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093 『疑似ハーレム』、感想第一回目
七月も四週目なのにいつまで続ける初回批評。私もいい加減リアタイの感想を書きたくなってるので、今回入れて後二回に限らせていただきます。次の回はその時まで内緒で、今日は掘り出し物の一本の『疑似ハーレム』で、実は総合評価はB止まり。でもB級映画が却ってBであることに価値があるように、本作も背景美術が凝ってなかったり作画も良くも悪くも割り切りやメリハリがあるのでBにしてるのですが、そのテーマ性は決して馬鹿にならない。何よりも「疑似ハーレム」という発想、それに目覚めてく七倉凛ちゃんの過程が実に説得力あって。
まずは毎度おなじみファーストカットから。
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実は右下から左上にパンするカットで、(多分)ソメイヨシノが花咲かせていて華やかさはあり、高い場所に校舎があるなどレイアウト的に工夫はあるのですが、一枚絵の密度としてはそんなに細かくありません。これを最初にしたことの意味、多分「気楽に見て下さいね」ということだと思う。
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そして上の画像が七倉凛ちゃんの初登場。厳密に言えば左側のドアから出てきたところ。すぐ顔のアップになるのですが、なかなか冒険的な登場のさせ方ではある。桜に祝福されているとはいえ、校舎、あるいは学校と言う巨大なシステムの一部分と言う意味を持たせているのかも知れない。いや、この時は演劇部の部室を探して頭を右に左に動かしていることから、まだシステムの一部分にもなり切っていない。入学したてだから当然だけど。
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そこに正に偶然に演劇部の先輩と出会う。聞けばこの高校の演劇部、部員はこの先輩、北浜瑛二部長一人だけだという。「物語の始まりみたい」とロマンチックになった凛ちゃんだったけど、案内された部室に通されてびっくり、大勢が集う活発な部活だったのでした。
案内してくれた先輩は部長でないし、その北浜先輩からは「サブラーイズ、どお、物語の始まりみたいだったでしょ?」と言われる始末。でも「この先輩、変な人だな」と思いつつ、そんなに悪い気は起らなかったはず。そしてこの一件、私は『疑似ハーレム』の根幹に関わるテーマが内包されてると思うのです。
その直後、凛ちゃんはガタイの大きい部長相手にロミオとジュリエットをやる羽目に。
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そこで迫真の演技を見せ、七倉凛ちゃんは演劇部に暖かく迎えられたのでした。ここまでがアバン。実はここまでOPなかったから、初回はOPなしで通すんだと早合点してました。
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そして北浜先輩の「男と生まれたからには一度くらいはもててみたいよな」に凛ちゃんは応えちゃう。正確には先輩がハーレムに興味があると言った後で。
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凛ちゃんは疑似ハーレムとわかった上で自分に感謝の意を示す先輩に笑顔を返したのでした。「演劇は嘘、嘘だから面白い」を具現化したようなアニメの始まりであり、本作の底流にあるテーマと思うのです。
しかも凛ちゃんが疑似ハーレムに目覚めるまで、校舎をうろつくところからの展開が作劇的に完璧。そして疑似ハーレムは演劇で演劇は嘘なら、この場合の嘘とは何か? 私は庶民、小市民のためのファンタジーと思うのです。
権力者や実力者の中には実際にハーレムをやっている人間がいるはずで。しかし庶民にはそんな機会が訪れることは金輪際ないから、そのごっこを遊んで鬱憤を晴らす分には罪ないだろうと。そんな庶民、小市民の愚痴、負け犬の遠吠えから発想したのが疑似ハーレムというマンガ、発想と思うのです。深く考えられるマンガ、アニメと思うことが出来、感心して観てます。