変化を求めて断食を

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人生で初めて3日間の断食を行った。断食と聞くと「アンタ修行僧?」と思うかもしれないが、いやいや、今や断食もファスティングとオシャレな感じに呼ばれ、若い女性を中心に流行中なんだよと教えてあげたい。
ちなみに私はアラフォーのおっさんである。

ずっと断食にチャレンジしてみたかった。
なぜかというと、それはもう5年ほど前のこと。私はあるミニマリストのオフ会に参加した。そのオフ会でひとりの女性が「今まで猫アレルギーで大好きな猫を飼うことができなかった。だけど断食を1週間したら猫アレルギーが完全に治り、今は猫と一緒に住んでいる」という話を聞き、その人の人生を一変させるような、断食にはそんな力があるのか!と衝撃を受け、いつか自分も試してみたいと思っていたからだ。
とにかく私は、変化に興味あり人間、なのである。

この終わりの見えないコロナ禍、幸運なことに仕事はテレワークとなり、断食によってお腹が空きすぎて動けなくなっても対面で仕事するわけではないから大して迷惑はかからないだろうと思い(普通に迷惑はかかるのだが、この頃既に断食に対してテンションが上がっていたので許されたい)、とうとう私は断食を決行した。

断食のやり方はいたってシンプル。その期間中固形物を口にしない。それだけ。ただ断食前には断食と同じ日数分準備期間を取り、断食後も同じように回復期間を取ることが推奨されている。
今回人生初めての断食であり何かあったら怖いので、メール指導と断食中に摂取するマナ酵素がセットのプログラムに申し込んだ。お値段30,000円。しがないサラリーマンにとってはなかなかの値段である。送られてきた商品を見ながら、これだけお金をかけているのだから途中での挫折は許されない、厳しい戦いになる、と身が引き締まった。

そして、2021年3月15日、3日間の準備期間→3日間の断食→3日間の回復期間の計9日間の戦いがスタートした。

まずは準備期間。
準備食は「まごわや(さ)しい」で、ベジタリアンの食事をせよ、と指導メールに書いてあったので、素直にそれを実践する。別に普段ジャンキーな食生活を送っているわけではないので、準備食でも十分満足、余裕。ただ、カフェイン禁止により日中眠気が酷く、見事仕事に支障をきたしたが。

そして、いよいよ断食期間に突入。この3日間やり切ることができるのか、そして私に変化は訪れるのか。不安と期待が入り混じる。

初日。
起床してすぐ、送られてきたマナ酵素の原液を水で薄めて1日分、約2リットルの量にする。コイツが断食期間中の私の相棒だ。自分に合うだろうか、もし合わなかったら絶望的な気持ちになる。ドキドキしながら一口飲む。甘酸っぱくて美味い。一気に力がみなぎった。
午前中、食欲が強烈に襲ってくる。その都度相棒をチビチビ飲むと、それらは徐々に、完全ではないが、消えていく。さすが相棒。ただ1日中そればかりだと飽きるので、たまにローズヒップティーやクヮンソウ茶に浮気したり、口寂しくなったら塩を舐めたり、そうしているうちに初日は無事終わった。断食って案外余裕かも、そう思いながら寝床に入る。

2日目。
起床後は初日と同じ作業。相棒作り。
とりあえず自分を観察してみる。空腹感は確かにある、でも食欲はあまりない。なんだか不思議な感覚だなあと呑気に構えていたのも束の間、午前中は強い眠気、午後は下痢、夜は寒気、となかなかキツいコンボをくらう。
だが普段なら不快なこれらの現象も、これはもしかして好転反応かも!今毒素が追い出されている!と妙に嬉しくなってしまうのはファスティング・ハイになっている証拠かもしれない。
ただ、空腹感はずっと消えない。

2日目の夜。
仕事の事情により回復期間が減ることになり、計画の変更を余儀なくされる。「断食期間よりも回復期間の方が大切」と指導メールに書かれており、悩んだ末、ここはプロの言うことを聞くべきだと考え、3日目は半日断食半日回復食に切り替えることにした。別に3日目の断食をこなす自信がなかったわけではない。本当だ。

3日目の目覚め。実はこの目覚めの時にかなり期待を抱いていた。なぜなら3日目ともなれば、寝起きから心身共に嘘のように軽く、そして世界が輝いて見えるとネットに書かれているのをよく目にしていたからだ。変化を実感するのはきっとこの時に違いない。そう思っていた。
だが実際は、全然そんなことはなかった。昨夜空腹で寝つきが悪く、それが朝まで引っ張られた感じで、むしろ機嫌が悪い。
起床後の最後の相棒作り。最後というのに、変化なしのショックでテンションは低い。
残す期待は断食後の一口目は美味しさで昇天し、変化が訪れるかもしれないということである。
早くお昼になって回復食を食べたいと思っていた矢先、突然お腹がギュルギュルと鳴り出す。そして、鳴り出したら全然止まらない。止まる気配もない。ずっとギュルギュルギュルギュル。人間ってこんなにお腹が鳴り続けるものなの!?その可笑しさに感動して、このギュルギュルをずっと聴いていたくなって、鳴り止むまで回復食を食べないと決めたら結局夕方まで回復食に入ることができなかった。

このギュルギュルは胃が消化できる食べ物がないか探して動いている音、と後に調べて知る。

回復食は胃がびっくりしないようにおかゆを半合。一口含んでみる。味覚が劇的に変わった様子はない。ギュルギュルで感動を使いすぎたせいか、特に感動もない。空腹を満たすだけの淡々とした食事になった。

振り返ってみれば、今回の断食で自分に変化を感じることはできなかった。
猫アレルギーが治るのならアレルギー繋がりで花粉症も治るんじゃないかと期待したが、4月は例年通り酷い花粉症になった。
でもまあ、お腹がギュルギュル鳴り続けたのはとても愉しい初体験だったし、変化を求めたら大なり小なり必ず愉しいことが付いてくる。
それはやっぱり変わらなかったので、また変化を求めてたくさんチャレンジしながら生きていきたいと思う。

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