面倒な人
フェルマーと言う意地悪おじさんは、数学の歴史に少しでも触れたことがあれば知っている名前。
式の理解だけなら中学生でもできるけど証明は300年かかったと言うハイパー意地悪な俗称「フェルマーの定理」はなんとなくでも聞いたことのある人もそこそこいるはず。
「3 以上の自然数 n について、x^n + y^n = z^n となる 0 でない自然数の組 (x, y, z) は存在しない」
「答え知ってるけどメモ帳の余白足りないからそのうち書くわー」のままのノートその一つがフェルマーの最終定理。この野郎!
この人、色々と面倒な人で、そもそも学者ではなくて野良の数学者。なのにパスカルと確率論の研究したり、デカルトと解析幾何学の研究したりとしてる。あげる、数論での功績は大きすぎて無視できない。
そもそも、この二人の名前が出てくるのが不可思議なのよ。調べたらわかるけど、パスカルって形而上学とか哲学の人としての功績が最初に来る。
「人間は考える葦である」
とかは教科書で見た人いるんじゃない?
デカルトにしても
「我思う故に我あり」
と哲学の人物扱いなのよ。
オイラー、ガウスみたいなガチガチの数学者ではなく、この辺りの人たちとの繋がりで研究する野良の数学趣味の人。
もう、面倒な事しか出てこない人。
ただ、300年にわたるエンタメを提供したと考えると部外者である我々には愉快ではある。
残された数学者にとってはたまったもんではないだろうけど。なにせこれに人生費やしても金にならない。ただ、目の前に難問があるからと目を輝かせる人たちの人生を奪い続けた。
証明したワイルズさん、これ研究してたら怒られるから、こっそり何年もかけてチャレンジしてたのよね。
なんでもAIが答えてくれる時代だけど、過去の面倒な人の落書きが、人生に彩りを与えてくれることもある。
なんとなくコンピュータの総当たりで無理やり答えを出した「四色問題」の美しい証明を、面倒だと頭を書きながら誰かがやってのけるようなことを夢見ていたい。