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noteは大きな寄せ書きだ
自慢でも何でもないが、生来の三日坊主ならぬ三日オンナである。
とにかく飽きっぽい。
何につけ目新しいもの、ピンとくるものには後先考えずに突っ込んでいくが、それが覚めると引き潮に沖まで流されるが如く抱いていたはずの関心が跡形も無くなる。
あれ、今の今まで好きじゃなかったっけ?
そうだったかなぁ。
一事が万事、そんな具合だ。
悲しいかな、私にとって大好きな『本』もその対象になった時期があった。
うちはお金はないけど本だけは買ってやる、それが母の信条であり、口癖だった。
そうして月に一、二度、私と妹を町の小さな本屋さんに連れて行き、読みたい本を選ばせた。
まだ補助輪をつけたままの自転車から飛び降りて店内に飛び込んだ私の目は、たくさんの棚にかしこまっている本のタイトルにうっとりし、鼻は紙のざらっとした匂いを思い切り吸い込んでとびきり上機嫌に浸ったものだった。
専門学校に通っていた長い道中にも、職場に向かう電車内にも持ち込み、離さなかった。
結婚して子供ができると、絵本の読み聞かせをした。
家事の合間、眠りにつく前のひと時には女探偵ヴィクや検察医ケイ・スカーペッタにのめり込んだ。
それなのに日々の生活に追われ、子育てに疲れ、いつのまにか本を手に取ることが出来なくなった。
埃をうっすらと被り、茶色く変色した背表紙が恨めしそうにこちらを見ているのにも見ないふりをした。
私はそうして本に背を向けたのだ。
転機が訪れたのはnoteとの偶然の出会いからだ。
呼ばれたといってもいい。感謝しかない。
noteを知り、リアルの本を再び手にした感触。
ページをめくる音。匂い。
新鮮な思いが染み渡る、五感との遭遇。
言葉の深遠な森に分け入る感覚。
知りたい。読みたい。
吸収したい。
アウトプットしたい。
noteはさまざまな年齢、性別、職業、信条問わず誰もが思い思いの物語を書き連ねていける大きな大きな寄せ書きのようなものだ。
皆、見知らぬ誰かの為にエールを記している。
私もその隅っこに小さな文字でも良いから書き続けていこう。
沢山の物語を紡ぐ人達とのこの出会いはこれから何を生むのだろう。
ふとそんな思いに手が止まる。
とにもかくにも、
これからも宜しく、note。