117 『ヤマノススメ』(第一期)、感想第一回目
今季のアニメ、第一回の感想を五本も書いた手前、では過去作、特にファンと公言しているものについてはどうなんだと、書き上げた直後から思っていました。なので今日は舞台となる飯能で、今度の土曜日に花火大会が開催され、最新刊の第25巻がの発売が一週間後に控える『ヤマノススメ』、その第一期の初回を論じてみます。
まずはファーストカット。
続くカットは並んでいる女の子二人。手前の女の子の吐く息は白く、二人の上衣はダウンみたいなので寒い時期と窺える。この直後が今回のタイトル画像のタイトルバック。
時と場所が変わって高校の入学式直後の教室。
せっかくお茶しようと誘ってくれたのに。
いろいろと理由を並べ立てて断ってしまうのでした。
自分でも人付き合いは苦手と分かっているのですが、改めて「高校生でも一人で楽しく遊ぶんだ」、と心で決意したところ。
二本の腕と上半身が邪魔に入ったのでした。
中学時代は疎遠だったひなたちゃん、あおいちゃんと一緒に登る、山の約束をしてたらしい。
アニメ『ヤマノススメ』、無印の第一期、第一話はこれにて終わり。ヤマノススメを未見の方は意外と思われたと思います。Wikipediaを見れば一発でわかってしまうのですが、とても30分の内容でないです。せいぜい多く見積もって10分、実はABEMAのカウンターを信用すると二分五十九秒。
そう、アニメ『ヤマノススメ』の第一期、計12話でしたが一話5分のアニメだったのです。多分アニメのスタッフ、山アニメ、山ガールのアニメというジャンル自体が前例がないため、定型通りの一話30分は危険すぎると判断したのだと思う。
山アニメは背景美術が命だから、満足な背景画を描くには枚数を少なくせざるを得ない。また第二期への期待を持たせるためにもしっかりとしたドラマと美術が必要で、さらに主人公の雪村あおいが山に進むことを決意するラストにしなければならない。だから第一期はパーティー仲間になったかえでさんとここなちゃんと四人で飯能河原で夜空を眺める。まるでこの第一期が雪村あおいの山ガールとしての一日目かのように。
つまりこの「【一合目】山だけはダメ!」正に山嫌いのあおいちゃんを山の世界に引っ張る、それだけの意味であり、それでいいと思うのです。実は原作マンガの第一話の前半だけなのですが、あおいちゃんのラストショットを泣き顔にして強い印象を持たせたこと、ここにこそアニメ『ヤマノススメ』の英断がありアニメスタッフの覚悟があると、今さらながら凄味を感じるのでした。(大塩高志)