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168 『アオのハコ』 第三話「ちー」

 大喜くんがバドの針生先輩と千夏先輩が並んでいるのを見て動揺する場面から始まる今回。雛ちゃんの大喜への(友人としての)親密ぶり、針生先輩の性格の悪さなどがわかった回でした。
 最初の場面や次の日の放課後も針生先輩と千夏先輩が仲良く話すのを取り繕ったり、初めての教室の場面で「机から生えたきのこみたい」と笑えない冗談を言ったり、雛ちゃんはそれなりに長いあいだ大喜と性別を意識させない友人をやっていたことが窺える。
 針生先輩に関してはアニメを観てコミックスでも確認しましたが、大喜くんと笠原くんの話しを盗み聞きする前にも、大喜は鹿野千夏を好きと気づいていたと考えても不思議はないかと。つまり知ったあとに大喜と部内戦をして意外にやると気付き、千夏のためにも大喜を鍛えてやろうと思ったと思うのです。ただ針生先輩、千夏が大喜のことをどう思っているか、友達以上の感情があるのかどうか、原作でもアニメでもこの時点では不明のように描かれています。
 笠原くんは大喜の家に千夏先輩が居候していることを知っているのですが、この回は大喜を心配して側にいるだけでこれといった活躍はしていませんでした。
 そして大喜くん、千夏先輩と針生先輩の仲を気になりながら、バドに関してはそんな感情はシャットアウトして集中できること、マンガのキャラクターとして素晴らしいと思いました。だから針生先輩との部内戦、第二ゲームの後半に一矢報いることができたし、ダブルスのペアが決まったあとの針生先輩からのしごきも必死についていく。性格はともかくバドでは昨年県三位で尊敬すべきとわかっているから、大喜くんやってやるという気持ちになったと思います。
 そして千夏先輩。取り敢えず私の二次小説は置いておいて、居候先の息子さん、猪股大喜くんのことをどう思っているのか。前史からの早朝練習仲間という点も考えず、アニメやマンガから考えても、友達以上の感情を持っているのではと疑いたくなる。
 まずは終わりが女バスより遅かったのに先に帰って鍵を開けてくれたことにお礼を言った場面。簡単な感謝の言葉ではなく、大喜くんが走って帰ったことから想像した自分の考えを懇切丁寧に説明して感謝する。そんな手間暇かかることを例えば千夏先輩の単なるクラスメイトにするか疑問で。そして照れる顔を晒しての「ナイスカバーリングだね」。
 そして大喜くんと針生くんとの部内戦。二ゲーム目の後半で針生くんより1点多く取ったのに嬉しくなり、市民公園で大喜くんとバドする千夏ちゃんの場面。このときも千夏ちゃんは大喜くんに対し、試合の内容とともにバドに取り組む姿を教えてあげる。そして「だから大丈夫だよ。大喜くんなら大丈夫だよ」。ミサンガを結んで互いにインターハイを目指す同志愛でこれだけやる気持ちになるか、私は疑問で。
 そして針生くんがダブルスでペアを組んだ大喜くんを紹介し、それは大喜君を針生くんも買っていると明かされる場面。以上から千夏ちゃん、大喜くんが自分への好意に気づいてより好きになってもらいたく、そしてバドでも頑張ってもらいたい意思表示と思うのでした。
 大喜くんの千夏先輩と針生先輩との仲の勘繰りが結局は根拠なく、大喜くんのひとり相撲と分かって終わった回でしたが、そこに至るまで様々なドラマが有機的につながった素晴らしい回でした。

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