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#26 日の丸と禅の共通点は?

(この記事は約3分半で読めます)

■ 余白の威力

先生が、信州へ旅行に行ったとします。
お昼どきにお蕎麦を食べようと思ったら、先生は下図のA、B、どちらのお店を選びますか?

もう一つ質問です。

白地に赤丸だけで描かれている日本国旗。
では、国旗全体の中で、真ん中の赤丸が占める面積の割合はどれくらいだと思いますか?
  a. 18%
  b. 28%
  c. 38%

白地と赤丸の面積比は?

余談ですが、世界中の先進国の大学生を対象に、各国の国旗の認知度を調査した米国の大学の話です。調査では、日の丸を「日本」と正しく答えた正解率が米国国旗と並んでトップでした。(詳細は忘れましたが、正解率はほぼ100%だったようです!)

米国国旗は、その圧倒的な知名度によるものでしょう。
一方、日本国旗は、そのシンプルさが際立っています。色、線、形を極限まで削ぎ落としたデザインが、古今東西問わず多くの人々の心に残るのでしょう。

ちなみに赤丸の占める割合は、国旗全体の18.8%。
残りの81%の余白が絶妙に配置されていることで、小さくても力強く、記憶に残るインパクトを生み出しています。

これはまさにZENの精神。
俳句や茶道も同じです。日本の美は、「余白」を最大限に活用することで、伝えたいものを際立たせる美しさがあると言えます。

chat-GPTに「禅」を描いてもらったら、こんな絵になりました。


では、この「余白の威力」。
ビジネスの世界で活かすとしたら、どんな取り組み方になるのでしょうか?

■ ビジネスにおける「余白」とは?


ビジネスにおける戦略構築には様々な方法があります。
そのなか、日本の中小零細企業に根強い人気があるのが、「ランチェスター戦略」。
ヒト・モノ・カネの経営資源が限られた中小零細企業にとって、
小さい企業がどのようにして競争力を持つべきかを考える上でとても有効なフレームワークです。

この理論をざっくり言うと、次のようになります。

  1. 戦略の基本方針は、市場における地位によって大きく異なる。

  2. 市場での地位を大まかに「強者」と「弱者」の二つに分ける。

  3. 強者の基本方針は「合わせる(ミート)」、弱者の基本方針は「差別化」である。


冒頭のお蕎麦屋さんの例でいえば、「強者」は全種の麺を取り揃えた「何でも揃った麺屋さん」として展開するのが正しいでしょう。
こだわり客は取れませんが、食の好みが分かれる家族層や近隣在住のランチ客など、幅広い客層を取り込むことができます。

対して「弱者」は、「蕎麦」に一点集中する戦略が求められます。
ただし、他の多くの弱者も「蕎麦」で競争を仕掛けてくるでしょう。また、強者も「ミート戦略」を用いて「そば専門店」を出す可能性があります。

したがって、「局地戦」や「接近戦」の要素も加えた一点集中展開でなければ、つまり「単なる蕎麦専門店」では生き残りは難しいかもしれません。

日米の国旗でも、考えてみましょう。

誰もが即座に認識する米国国旗。
星条旗も唯一無二に見えますが、実はそのデザインを構成している「星」や「赤のストライプ」は、数多くの国旗に使われています。

情報量も多く、決してシンプルでないデザインにもかかわらず、誰一人間違えないのは、他を寄せ付けない圧倒的な露出度の賜物。

まさに「強者の戦略」ですね。

そして、日の丸。
日本に対する注目度や関心度は、欧米諸国や中国に比べれば、世界の中では決してトップクラスではありません。

それでも世界のだれもが日の丸を認識するだけでなく、描くことも出来るのは、「弱者の戦略」のお手本のような話です。

■ 足し算の罠


日本人なら誰でも知っている赤丸の意味。(日いづる国としての太陽)。
ただし、海外の人は、だれもその意味を知りません。
一方、世界の人が日本と聞いて思い浮かべるのは、「桜」であり、「フジヤマ」です。

観光立国を目指すNIPPON。
日の丸は知名度も高いし、余白もまだ81%あります。

日の丸の価値を更に高めるため、日本の象徴を多くの人に知ってもらうため、余白の有効活用ということで、こんな国旗にしたら良いかもしれません。

さて、日の丸に桜とフジヤマを加えた新デザイン案、どうでしょうか?

「岡目八目」


日の丸に桜やフジヤマを加えることが愚の骨頂なのは、外から見ると誰もがわかること。

しかし不思議なもので、自分自身のビジネスとなると、なぜか桜とフジヤマだけでなく、お寿司や相撲まで描き加えてしまっていること、よくあるんですよね。。。

岡目八目

では、先生の経営する治療院の戦略はどうですか?

先生の治療院は、その地域において、あるいは客層において、「強者」でしょうか「弱者」でしょうか?

強者なら、しっかり「ミート」戦略が打ててますか?

もし弱者なら、先生の事業における「余白」は何でしょうか?
その大切な余白に、「桜」や「フジヤマ」を足し込んでしまっていることはないでしょうか?

”やらないことを決める。
それが、経営だ。”

by スティーブ・ジョブズ

先生の取るべき戦略が「弱者の戦略」なら、取るべき5つの戦法、つまり「局地戦」「接近戦」「一騎打ち戦」「一点集中主義」「陽動作戦」を、ぜひ考えてみてください。

~前号の「満場一致の罠」を読み返す~


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