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232 『アオのハコ』 第十二話「女の子って」
今回は花火大会当日、前回会場で落ち合った大喜と雛ちゃんが、千夏先輩以下女バスのチームメイトに発見されたところから始まる。二人は後ろ姿だったため、千夏先輩たちを気づくことはなかった。千夏先輩の方は戸惑いの表情。というのも大喜くんは花火大会を皆と行くと、猪股家で千夏先輩を前にして言っていたから。
大喜と雛ちゃんの方は、大喜は雛が普段と違う様子なのは気づいていたが、思考はそこまで。雛ちゃんは想定外の実質おデートに耐えられず、気を落ちつかせるため「焼きそば買ってくる!」と一旦その場を離れた。その後、一人で夜店の通りを歩く場面でのモノローグ、正に恋に恋する女の子、初々しい乙女心爆発と思いました。
その後で場所取りに成功して敷いたシートに二人して座る。そしてちょっとした二人のやり取り。大喜にとっては何気ない感想、率直な誉めのつもりだったはずだけど、雛ちゃんにとっては自分の大喜への想いにクリーンヒットしたと思う。それは原作で後の展開を知ってるから残酷でもある。
そして一発目が単独で上がり、原作でもアニメでも展開的にはすぐ終わって20分の休憩。トイレで席を立った大喜くんだけど、多分そのすぐ帰りで千夏先輩と鉢合わせする。迷子を世話している千夏先輩を大喜くんが見つけたのでした。しかし話しは大喜くんと千夏先輩の方には展開せず、大喜くんが不在になって千夏先輩と迷子のゆめちゃんとのお喋りへ。
ゆめちゃんと千夏先輩、自分の不器用さの暴露合戦は、ゆめちゃんは無邪気な陽気な告白だけど、千夏先輩の方は陰、blueがあるのは明らかかと。第一話での体育館が開くのを待っている、大喜くんが憧れるのも仕方ない先輩像から随分離れた、欠点ある人間と改めて明示された素晴らしい場面。
そんな千夏先輩、ゆめちゃんから見ればちなつお姉ちゃんに何か思ったゆめちゃん、自分では言葉に出来ない何かをお姉ちゃんに感じ取り、お気に入りだったはずの髪飾りを知り合ったばかりのお姉ちゃんに付けてあげる。原作を先に読み、物語的にも結構すごいと思いました。富野由悠季が常々言っている「子どもを舐めるな」。が表現されてると思ったから。
ゆめちゃんを花火大会の本部に連れて行く直前には針生先輩の彼女の花恋さんが初登場し、チーへの違った見方を示してくれる。
そしてゆめちゃんをお母さんに返した後、大喜くんと千夏先輩は暫く歩き、花火の打ち上げが再開したことをもってそれぞれの待ち人のもとに戻る。大喜くんは良くも悪くも鈍感だったけど、千夏先輩は意外にナイーブなことがわかる。女バスの一番の親友、渚に「てかなんで寂しそうな顔してんの?」と言われてしまう。
祭りが終わった次の日、千夏先輩はインターハイのために部活に精を出していた。花火大会前から変わらずの日常だったけど、千夏先輩にはやはり引っ掛かりがあった。
「蝶野さんと付き合い始めたのですか?」
雛ちゃんが大喜くんを好きなのは前からわかってる。後は大喜くんの気持ちだけど、「二人で花火大会行くってことは、そういうことだよね」。つまり千夏先輩、ミサンガの同志の大喜くんを信じられなく、バスケに集中できない心理状態になってる。
原作では昼休みが終わって練習再開で終わるけど、アニメでは不安を醸し出す千夏先輩の歩きで終わる。正に今年のblue編に繋がる、モヤモヤを残した斬新な終わり方でした。