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【石油コンビナートとは】 生活を支える製油所の存在
こんばんは、本日もお疲れさまです。
石油エンジニアの「オイルくん」と申します。
新卒で石油メジャーに入社し、エンジニアとして製油所にて働いています。
今回のテーマは、わたしの職場でもある“製油所”についてです。
製油所は、“石油コンビナート”という呼ぶこともあります。
日本にも四日市コンビナートや川崎コンビナートなど、
太平洋に面した地域に数多くあります。
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では、“石油コンビナート”や“製油所”と聞いて、何を思い浮かべますか?
地下から原油を採掘している場所?
ガソリンや灯油などの燃料を作っているところ?
それとも、巨大な実験装置やタンクが立ちならぶ工場?
正直、コンビナートと聞いたことがあっても、どんな場所なのか理解している方は少ないと思います。
そこで、今回はそんな製油所・石油化学コンビナートの世界を少しずつ紐解いていきます。
さっそく見ていきましょう。
製油所では、何から何が生まれるのか?
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では、石油コンビナート(製油所)とは、一体どんなところでしょうか?
ひとことで言えば、
石油コンビナート(製油所・リファイナリー)とは、
「原油」から「燃料や潤滑油、化学素材など」を生み出す魔法の工場です
この説明において大事なのが、三つのパートです。
どんな原料(フィード)を扱っているのか?
どんな製品(プロダクト)が生まれているのか?
どんなプロセスが行われる魔法の箱なのか?
ここでは、まず原料と製品について、ざっくり見ていきましょう。
石油コンビナートに欠かせない原油と天然ガス
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石油コンビナートの原料については、すでに知っているかもしれません。
主な原料となるのは、地下資源として採掘される原油(Crude Oil)です。
日本では、サウジアラビアなどの中東諸国から多くを輸入していますね。
ですが、アメリカやヨーロッパ、中国でも、さまざまな原油は採掘されています。
ですが、この原油は困りものでして、さまざまな重さや性質の石油が混ざってできています。
なので、原油のままでは商品にはなりません。
だからこそ、石油ごとに用途に適した商品として、製油所で生まれ変わるのです。
石油コンビナートからは何が生まれるのか?
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石油コンビナートから生まれる、さまざまな石油商品たち。
そのどれもが、私たちの生活に欠かせない一部になっています。
燃料(ガソリン、灯油、ジェット燃料など)
潤滑油(機械やエンジンなど)
化学素材(プラスチックや合成ゴム、合成繊維、ワックスなど)
ガソリンや灯油など、燃料としての石油商品はパッと想像しやすいですね。
ガソリンひとつをとっても、ハイオクやレギュラーのように、成分や価格の違った製品も作られています。
また、私生活には結びつけにくいですが、
潤滑油(ルーブ)も重要な石油製品のひとつです。
おもに機械の動くパーツやエンジンなど、あらゆる工業用途で活用されていますよ。
そして、ペットボトルやタッパーなどのプラスチックや、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維など、化学素材もあらゆるところで活用されています。
化学素材に関しては、おもにナフサと呼ばれる石油商品をさらに分解することで生まれています。
このように、さまざまな石油商品は、原油を製油することで生み出されています。
石油製品が作られる4つのプロセス
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では、さまざまな石油製品が生まれる魔法の工場には、
どんなプロセスが潜んでいるのでしょうか?
ざっくり分けると、以下の4つのプロセスになります。
性質の違いを利用して分別する (例)蒸留塔
化学反応で新しく生みだす (例)反応器
必要な性質に混ぜ合わせる (例)混合機
不要な成分を取りのぞく (例)精製器
これらのプロセスは、ひとつの装置から次の装置まで、すべてパイプラインで繋がっています。
A器からB器、B器からC器とD器のように、どんどんと石油は形を変えて、
さまざまな石油商品が生み出されているのです。
加えて、忘れていけないのはタンクや船着き場です。
これらは原料や製品の貯蔵や輸送を担っています。
一見、シンプルにも思えますよね?
ですが、さまざまな装置やプロセスがあり、工場の生産能力が高いというだけでは運営していきません。
なので、タンクや船着き場の数と回転率が、
コンビナートが「どれだけ生産して販売できるか」を決めるのです。
このように、石油コンビナートは、さまざまな歯車がうまく噛み合うことで、わたしたちの生活を支える石油製品を数多く作っています。
【まとめ】 石油コンビナート・製油所とは
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石油コンビナート(製油所・リファイナリー)とは、原油からさまざまな石油製品を生み出す魔法の工場です。
原油を仕入れる
四つのプロセスを組み合わせる
石油商品を生み出していく
そして、石油商品はどれも私たちの生活には欠かせないものでした。
この記事が少しでも学びになったのなら幸いです。
もし日本における石油化学コンビナートについて、くわしく知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。