その日は来る

まだ新紙幣が手元に回ってきていない。それなりに現金で買い物をしているのにだ。テレビで（いい意味で）バカみたいに新紙幣！新紙幣！と大騒ぎしていたのがはるか昔のことのようなのに、まだ触れていないというのはどういうことなのか。本当は新紙幣など存在していない、とか言われたら信じてしまうかもしれない。

とか言いつつ、新しいことに手を出したり新しいことを始めたりするのが億劫で腰が重くなる性分なので、まだ新紙幣に対する心構えができていないのが正直なところだ。それと自分の手元に回ってこないことは別の話なのだけど、心のどこかでまだ来ないでほしいと思っているのは事実で、「その時」がいつやってくるのかびくびくしながら日々を過ごしている。びくびくしながら豆腐とネギと炭酸水を買うなどしているし、びくびくしながらシュガーレイズドのドーナツと氷コーヒーを食すなどしている。

いずれ僕の手元にも新紙幣が回ってくるときがくるだろう。その日は必ずやってくる。一生逃げ回ることなどできないし、そもそも逃げ回る必要もない。その時がきたら、初めての新紙幣を財布にしまいながら、「ついに年貢の納め時か…」とか苦笑いを浮かべたりして、ちょっとドラマチックな気分になってみてもいいかもしれない。余裕があれば。