年末は15年前のM-1を観よ
ほんとは年末年始ももっともっと投稿するつもりだったのに意外とがっつり時間が取れず…下書きが溜まっております。
早く消化せねば。
さて、年明けてそうそうこのテーマ?ってなりそうなこと書いちゃう。でも我ながら有益だと思うので皆様に11ヶ月と7日後の参考にしてもらえたらと思う。
12月。
所謂『師走』は『師走だから忙しい』というよりも、毎年『忙しくて気づかないうちに師走』という印象だ。もう今年も1ヶ月ないんだ〜と気づかせてくれるのは、年末の風物詩的なあの賞レース…
M-1グランプリ!
お笑いにすごく詳しいというわけではないけれど、M-1は大好き。見るたびに漫才って本当に精巧だなと思うし、その場の空気や勢いや審査員の好みで面白さが数倍になったり、はたまた半減したりするのが興味深い。毎年敗者復活戦ステージからおうちで一人審査員をするのを楽しみにしている。ちなみに私の採点はオール巨人師匠に1番近い古典派漫才が好きなタイプだ。志らくさんとはあまり気が合わない。今回からはオール巨人師匠が審査員を引退されて、仲間が減ってまったようで勝手に寂しかった。
2022年のM-1は12月18日だった。あっという間にM-1の日になり、そこで私は毎年のごとく2022年の終わりを自覚した。
缶ビールを片手に、テレビの前で一組一組の勝手に審査員をやらせていただき全て結果が出てしまえば、
『去年の錦鯉から1年か〜早いな〜』
『今年はウエストランドか〜さや香だと思ったんだけどなあ』
とかせいぜい考えるくらいで2022年の一視聴者によるM-1観戦は終わった。たくさんのドラマをありがとうございました。
そう。これはあくまで2022年のM-1のお話。
タイトルの通り、年末に見るべき15年前の『M-1』を見たのはもっともっと年の瀬の12月30日のことだ。
既に仕事納めもして、午前中は一人暮らしの部屋の大掃除にとりかかった。夕方からは私の大親友であるゆなちゃんと、旦那さんであるけいちゃんの家で忘年会をすることになっていた。私は16時過ぎに韓国チキンを片手に二人のお家へお邪魔した。
ゆなちゃんは酒飲みな私のためにたくさんのおつまみを既に用意してくれて、私の韓国チキンも可愛いお皿に盛り付けてくれた。気心知れた3人での2022年最後の予定だった。
私がお酒とおつまみをガツガツ食べている間に、テレビに繋いだネットフリックスでM-1を検索し始めたのはゆなちゃんだ。
『え、ネトフリで歴代のM-1が観れるの!?』
ネットフリックスの会員でありながら私はM-1が見れることを知らなかった。さすがゆなちゃん。
大親友のゆなちゃんと私は好きなものがほぼ同じといっても過言ではないため、例に漏れずゆなちゃんもM-1が大好きだ。なんなら私よりもお笑いはとても詳しい。ゆなちゃんは中学の時フルーツポンチの亘さんが好きで、はるばる新宿のルミネ座吉本の劇場まで見に行っていた。最近はハライチの岩井さんが好きで、ハライチがやってるラジオ『ハライチのターン』のリスナーだし、大学の時には二人でハライチを見に下北沢にお笑いライブも見に行った。(私はそのときにハライチと一緒に出ていたさらばで死ぬ程笑った)なので去年のM-1でハライチが敗者復活戦で勝ち上がってきたときには二人で沸いた。そしてM-1が終わったあとの『ハライチのターン』を聞いて二人で尊さを爆発させていた。
『何年の回にするー?』
わー、第一回からダイジェストを見ていると今第一線で活躍してる人たちの若かりし頃がいっぱいだ。
さすがに小学生の頃の記憶はないよねー、と適当に見ることを決めたのが、サンドウィッチマンが優勝した2007年のM-1だった。
ちょうど15年前だ。
2007年の決勝出場者を調べてみた。
・サンドウィッチマン
・トータルテンボス
・キングコング
・ハリセンボン
・笑い飯
・ザブングル
・ダイアン
・千鳥
・POISON GIRL BAND
…すごい顔ぶれ!!!!!!!
結果を知らないで今のテレビの印象で観てたら、誰が優勝なのか想像もつかない。
※お笑い素人の意見です
※あ、あとちなみに出場者これ得点順です
私とゆなちゃんとけいちゃんは早速決勝の第一順である笑い飯から見始めた。
私の印象にすぎないが、この頃のM-1はなんというか、『古典的漫才』といった感じでネタの内容分かりやすいなと思った。今でこそコンビによっては個性が特出しており採点がつけにくいと言われていたり、『これはコントではないか』みたいな論争が起きたりするコンビもあるけど、2007年のM-1はそういったことがなくシンプルに一つの見えない型があるようだった。
私は細かい好き嫌いはあれど、そんな古典的漫才の型が好きなタイプなので純粋に楽しんだ。そして私の採点は松ちゃんとほぼ同点をつけていて、我ながらなかなかいい採点をしているのではないかと思った。
2007年の出場者の中で私が1番楽しみにしていたのが千鳥の漫才だった。今はテレビで見ない日がないし、なんならテレビをつけなくてもネットフリックスで相席食堂を見てしまう私。15年前はどんな漫才をしていたのだろう。
千鳥の決勝の出番は5番目だった。
会場もあったまってきた頃で順番的にも悪くない位置じゃないか。
食べる手を止めてテレビに食いつく。
…
ネタが終わらないうちに気がつけば韓国チキンに食いついている自分がいた。
要はあまり集中してネタに入り込めなかったのだ。なんだろう、あまり自分が好みのネタじゃなかったからなのか。
採点を見たが、やはり私と松ちゃんの気持ちは同じだった。だよね。
そして他の審査員を見ても全体的に点数が伸びていなかった。結果千鳥は最下位から二番目の8位で終わることになる。
審査員から講評をもらっているときの千鳥の二人のなんとも言えない顔。決勝で最下位に近い点数だとしても、仕事も増えるし準決勝で敗退するよりはいいと思うのだろうか。二人はこの時どんな気持ちだったのだろうとつい考えてしまった。
しかもそのあとに続いて登場したトータルテンボスは馬鹿みたいにおもしろくて、ドカンドカンと花火が上がるように会場もウケていたのがわかる。私たち3人も、千鳥の時とは違い、つい箸を置いて爆笑していた。そしてトータルテンボスはその時点でその日最高得点を叩き出すと千鳥はすぐに敗退が決まった。トータルテンボスが面白すぎて千鳥がどんなネタをやったか既に忘れつつあった。
3位の椅子を立つ千鳥を見ながら、
『大丈夫。あなたたちは15年後、テレビで見ない日はないくらい何個もレギュラー番組を持って、浮かない顔で採点をした松ちゃんと酒のつまみになる話にも出てるんだよ』
と教えてあげたくなった。
でも誰も教えてくれないし、そもそもその時は誰も分からないことなのだから当然だ。
もっと言えば、敗者復活戦の会場から中継に繋いでいるときに後ろでわちゃわちゃ映っていたNONSTYLEやとろサーモンは数年後M-1優勝するし、
オリラジもオードリーもM-1で優勝こそしていないが15年後個人でも活躍する人になっている。オードリーなんてラジオの公開収録で武道館まで埋めちゃうんだから。
当たり前だけど、そんな未来は何も知らずに15年前は大勢の夢見る芸人の一人一人だったのだ。
どこまで自分の可能性を信じられていたのだろう。
何年頑張り続けたら芽が出るかも分からない世界で、でも頑張り続けることで見える世界があることを15年後の世界から見ている私は改めて気づかされた。
けれど全員が夢見た世界を15年後に見れているかは別の話で。例えば2007年のM-1決勝に出ていたコンビで唯一私たち3人ともが知らなかったPOISON GIRL BANDの現在を調べると、2020年からコンビでの活動を休止していることがわかった。Wikipediaによるとツッコミ担当の阿部さんがコンビでの活動意欲が失くなってしまったらしい。
漫才師が憧れるM-1決勝という舞台に立っても尚、それは確実に夢見た未来が保証されるわけではない。
RPGのように、あらゆる分岐点において『ここでこのような結果を残せばこのルートになる』ということは良くも悪くも一生ないのだと思うと非情に感じるような、面白みを増すような。
私は一年後の自分ですら上手く想像が出来ない。15年後なんて尚更だ。
でも、M-1を見ながら考えてみたくなった。いつまでも同じような日々は続かないから。今は結果を残せていなくても、自分自身の努力と変化の積み重ねで変えていけることを数えてみたい。
1年に一個ずつ変化すれば15年後は今と15個の変化があるはずだ。
年の瀬はその年の1年を振り返って過ごす人は多いだろう。でも15年前のM-1を見た私は、次の年どころかそのずっと先の未来を考えるようになっていた。
そもそも『先のことなんか考えても未来は分からないのだから無駄。今だけを真剣に考えて集中しろ』なんて、誰もが一度は言われたことがあるセリフではなかろうかと思うが、年の瀬だからこそ自分へのご褒美に夢を見て、来年の自分を鼓舞するきっかけに15年前のM-1を見ることを私はおすすめしたい。
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