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233 『アオのハコ』 第十三話「ラリーしたいです」

 カレンダーを見ると8月12日。いよいよインターハイの会場に千夏先輩が旅立つ日。夏でも朝早く、まだ青空になり切っていない外に千夏先輩は出る。原作でも「まだ星が見える」というモノローグがあるけど、アニメになって色が付いて千夏先輩の今の心情のリンク度が高まった映像表現でした。
 だから多分寝てたので見送りできなかった大喜くんが忘れ物を走って届けに来た時、ハイタッチを要求したのは最近の大喜くんの摂取不足に不安になったからと思う。しかし千夏先輩に大喜くんへの不信感がなかった訳ではない。だから「大喜くんって結構人たらしだよね」。千夏先輩は精一杯の嫌味を言う。
 それに「あんたが言うんかい!!」とモノローグする大喜くんだけど、バドの休憩時間に匡くんから雛ちゃんと一緒を千夏先輩は見たと言われたことも含めて、『アオのハコ』には珍しい普通のラブコメ。言い合いにならない所が『アオのハコ』なのでした。
 しかし直後に「練習しよ」になれるところが大喜くん。そして歩いてきた雛ちゃんがぶつかってくるが、雛ちゃんは謝っただけでいつもの憎らし気な親密なちょっかいは今回はなし。どうやらインターハイ用の演技の振り付けを確認しているようだった。
 そしてバドの方。「こちもかなりピリついてるし」。針生先輩は部の仲間とゲームに精を出しているが、すでに針生先輩と張り合える部員は栄明にはいなかった。だから多分ボロ負けを承知で大喜くんが相手する。多分大喜くん、「遠くの目標もちつつ近くの自分を見れば」の千夏先輩からもらった言葉を実践していたのかと。だとすれば向上心があるという意味で、(皮肉な死で)何ていい性格、アスリートなんだろう。選手として成長するわけだ。
 そしてさらに後日、隣の県でのバドのインターハイ会場。大喜くんは選手用入口から入ろうとする遊佐くんを見て、前回初登場の針生先輩の彼女、花恋さんと鉢合わせするのだが。針生先輩の相手の兵藤さんを含め、この回の以後は殆ど針生先輩と花恋さんの物語。
 馴れ初めからどう恋に発展していったか、そして現在はどう相手を思い合っているのか。花恋さんの方は大喜くんに告白してるが、針生先輩の気持ちは試合中なので視聴者/読者に知れるだけ。私は大喜くんと千夏先輩の一つの理想像と、コミックス読んだ時から思ってました。
 しかし1ゲーム目は落としても2ゲーム目を取り、ファイナルゲームまで行って多分兵藤さんを慌てさせた針生先輩だったけど、健闘はそこまで。多分針生先輩は様々な悔いを残して二年生でのインターハイ、二年間の兵藤さんとのバドのゲームを終えた。でも花恋さんの言う通り、「何万回も言われてることだけど。頑張ってる人を見ると、自分も頑張ろうって思うよね」。
 これ以降も花恋さんの独壇場。大喜くんには「とにかくそのままじゃ、君は一生壁打ちしてる人だよ」。とちー、千夏先への想いに発破をかけ、恋人の健吾には「イヤな質問かもしれないけど。やっぱり2年生じゃあれ以上勝つのは難しいの?」とバドへの本気を確かめる。
 この後のやり取り、結局花恋さんは健吾が弱みを見せてくれて、恋人のバドがまだまだいけると信じられ、安心して家に、そして自分の仕事場に帰ることが出来たのだと思う。本当にこのカップル、掛け値なし、皮肉なしに素敵と思うことができました。

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