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怒りと向き合う #02 「もう怒っていない。ただ疲れている。」

文:岩井ダダンダン

色々なことが起きすぎた。

怒りに関するエッセイだが、第二回にして全く怒っていない。正確にはめちゃくちゃ怒ったり、悲しんだり、怖くなったり、緊張したり、怒ったりしたのだが、今はもう怒っていない。ただ疲れている。

何からどう説明すればいいものか。

ただ羅列するなら、新しい仕事が始まりパツパツに忙しい中で引っ越しをし、俺の性格の悪い所を煮詰めたツイートが嫌なバズり方をして匿名のインターネットマンに誹謗中傷され、引っ越し先の新居の管理人とトラブり、クライアントからアホみたいな納期の修正依頼を飛ばされてたりしていた。


マジで何?


ゴジラがやってきてヤバいと思ってたら、ジョーカーのバットマン抜きと、サノスのアベンジャーズ抜きがやって来て、しまいにゃ全員俺を追っかけてくるような毎日だった。情報量が多すぎた。

改編期に日テレとかフジでやってる3番組ブチ抜き特番みたいな圧だった。「夏だ!海だ!ストレスだ!岩井ダダンダン・夏休み特別編!引っ越しも、新しい仕事も、万バズも全員登場!パルキアのあくうせつだんで、じぇじぇじぇ!インターネットマンから倍返し!マンションの管理人に "お・も・て・な・し”な4番組合同4時間スペシャル!!!」じゃないのよ。


いよいよ感情が希薄になってきている実感がある。

さっきライブに行ったんだけど、感情が表に出てこない感覚があった。好きな曲、好きなバンド、好きな人たち。だけど気持ちが上手に出てこない。言葉が出てこない。なんか悲しくなってきた。あ、感情あるじゃん。ラッキ~。


こうまで心が動かなくなると、去年の夏のことを思い出す。

この時自分は適応障害でメンタルクリニックに通っていて、抗不安剤を服用していた。その時は心が本当に穏やかで、仕事上で何が起きても「まあそういうこともあるよね~」と受け流せるくらい余裕があった。

そんな時、ひょんなことから3~4日薬を服用が出来ない日が続いた。精神が著しく不安定になった。毎日悲しかった。上手く頭が働かなかった。忙しい毎日を乗り越えて、半年前に取ったコンテンポラリーの生活のワンマンライブを見に下北沢シェルターに行った。少し遅れて入ったフロアには超満員の客達がいた。人が多くて入れず、僕は階段から彼らの歌を聴いた。それはもう大泣きしてしまった。彼らは鉄腕ナインティーン。本当の言葉を吐いてよ、「嫌いです」とかそんなんでいいさ。拳を掲げて大泣きした。その時に分かった気がした。抗不安剤は、マイナスの感情を少なくするものではなくて、感情のプラスマイナスの振幅そのものを小さくするものなんだって。薬を飲んでいた時の落ち着きは不安じゃなくなったわけじゃなくて、感情が不感症になってただけなんだって、そう思った。もちろん真実は違うかもしれないけど、そう思ったんだから仕方ない。そして、仮に不安で眠れない日があったとしても、悲しくて仕方ない日があったとしても、音楽で泣けるならそっちの方が良いや、って思った。友達と爆笑できるならそっちの方が良いやって、思った。

その日から薬を飲むのはやめて、メンクリにも行かなくなった。本当は良くないんだけどね。


それの逆のことが今起きてる気がしている。忙しすぎて、色んなことが起こりすぎて、感情の起伏がなくなってきている。薬を飲んでるわけじゃないのに、なにも楽しくない。やたら悲しい時もある。

なんか書いてて思ったけど、結構まずい心の反応な気がしてきた。今度は感情の起伏を取り戻すためにメンクリに通おうかな。

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