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『先輩たちに聞く!スタートアップというキャリア選択』異なる経歴を持つスタートアップ経営者・役員が3名登壇:OICXnights#10 開催レポート

こんにちは!こちらはOICXイベント企画チームの中西です。
10月22日に開催された第10回はイノベーション拠点を核として、イノベーター、スタートアップ・ 大企業・中小企業が名古屋で行きかい、交わってイノベーションを作っていく仕組み・機会づくりを行う事業である「The SCRAMBLE」(名古屋市主催)のCOLLABイベントとして実施しました。

登壇者は、株式会社Acompany 執行役員CAO 嵯峨﨑さん、株式会社finn 取締役COO 久野さん、株式会社muuv links 代表取締役 北さんの3名。今回はそのイベントレポートをお届けします!

【OICXnightsとは?
大学発学生ベンチャーで100億の時価総額を生み出した伝説のスタートアップ拠点OICXとそのOB達は、次なるステージ「東海発グローバルベンチャー」へ挑戦を続けています。これを応援するために、世界を舞台に活躍する著名な起業家・投資家・経営者・科学者をお招きして、OICXメンバーと交流を行う、OICXnights を開催しています。


登壇者・モデレーター紹介

Acompany 嵯峨﨑氏

株式会社Acompany 執行役員CAO 嵯峨﨑隼大
慶應義塾大学を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行へ入行。
営業店にて中小〜大企業の法人担当、新規取引開拓や愛知県内のスタートアップ支援を経験。名古屋本部ビルの建替プロジェクトの傍ら、愛知県スタートアップ推進課へ出向し、ビジネスプランコンテスト等のスタートアップ支援施策の企画運営などを実施。自治体×金融機関の目線でスタートアップ支援を実施。
2022年12月に銀行に帰任後、2023年3月にAcompanyへ転職、2024年2月に執行役員CAOに就任し、コーポレート部門の責任者を務める。

finn 久野氏

株式会社finn 取締役COO 久野聡一郎
2000年生まれ。豊田高専情報科在学中にCTOとして株式会社Papillonへ参画。『e-players』の開発当時は、インドネシアのユーザーと毎日直接コミュニケーションをとりながら、ニーズをプロダクトに反映させていた。企業売却後は面白法人カヤックにてマーケター兼エンジニアとして勤務。2024年 5月 株式会社finnにCOOとして参画。

muuv links 北氏

株式会社muuv links 代表取締役 北健人
大学卒業後、アイシン、グリコにて人事制度の企画から採用・育成、人材開発、タレントマネジメントまで人事全般に従事。グローバル人事にて海外事業体の支援や赴任者制度構築、海外拠点の立ち上げを経験し、自身も人事総務の統括としてブラジル赴任を経験。自身の海外駐在経験からも課題に感じた日本の働き方において、「働く人たちの成長機会を最大化し、活力ある社会を再創造したい」という想いから株式会社muuv linksを創業。「人と組織の成長を呼び起こす」をミッションに、モノづくり系エンジニア・技術者のキャリアプラットフォーム「muuv career」等のHRテックの事業を展開している。

左:カチノデ 森氏
右:eiicon 寺田氏

3名の登壇者に加え、東海地区のスタートアップエコシステムの形成に取り組んでいる、株式会社eiicon 東海支援事業部 寺田圭孝さん、株式会社カチノデ 代表取締役 森一浩さんがモデレーターを務めました。

それぞれのキャリアパス

大企業から独立して起業、様々な組織を渡り歩いたのちにスタートアップに参画、学生起業など、様々なバックグラウンドを持つ登壇者・モデレーターの方々。それぞれのキャリアパスをご紹介いただきました。

カチノデ森
私はもともと愛知県立芸術大学でデザインを専攻していました。大学で学ぶ中で、実際に仕事をしないとデザインのプロセスを理解できないと思い受託制作を開始。その後、株式会社ティアフォーが実施する、大学の学生を集めて様々なプロジェクトを立ち上げたり、開発をしたりして、それらを自社の自動運転技術に組み込むという取り組みの中で起業しました。なので当初はティアフォーの子会社として創業しました。その後就職するか独立するか迷った後、ティアフォーから株を買い戻して独立。独立後、最初はデザイン制作をメインとしていましたが、スタートアップ起業家と関わる機会が多くなり、2021年にスタートアップ支援にシフトしました。

Acompany嵯峨﨑
2013年に大学を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入社し、法人営業に従事していました。2016年からは、新規開拓営業と名古屋大学発のベンチャー企業の開拓を担当していました。東海エリアでのベンチャー開拓は初めてで、当初はやり方が分からず試行錯誤の日々でした。名古屋大学の研究室を訪ね「口座開設してください」と依頼したり、OICXなど名古屋大学の施設に入居する企業に「お手伝いできることはないですか」と声をかけたりしました。その後、東京の支店で法人営業を経験した後、再び名古屋に戻り、銀行員としては名古屋ビルの建て替えプロジェクトに関わりながら、愛知県庁のスタートアップ推進課へ出向し、自治体職員としてスタートアップ支援を行いました。2年ほど経って丸の内の本社に異動になりましたが、異動先は自分のやりたいこととは違うなと思い、一念発起し名古屋のスタートアップ企業に転職して今に至ります。

finn久野
2019年、豊田高専4年生の時に同級生と株式会社Papillon(パピヨン)を創業しました。最初は取締役CTOとして参画。2020年に高専を卒業後、e-sportの大会開催プラットフォームの開発を行っていました。2回のピポットを経て、インドネシア向けにサービスを展開したところ大会数が伸びトラクションが出ました。その後Papillonを面白法人カヤックに売却し、カヤックで正社員として勤務。2024年に再びPapillonの創業メンバーと株式会社finnを新たに立ち上げました。

muuv links北
新卒でアイシンに入社。途中でブラジルに赴任し世界の広さを知りました。ブラジル時代は非常に刺激的な経験が多かったです。例えば、朝出社したら経理の女の子が泣いていたので事情を聞いたら、バスで待っていたときに銃で襲われたなんてことも。ブラジル人と旅行中、雨の日に裸電球をつけようとしたら感電して死にかけたこともあります。そんな生活の中でも、ブラジルの人々は明るく、前向きに働く姿が印象的でした。一方、日本に帰ってきたら死んだ魚のような目をしながら働いている人がたくさんいるなと感じました。このままではいけないと思い、グリコに転職。1年ほどで再びアイシンに戻ったのち起業。ずっと人事をやってきたこともあって、みなさんに働きがいを届けていきたいと思い起業しました。

なぜ会社を辞めた?

カチノデ森:
まず1個目のクエスチョンが「なぜ会社を辞めたのか?」。大企業の中で働いていらっしゃる中でどういう心境変化があったのか辞めた前後の話を聞きたいです。

muuv links北
1社目で働いている時は自分の中に変化がない、成長している実感がないと感じていました。なのでどっかに飛び出していかなきゃと思い、ご縁があったグリコに転職。その後、アイシンに戻ってきてくれないかというオファーがあり、アイシンに戻りました。年齢を考えるとチャレンジできるギリギリの年だと考えたので起業することを決意しました。

muuv links 北氏

eiicon寺田:
いきなり起業しようとは思わなかったのですか?

muuv links北:
起業という選択肢はいきなりはなかったです。起業というよりは外の世界を見てみたいと思いが強かった。

eiicon寺田:
起業という選択肢が初めて生まれたのはいつぐらいですか?

muuv links北:
アイシンに戻ったあたりです。スタートアップウィークエンドなどに参加する中で自分自身でサービスを立ち上げたいという気持ちが強くなりました。

eiicon寺田:
スタートアップに触れてから起業に至るまでは早かったですか?

muuv links北:
半年後ぐらいには起業しました。

カチノデ森:
嵯峨﨑さんはいかがですか?

Acompany嵯峨﨑
辞めようと思った理由は、8割は仕事、2割はプライベートの事情です。仕事の面では、自分のやりたいことではなかったということ、やりたいことが大企業だとなかなか選べないと実感したことが大きな理由です。また銀行員時代にスタートアップを支援をしていく中で、本当にスタートアップのことをわかっているのかな、スタートアップのためになっているのかな、と思っていました。そうであれば、転職してスタートアップに入るのが面白いのではないかと考えました。

Acompany 嵯峨﨑氏

カチノデ森:
やりたいことっていうのは具体的に何だったのですか?

Acompany嵯峨﨑:
銀行の中でスタートアップに関わる仕事がしたいと思っていました。希望を出したのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。

eiicon寺田:
転職するタイミング以前に会社を辞めようと思ったことは?

Acompany嵯峨﨑:
仕事が辛くて転職したいと思ったことはあります。その時は、その状況から逃げたくて転職活動をしていました。逃げの転職活動だったので、やりたいことなどなく、志望動機をうまく話すことができなかったです。

学生起業のメリット・デメリットは?

eiicon寺田:
次のトピックは「学生起業のメリット・デメリット」というところで、これは学生起業を経験された久野さんと森さんにお話を伺っていきたいと思います。

カチノデ森:
久野さんは前の会社でe-sportsの事業をされていたと思うのですが、どういう理由でその領域を選んだのですか?

finn久野:
e-sportsを選んだのは好きだったからですね。本当にその一本槍でした。

finn 久野氏

カチノデ森:
好きだから起業するっていうのは一般的な感覚だとなかなか無いかなと思ったのですが、どういうきっかけで起業したのですか?

finn久野:
夏休みに高専の友達とお泊まり会をしていた時、今の代表の都築がなんか一緒にやろうということで始まりました。

カチノデ森:
何かをやるというといっても起業の他にいろいろ選択肢があったのか、起業しかなかったのかどんな感じだったんですか?

finn久野:
起業しかなかったですね。

eiicon寺田:
起業しようと言われた時に迷いはなかったですか?

finn久野:
助かったと思いました(笑)。就職するよりも絶対そっちの方がいいですもん。

eiicon寺田:
その後事業売却して大企業に勤めたと思うのですが、以前抱いていたイメージと入社後のイメージはありましたか?

finn久野:
いい意味でのギャップはありました。社員の方々はスキルも高く、優秀で、話も面白くとてもいい会社でした。

カチノデ森:
今振り返ってみて学生起業をするメリット・デメリットについてはどう考えていますか?お話を伺っていたらメリットしかなさそうですが。

finn久野:
いや逆でメリットはほぼないと思います。でもデメリットしかないなかで「これしかない」「今これを掴むしかない」と思ってる人がやればいいと思っています。実際に僕やメンバーも家族に止められて大変な思いをしました(笑)。

eiicon寺田:
森さんはどうだったんですか?

カチノデ森:
私の場合は事業を作りたくて起業したわけではありませんでした。というのもデザインを大学で勉強をしていたのですが、実際のクライアンに対して提案するわけではないんですね。デザインは誰かの困りごとや、社会の課題を解決していく時のアウトプットだと思っていたので、実際にやらないと価値提供できているかわからないと思いました。そう考えたのをきっかけにビジネスを始めました。

人生の意思決定において何を大事にしている?

eiicon寺田:
今までの経験を振り返った上で人生の意思決定で大事だった軸はなんだと思いますか?

左:カチノデ 森氏
右:eiicon 寺田氏

カチノデ森:
「自分がやりたいことができるかどうか」です。学生時代、大企業から中小会社、スタートアップでインターンをしていたのですが、組織の中で働いていくということに対して何か引っ掛かるなという感覚がありました。その時に自分は探究していきたいタイプだと思って、たまたま良い機会があったので飛び込んでみました。

muuv links北:
ちょっと逆説的なんですが、あまりこういう感じで重く受け止めないことを意識しています。それよりかは、自分が選択した選択肢をより良いものにすることに労力を割いた方がいいかなと思っています。

finn久野:
僕は単純な人間ということもあって、人生の意思決定は直感が一番大事だと思っています。ただ、自分の直感を信じているわけではないです。だからこの直感を磨きたいと思っています。スタートアップをやってるとすぐに決断しなければいけないことがやってきます。その時に直感を使わずにロジックで考えようとするとタイミングを逃してしまう。なので今年の3月に代表の都築が独立するといったタイミングで、みんな(前社のメンバー)直感で辞めて今に至ります。

Acompany嵯峨﨑:
僕も直感を大事にしていますね。今の会社には、面白そうだな、やりたいことだなと思ったので入りました。あとは、さっきも北さんから話があったと思うのですが、選択肢を選んだ後に自分がどういうことをやるかで次が決まってくると思っているので、まずは今の仕事を頑張っていきたいと思います。

今後どんなキャリアをイメージしている?

カチノデ森:
最後にこれからの話も聞いていきたいと思っておりまして、今後どんなキャリアをイメージしているかもしあればお伺いしたいと思います。

左:Acompany 嵯峨﨑氏
中央:finn 久野氏
右:muuv links 北氏

Acompany嵯峨﨑:
まずは今の業務を頑張りたいので、明確に決めてはいないですが、今後のキャリアとしては、①スタートアップで管理系の業務をしていく、②銀行に戻る、の2つを考えています。②についての補足ですが、先ほどお話ししたとおり、私は銀行員の時に本当にスタートアップのための支援ができているか疑問を感じていました。スタートアップでCXOの経験があり、銀行員になった人はなかなかいないと思うので、スタートアップ経験者としてスタートアップファーストの支援ができる銀行員になってみたいという思いもあります。

カチノデ森:
それはまさにスタートアップエコシステムの価値だと思います。エコシステムが回っていくにはいろんな組織を人が流動していくのが大切だと思っていて、嵯峨﨑さんのような人材がいろんな組織に入っていくのはとても良いことだと思います。

finn久野:
今はfinnでの新規事業を当てることを考えています。キャラクター創出の事業をやろうと思っています。これをしっかりと当てるためにモデルや戦術を組んでいきたいと思っています。

muuv links北:
私は今起業しているので最大限、今の会社でビジネスを成功させられるように頑張りたいと思っています。ゴールとしては人が働きがいを持って働けるような、影響力がある会社を作りたいと思っています。

その他、参加者の質問に回答いただきました!

イベント当日は匿名でリアルタイムに質問ができるツールを使って、参加者の方々から質問をいただきました。

Q. 起業をするなら関東か東海かどちらの方が良い?

muuv links北:
事業領域によると思います。IT・WEB系だと関東がベストだと思いますし、製造業などを狙うならば東海も選択肢に入ってくると思います。

カチノデ森:
逆張りの回答になるのですが、地方の方がいいという案をご提案したいと思います。関東は基本的に物価が高いので、デジタルプロダクトとかであれば創業期の出費を抑えるために地方で創業した方が良いのではないかと思います。あとはお客さんがどこにいるかにもよると思います。

eiicon寺田:
言い方が少し悪いですが、地方の方が良い意味で持ち上げられやすいです。いろんな人の協力を得られやすいというのは支援者側の立場から感じています。

その他にも多数ご質問をいただき大変盛り上がりました!

Acompany 嵯峨﨑さん、finn 久野さん、muuv links 北さん、そしてイベントにご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

次回イベントはこちら👇

主催:OICX / 名古屋市
 運営事務局:株式会社カチノデ/株式会社eiicon
 (事業詳細:https://nagoya.eiicon.net/collab/news/cSHxmbiA)

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