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112『小市民シリーズ』、第7話「シェイク・ハーフ」、感想

 相変わらず超絶な背景美術である。タイトル画像の小鳩くんの部屋、柱と間柱、梁が丸見えなところ、今は一人暮らしの私の家そのもの。覗き見られたと思うほどであまりいい気はしない(もちろん捻くれた誉め言葉です)。
 さて小鳩くん、今日も小佐内さんに付き合わされてファストフードで待ち合わせ。しかし距離はあるけど堂島くんと同じ並びのカウンター席に座ったことで、お話しが動き出す。それにしてもこの時の堂島くん、伯林あげぱんの回までで小鳩くんの好奇心のそそり方を体得したようで、少しずつ材料を出して小鳩くんの推理欲を煽る。多分小鳩くんが同じカウンターの席に座った時から、この件に引き込んでやると思ってたはず。
 堂島くんがその場を去った後、小鳩くんは背後に立つ小佐内さんに気づくけど、小鳩くんが鈍いのか、小佐内さんが気配を消せるのか、小佐内さんの格好を含めてギャグになってて笑わせてもらいました。それにしても小佐内さん、天然ボケなら許されるけどちょっと格好いいとか可愛いとかで選んだ装いなら、このご時世、元ネタの民族への冒涜になるぞ。(それをあえてしたアニメスタッフに感謝)
 そしてアーケードの商店街をデートのように街歩きする小鳩くんと小佐内さん、堂島くんからの用件を済ませ、二人でフローズン西瓜ヨーグルトを食べたらしい。
 日が改まり今度は堂島くんに呼び出される小鳩くん、先のファストフードで概要は知った事件のその詳細、そしてあの後の堂島くんの行動を知らされる。私のnoteではその事の次第を説明しませんが、重要なのは場面の画・絵としての説明はなく、あくまで情報は堂島くんの台詞だけと言うこと。『ヤマノススメ Next Summit』でも似た展開があったっけ。
 雪村あおいはバイト先の先輩、大学生の小野塚ひかりにガールズデートを誘われるが、それは男の子とデートできなかったひかりさんの代償、代替行為だった。そしてその時、視聴者はあおいちゃんと同様、そうした情報をひかりさんの口からだけ知らされる。それは山や山ガールの話しの「ヤマノススメ」ではテーマが拡散するから描けないけど、山に関わらない人、人生も確かにあるという証しと当時、思いついたのです。
 しかしミステリでそれをやると「信頼できない語り手」を想定してしまう、せざるを得ない。もちろん堂島くん、小鳩くんに積極的に嘘をつく、つまり悪意でわざと騙すとは想像しづらいけど、何らかの勘違いや思い違いを想定したくなる。
 そしてまた日は改まり、三夜通り祭りの日。小鳩くんは小佐内さんの家に一時頃来るよう呼び出される。

小鳩くんと小佐内さんのお母さん

 しかしこの直後、娘にそっくりな母親がとった受話器からの声、そして内容は。一気に普通のミステリになった、急展開でした。しかし原作未読ですが、視聴者の立場から言うと機転が利く小佐内さんのことだから先手、狂言の可能性を私は捨て切れないのでした。何はともあれ最終的に日常に忍び込む瑕疵、悪意と思える緊迫感のある回でした。

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