うくらいとにかく個性的な容姿だが
実際にはとても気さくで優しい先生だった。そして、
中身も仙人なのかっ?!
と思ってしまうほど動物の気持ちや状態が分かるすごい人だった。
診察台にゴマだれが入ったケージを置き、連れてきた経緯を説明すると
「ほう、ほう。」
と、それこそ仙人のように頷きながらゴマとゴマの糞尿を目視でチェックし、
「大丈夫と思うよー」
と軽く言った。
いま目の前にいるゴマは口を閉じてピョンピョン動いているので状態がちゃんと伝わっていないんじゃないかと思い、
「いや、でも家じゃ結構口開けて呼吸してるんです・・・呼吸器系の病気の可能性とか・・・」
と言うと
「鳥さんはこういう場だと弱ってるとこ見せないように頑張るんだけどこの子はそういうんでも無さそうなんだな〜。」
と言い、
「生真面目にご飯もろくに食べないで抱卵してたんじゃないか??」
と笑いながらゴマに話しかけていた。
・・・あ。
確かに。
ゴマさんばっかり抱卵してたよね・・・。
餌、しっかり食べてなかったのかな・・・。
「しばらくコレ飲ましてみー。」
動物仙人が処方してくれたのはお薬というよりはビタミン剤のようなものだった。
手乗りの子なら手で保定して簡単に口元に持っていけるのだが、ゴマさんは荒鳥なのでケージの中でボ〜っとしてる時にチョンッとクチバシの横に水滴を垂らすのがやっとだった。お薬自体は少し甘いらしく全く嫌がらなかったが、毎回びっくりさせるのも可哀想なので途中からはお水に混ぜてあげるようにした。
するとその日のうちに開口呼吸はおさまり、三日ほどで外に出て少し遊んで帰っても全然大丈夫なくらい元気になったのだった!
と、いうわけでどうやらゴマさん、まさかまさかの育児疲れだった(笑)
真面目な性格が災いして、頑張りすぎちゃってたらしい。
さすがは動物仙人さま・・・あの数分でそれが分かるとは!
そんなことあるんか?!
と、一瞬でも疑った私をどうぞお許しください!!
だが、気になったらすぐに病院に連れて行く、というのはやはり大切なことらしい。今回はこれで済んだが逆に大事の場合もあるからだ。
「もし連れて来れなきゃ電話だけでもしておいで〜」
と言ってくれた動物仙人。
初めての病院で飼い主もちょっとドキドキだったが、良い先生で本当に良かった。
ゴマさんよ、どうか子育てもほどほどに〜
そして皆さんには
どうぞ今日も明日も良い1日になりますように
photo: 2021.01.16