121『菜なれ花なれ』、第9話「雨とチア」
これぞ青春! 正に雨降って地固まる、という回でした。アバンは前回の少しのダブリからの続き、PoMPoMs分裂の危機から、六人それぞれの一人の場面に続きます。
そしてOP直後はアバン最後の穏花ちゃんの場面の続きでした。分裂騒動があった次の日、PoMPoMsの練習に恵深ちゃんのお寺に行くため、まず杏那ちゃんを誘います。でもスタウトレコードで楽曲制作に忙しく、また直接の亀裂を作ったのが杏那ちゃん本人でもあるため、必ず行くという確約は取れずじまい。そして行くのを迷っているのを偶然(と言っても同じ高校)出会えた応援団長に事情を話し、穏花ちゃんは真っ昼間、やられるこちらが恥ずかしくなるくらいの応援を受けたのでした。
そして穏花ちゃんは桜城女学園に詩音ちゃんを訪ね、PoMPoMsの練習に行く前にこれまでのPoMPoMsの仲間、特にかなたちゃんと恵深ちゃんについて語り合ったのです。それは視聴者の代弁であり、改めて印象付けようとする効果的な作劇と思いました。
そして穏花ちゃんと詩音ちゃんは恵深ちゃんの部屋に入ったのですが、他の三人はまだ来てなかった。それどころか恵深ちゃんから、かなたちゃんはもう来ないと断言する。続けて言ったその理由は、恵深ちゃん自身の心の闇と言っていい事情。それを救ったのはこれまでの展開で右往左往してた穏花ちゃん。インド哲学や仏教にも知見があるはずだから、人間は悩める者と言う認識、覚悟があったんだと思う。だからそれを告白してくれた恵深ちゃんを悪く思うはずがない。続けて詩音ちゃんも手を添えてあげる。友情、友愛の具体化として美しい場面でした。
その直後はかなたちゃんの場面。涼葉ちゃんを追った時に舞い飛んだ、「抱え込み1回宙返り1回ひねり開脚一回伸身1回ひねり」をもう一回飛びたいと欲する場面。多分それが出来たらすべて上手く回り出すと想像したからと思いますが、あの時と今とは心理状態が違いすぎると、視聴者の私も思いました。涼葉ちゃんが横槍を入れるまでもなく。しかしかなたちゃんは足を踏み出し、画面は暗転。
視聴者の想像通り、かなたちゃんのジャンプは失敗し、一時は意識不明にもなったよう。でも恵深ちゃんが救急車に乗り、車椅子で病院に駆けつけてきたときには意識は戻っていた。そして救急外来の玄関口から出てきたかなたちゃんと対面したのです。そこからは二人の感情のぶつかち合いの会話、続いて恵深ちゃんの全中大会の時のチアのパフォーマンス、声優の演技と相まって圧巻です。
しかしこの時の恵深ちゃんの非力を押しての渾身のチア、これまでの恵深ちゃんの頑張りから考えると単なる根性論とは違うと思うのです。確かに焦りからとは思いますが病院でのリハビリ以外でも不断の努力した結果であり、結果的にかなたちゃんに見せることが出来た最大のエールと思うのです。
凄いものを見せてもらいました。そしてこの場面はそのまま、視聴者の私にも降りかかってくると、勿論自覚しているのです。