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9割のところで相談する。

台風一過。
まるで秘湯巡りのような迷走を続けた台風10号サンサンは、うちのエリアには被害をもたらさず通り過ぎて行った。

去年、台風の翌日、やれやれと朝食を食べて朝ドラを見て…と普段通りに過ごしていたら、台風以上の猛烈な勢いで叱られた。

「台風の翌日は、早朝から掃除するのが当然!なんでお前らは悠長に過ごしているんだ!!」って。

(…それは申し訳ないですが、初めてなんだからそれならそうと教えてくれても……)という言葉は飲み込んで、慌てて雑巾がけやら草木の手入れやらに励んだのだった。

だから。

今年は、二度と苦言を頂かないために、早起きして朝ドラもBSで見ようと提案し、娘の学校送り出し、息子の弁当もきちんと仕上げ、万全の態勢。

朝ドラが終わって、コンタクトレンズを入れて「さぁやるぞ」と意気込んでリビングに戻ると…
なんと夫は、”悠長に”、梨を剥いていた。

なんで今、梨。
アナタいま、私の頑張りを、見ていなかったのですか。
去年のお叱りを、覚えていないのですか。

あまりの衝撃に、言葉を失って、もう絶望して、ひとりで実家に行った。
当然のように、義両親は動き始めていた。
よかった、やっぱりこの時間で正解。
夫に付き合って、”悠長に”梨なんか食べなくてよかった。

私も早速、雑巾をしぼって、雨上がりの泥跳ね跡を拭き上げていく。
もくもくと作業をしながら、この温度差は何だろう?と考えていた。


そこで、気が付いたこと。
それは、夫にとって、両親からの苦言は、親からの小言でしかないのかも、ということ。
だから、真に受けないし、聞き流してしまう。

でも、私にとってのそれはもう、上司からの叱責と同じ。
だから、二度と同じミスをしないために記憶するし、行動で改善する。

うーん。
ひょっとしてこの差は、めちゃくちゃ大きいかもな?


上司は、部下を成長させるのも仕事。
任せたと言いながら口出ししたいとか、何も相談されないと拗ねるというのも、よくある話ですよね。

義父はまさにそのパターンなので、上手に顔を立てるほうがお互い後のストレスを回収しなくて済む。

回収ストレスって、地味に一番ダメージ喰らうんだよね。

だから、先日のでかいダメ出しの後、私の会社員時代のテクニックを披露したのだ。
それは、「任せたと言われた仕事でも、9割のところで相談するのがよし」ということ。

あとちょっとのところで、「ここまで、これでよいですか?」とか「最後の仕上げを確認してほしいんです」とか、そういう風にお伺いを立てる。
任せられて自分なりに取り組んだことは見せつつも、「最後のところはやはりあなたの豊富な経験からの助言を頂きたい」というメッセージだ。

これでいい、となったら言うことないのだけれど、軽微な修正を頂けるほうが、それはもう共同作業したことになるので、上司の顔が立つというわけだ。
だから、9割のところで、相談する。

ほんとこの方法、めちゃくちゃ効果あるのよ。


夫よ。
親の小言を受け流さずに、上司とのコミュニケーションの一環だと思え。
親子関係の甘さを、そこに持ち込まないでくれよ。
頼むよ、本当に。







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