099『負けヒロインが多すぎる!』、第4話「負けヒロインを覗く時、負けヒロインもまたあなたを覗いているのだ」、感想
ちょっと衝撃的な回でした。今季を例にするとロシデレでも疑似ハーレムでも、似たネタでもこういう陰のある展開にはならないと思う。しかしマケイン、登場人物がみんな闇と言うか屈折があるからこそ、陰鬱な物語を堂々と展開できたのだと思う。
前回の続き、玉木先輩に小鞠ちゃんが告白してからの展開は、小鞠ちゃんが負けヒロインになる物語の典型でした。実際、小鞠ちゃんが玉木先輩の手を握って色仕掛けで落とそうとしたなら、玉木くんと月之木古都さんが相手の思いを確かめ合う結末、ラブコメの王道の終わり方だから。
実はここまでは前回の後始末。次は本作の主人公、温水和彦くんと八奈見杏菜さんについて。温水くんが杏菜さんについての陰口、一緒にお弁当を食べてる男子がいることを厭味ったらしく話してるのを聞いてしまう。多分温水くん、心が繊細だから杏菜さんとの仲を考え込んでしまったかと。だから次のサンドウィッチを最後に、外付けの非常階段での一緒の昼食を、やめようと言い出したんだと思う。
もちろん杏奈さんは納得しない。陰口が理由なら尚更、そんな他人の言葉を気にする温水くんをちょっと見損なったんだと思う。だからこその今回のトップ画像、逆光でも左肘の曲がり具合に、杏奈さんの悲しみと怒りと寂しさが表れてると思う。
一方で袴田草介くんも杏菜さんの噂を知ったらしく、それについて温水くんに直接、「杏奈をよろしく頼む」なことを言ってしまう。さらに二人を尾行したらしく、杏菜さん自身が割り込み、重さはあるものの爽やかな口論に発展してしまう。その展開は本当に見て下さいだけど、強い立場が二転三転する展開はドラマチックでありながら清々しく、学生だから許される話しと羨ましく観ていました。
お終いは初回でと同様、温水くんと杏菜さんとの屋上の場面。二人はしっかり、青い空と白い雲を見てる。
そして温水くんは杏菜さんの背後に、杏奈さんは温水くんの背後に、それを確認した。
言わば第一部完ですが、杏菜さんも温水くんも初回とは違ってきたことに物語を感じ、楽しく見れてます。それでも隔靴搔痒の感があるのは温水くん視点のため、他のキャラは台詞と態度でしか読み取れないからだと思います。尤もそれがダメとは全然思ってません。ただそれをやるには確かな演出力、画面上の配置、人物の所作が的確でなければなりません。そしてマケインは今のところ、アニメ『タッチ』を徹底的に研究したのでしょう、振られ人のお話を爽やかに、一生懸命に物語る手腕に脱帽してます。
昨年のアニメ『君は放課後インソムニア』は久々に直球ど真ん中の青春アニメと思ったけど、この『負けヒロインが多すぎる!』、堂々とした(負け仲間の)青春アニメと思うことが出来ました。しかも負けた側だから視聴者の代表であり、特に温水くんは自分では特技がないと思ってる一般庶民。それがどう化けて物語になっていくのか、原作読まずに楽しみたいと思います。
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