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屋上にて【ビール傘】(毎週ショートショートnote)

19時近くになっても空は明るい。
あれもこれもやらなきゃならんことは山積みだ。手帳を見て確認、終わったことを横線で消していく。
もう今日は終わりにしよう。
一度会社を出て、コンビニで缶ビールを適当に2、3本買ってそのまま屋上に上がった。
昼間の熱気は屋上のコンクリートから未だ立ち昇っている。
風が吹き抜けると、ようやく夜が来た感覚になる。


プシュ。
缶ビールをあけてひと口。喉を通り抜けていく苦味が良い。


もう終わりですか?
振り向くといつのまにか彼女が立っていた。
なぜか日傘を差している。
日焼けしたくないその執念に女を感じる。
おう。
もう呑むことにした。
俺は隣に立った彼女にどう?と声をかけて彼女が頷くのを見てプルタブを引き上げた。
彼女に向かってビールの泡と金色の液体が勢いよく飛んでいく。
彼女は思いがけない速さで日傘を盾にした。
白い日傘は金色に濡れた。


わざとでしょ。
彼女の少し上がった息の音。
うん。
傘の中でふたりは飲んだ。

ビール傘🍺☂️。
このお題もなかなか手強い…
ようやくひとつ出来ました😆
(仕事しろ)

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