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163 『アオのハコ』 第二話「インターハイ行ってください」

 『アオのハコ』、鹿野千夏ちゃんと猪股大喜くんの関係に限れば『ガールズバンドクライ』における河原崎桃香と井芹仁菜の関係に似てる。どちらも年上のお姉さんは年下の(少年、少女)にとって憧れの存在だったものが、知り合うにつれて欠点や至らない所がある、ある意味で普通の人間とわかる過程。
 今回はだから、大喜くんの千夏ちゃんへの見方を上げていくところから始まる。千夏ちゃんの本格的な猪股家への居候初日、大喜くんは「安心した」という言葉で千夏先輩への想いを取り敢えず封印し、バドへの注力を決意する。
 しかし大喜くん、中学からの親友が二人いるのですが、同性の笠原匡くんには結構洗いざらい話したらしいのに、異性の蝶野雛ちゃんには話してなく、そのために千夏先輩に無用な誤解を与えることに。春休み中も体育館に部活通いしてたけど、この日は大喜くんが先に行っていて。後から来た千夏ちゃんが忘れてきた財布を渡そうとした時、大喜くんは大声で知らない人対応をしたのでした。その対応を千夏ちゃんは大喜くんの後方の蝶野雛ちゃんを見て、二人は好き合ってると解釈する。それは結果的には間違ったけどこの時点の解釈では悪くないと思ってて。
 しかし手洗い場での大喜くんとの誤解解消の場面、千夏ちゃんは「知らない人のふり」の自分の解釈を披露したあと、それへの対処として納屋で寝る、格安物件を探してたと白状する。直接問いたださないで自分で抱え込む、それが千夏ちゃんの真面目さでポンコツとわかった話でした。不完全さと言ってもそういう不完全さだから、大喜くんが千夏先輩を嫌いになるわけがない。
 そしてすでに7話まで観た上で観なおすと、雛ちゃんの大喜くんへの想い、育っていく過程が丁寧に描かれていく。あからさまな最初は上記の大喜と千夏先輩が話している場面を雛ちゃんが見つめる表情。多分雛ちゃんは「心の声」を呟いたはずだけど、あだちマンガになっていて明示されず。
 より明確になったのはその日、雛ちゃんは大喜くんと帰宅(雛ちゃんにとつては整体師さんに行く道)する場面。アニメになって明確になった雛ちゃんの芝居がかった言い方、それは大喜への自分の想いをごまかす態度と思えて仕方ない。でもこの時点では千夏先輩と大喜の仲を応援する気持ちが大きかったか。「親友としては、勝利を掴んでほしいんだよね」。その直後、千夏先輩が針生先輩と並んで歩く場面を、大喜の目から逸らそうとした。
 本当に鹿野千夏、猪股大喜、蝶野雛の誰も悪人、憎んだり嫌ったりできる人間でないから、そのドラマは上杉達也、浅倉南、上杉和也と同様にヒリヒリした、緊張感あるものに7話を観た段階でもなってる。この二話はその序章、改めて楽しませてもらった回です。

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